2019年12月26日木曜日
e2047(一部抜粋)(4)
綺麗なハンカチを片手に持って咳き込みながら森の奥深くまで歩いていくその美しい少女は、木々の根を指でなぞり真っ暗闇に怯え足を止める、溢れる涙は固まりになりて土に響く静穏、竪琴のハーモニーに心は踊りステップを刻む、噤む口にオオカミは忍び寄り、か弱き足首を噛み千切る、薄い肌を牙で剥がされ内蔵は露になる、分断された肉体が闇夜に紛れて頭上から、木々から、箱舟から墜ちていく、涎は水晶と同化し眩い光は危機宣告のサイレンでもある、途方もない紅雀は指紋の血痕と共に命題の伝達役として機能する、歴史の始まりと共にそれは見えていたと、水滴を蒸発させ、烈火の如く燃え果てよ、灰が火の粉と共に舞い上がり粉塵となる、見えるだろうか、これが美しい世界の果てだ、歓喜余り涙に暮れ果てよ、靭帯は切断され身動きのとれぬまま、世界の果ての観劇をただ見つめるのだ、神聖なる者たちの労力も虚しく、ただ薄暗い精神の一本道で救いを求めて力なく行進する、思想なき軍人の幽霊どもと鉢合わせることになるその一本道は地獄への境界線と一瞬交差する、きみらの精神は崇高なものであった、ああ・・神聖なるものたちよ、懺悔の花束を贈呈しようじゃないか、時に報われない想いは美しいものである、仄かに香るパフォームのように女性の胸元を連想させよう、素晴らしい苦肉の連鎖は栄冠を勝ち取る憎悪の念を背にして、生花の象徴まどろむ夢世の枢軸を震える腕で枕元に置き、電波途切れるラジオのように聞こえる詠歌は情熱を掻き立てる、疫病は失墜を掻き立てる、獰猛は惨落を掻き立てる、イメージは消耗を掻き立てる、断層的人体の意識分身の軌道に位置する宇宙の様相は毀れるパン屑のようにそれぞれの魂を分散させる、未来なき惨事を宇宙的メカニズムの惑星に投影し、その危機なる信号は奇怪に犇き合い身の毛も弥立つほどである、汗腺はひらき余分な情報までも受信してしまい、選別する秘書は寝る間も惜しみ働く、これがすべてシステムの欠陥によるものだとは理解できずに、哀れなこと、ワイングラスの括れを片手に持ち隙間の真空の力を用いて横移動させる、魔術ではなく処世術生きていくうえでの亡者の魂胆は丸見えである、下僕は果敢に熱弁を奮うがまるで役には立たず、しどろもどろで便器に跨り汗を拭き宙を見上げ言語の飛来を心待ちにしている、それはすべて野望の為に、迎賓館で真っ白い股をして美人を見た夕べのこと、蕩ける唇は雨に濡れて妄想の最中で縦に切り裂かれるが、原因は完璧主義で潔癖であること、ああ・・偉大なる預言者たちよ、貴方がたはどの様な夕焼けをご覧になっておられたのでしょうか、木製のベンチに座り指を立て顳顬を抑えてどのような未来をご想像なさったのでしょうか、そこが仮に散々たる有様であるのならば自決を決心する勇気はお持ちになっておられたのでしょうか、食事中にコーンスープの中の石楠花を思わず見て喉も通らぬ日もあったことでしょう、花嫁の眼差しに邪気を感じた時にどのような決意をなされたのでしょうか、子供たちが縄遊びをする様を遠くから死人のように見つめ無駄な考えを巡らせておられたのでしょう、姪っ子のささやかな幸せを祝福し靴などを差し上げてご満悦な日もあったことでしょう、雨の日の泥沼で刑事たちの背中を見て槍を突き立てたいと想った日もあったことでしょう、隣人たちの滝の如き涙腺に感情移入しそっくり自分が入り込まぬように努力なさったことでしょう、火薬のにおい漂う駆逐艦に目を叛け頭を抱え床についた挙句水泡の夢をみられた日もあったことでしょう、貴方方