2019年12月26日木曜日

足の脛にぶつかる衣服の裾、血液が沸騰してわきあがってくる情感、屍の群れと右翼の街宣車、アタラシイ、偉くも鼻持ちならない、愚かな、参列者、きっとあなただって知っていたでしょう、あそこは何もかも呑みこむ大きな胃袋、指で得意げに刺してみても、すぐ膨張し、世界は瞬く間に壊れる、今すぐに荷物を整理して、大事なものだけ持って出かけましょう、銀行の通帳、戸籍謄本、身分証明書、印鑑、携帯電話、いやそんなものは要りませんよ、衣服だって下着だって、身に着けるものなんてなんにもいらないんだから、要るのはあなたが誇るべきもの、あなたがあなただと確認できるもの、学歴、家族、会社、いや要らないよそんなものは、顔です私が欲しいのはあなたの顔だけですよ、長い階段を下っていく、ああ、人人人、誰だか分かりはしないがきっと人なんだろうな、夢遊病者のように、吸い込まれる、地下街のさらに奥に、酸っぱい汗と唾液の臭いがして、あいつらは一握りの糞みたいだ、人間以下ですよ獣みたいに這いずりまわって、滅びました、島縞模様の四足の生き物は、砂利を食う、ガラスで口の中を切って、べとついたまま、果物を食う、虫歯なんか、治療痕がどこか間抜けでね、自分は醜いと思ってたんですが、ここに来れば何も関係ないですよ、皆一緒だから、ビニール袋が呼吸で膨らみ、萎む、反復運動を繰りかえす、心臓の動悸みたいだと凝視しながら思う、四方、壁に囲まれた展示物は、蟻の行列に蝕まれて、ボロボロの布切れみたいになる、お母さん、住所も電話番号も名前さえもすべて忘れてしまったよ、帰るに帰れない、軽く頷いて、遠くに行ってしまったよ、ミクロミクロまたミクロ、一生懸命布切れで磨いた綺麗だって満足する様に、marudeすべてがゆるやかに発狂していくみたいに、あの日、オフィス街、がやがやした喫茶店、店員のお姉さんの笑顔は、身体から熱を奪っていく、コーヒーを本当に少しづつ、使命的に、少しづつ、飲み干して、どうにか自分が自分であることを確認する、それは作業であるから、機械である、ふと腕の毛穴を見つめるとそれがまるで蜂の巣みたいに増殖していく、勘弁して下さい、もう何もかも差し上げたじゃないですか、マスクと眼疸で目を口元を覆い隠し、有利な立場であなたは話を進める、barabaraですよ、あなた自分が分からないのですか、かなりbaraけてますよ、毛穴の蜂の子は羽化して、とても耳障りだ、だから全然聞こえないんですよ、言ってることが分かりません、また人か、あいつは人なのだろうか、タイル張りのコンクリートを歩き、身体が全部隠れるくらいに奥まで行く、布団かけましょうか、ガタガタ震えてるじゃないですか、唇だって真っ青、「顔がない、もう全く顔がないかもしれない」、爪伸びてますよ、切りましょうか、爪切りいつも持ち歩いているんですよ、小さなポーチにいれて、線香の香りがするでしょ、お婆ちゃんに貰ったんです、顔がないのに爪を切る、衛生的にということか、まったくの狂気、また人か、そうか人か、髪の毛で全部顔が覆われているから分からないんだな、顔はないのに、ああ人人人うんざりだ、声が反響していく、ずっと前から見てたんですよ、歩道橋、靴墨を塗って、犬や猫みたいにマーキングしてたでしょ、知ってるんですよ、何でもかんでもお見通しです、鏡を持ってくるな、顔がない、もう顔がないというのに、透明なビーカーに蜂の子を入れて、沸騰させると、ゆっくりと夜が降りてくる、始まりだ、また一夜の始まりだ、あいつは大きな建物の屋上から見ている、時計は深夜2時を指して、鐘が鳴り響く、教科書持ってきましたかー、忘れては駄目だって言ったでしょう、机と椅子は家に持ち帰りましょう、お化けのせいで、洪水がきますから、無闇に開けないで下さい、お化けのせいで、足が変に曲がりますよ、なんもかんも