がすべてをご存知であるならば、何故思想を広める努力を怠ったのでしょうか、それは貴方方の忌忌しき怠慢であると考えます、解放の手立ては曲線のように大陸を橋掛けて遠い山の向こうにあることそれは理解出来ます、ただ貴方方の取り巻く環境に融和してしまうことは絶えず頭に注意を呼びかけて禁止すべきであったと考えます、確かに目の前の蜂蜜に目を眩ませてしまうことはままあります、知性あるそして健全な精神をお持ちの貴方方であればそれを斥けることなど容易いことではないのですか、自己が齎す快楽に溺れてしまうことは絶対的に避けねばなりません、抜け出すことは業火を浴びる如く健全なる精神を陥落させ非常に困難の極みです、賢明な貴方方ならご承知のことでしょう、次世代に向けて血痕を遺すことが使命であるとお考えですか、いいえ違います、遥か向こうの終焉が歩み寄ることがご承知ならば丸ごとひっくり返すべきたったのです、ご覧下され現在の世相の有様をまるっきり酷い牢屋で毛虫に擽られるほうがまだマシなくらいです、すべてが貴方方の忌忌しき怠慢による帰結と言えるでしょう、血盟を分かち合い同志と共に社会的障壁打ち壊すべきであったと考えます、悪趣味にも天空の根城で小馬鹿にし、賭博の対象として世相を愉しんでおられるのでしょう、落魄れたものです、亡者に負けず劣らず諸悪の根源です、神に委ねられし才能を善の赴きにおいて最大活用し社会悪を抹消すべきであったと考えます、悪は体現化され遺伝され次世代の壁を通り越し足の裏から頭の先まで即座に染み渡ります、悪は罪を相乗させやがては組織化され集団は罪を覆い隠しありとあらゆる重大なる罪であろうとも一見するだけは判別出来かねるのです、それは実に見事な雲隠れであり創世記より発展したことといえばその技術だけです、他はすべて時の経過と共に下降線に傾き陳腐にも衰退する一方です、死者たちの歴史を蒸し返すつもりは毛頭御座いません、ただひとつの事実として提起する必要性はあるでしょう、我々が今後如何すべきかの判断基準として重要な指針となるからです、失敬それでは見えざるカーテンを閉めましょう、暗転閉幕、赤いビロードのカーテンの向こうで漫ろと白骨化した髑髏たちが目の窪みの奥から猫目の如く眼光を光らせて、確かに悟っているのだろう握り締めた泥土から見える漣の包帯の繋ぎ目が、関節の一皮向こうの伝達が、可憐な箱入り日本人形が、霊感と言えるか、第六感と言えるか、預言と言えるか、どれも違うだろう、それは微視的状態で判別した普遍的出来事の数々が蓄積された結果の必然的責務なのだろう、統計学的で形而上学的な物事の捉え方によれば、亡者どもの盲目的であることは何んと恐ろしいことか、目を瞑って遠くの飛行場まで逃避したい無駄であろうと、トリミングナイフを持って存在と痕跡を切り裂きながら神経を張り詰め、反して極度の緊張により足音は酸味のきつい林檎酢の様で気配を消すことがまるで出来ない、何故なら本質的には殺してもらうことを望んでいるのだから、畜生め、呼び寄せる匂いに釣られて影に障壁された詩人どもを、もはや苦笑しか齎すまい、引き攣ったこの笑いはなんて滑稽なのだ、ピエロがピエロを見てまた俯瞰から第三のピエロが凝視する、早いところ如何にかして完全に存在を抹消する計画を立てねば狂気に支配されるのは時間の問題である、ふと手を振られた気がした眼前にて、団扇を扇ぐ様なほのかな風が、「クソッタレ亡者どもだ」まだいやがった・・
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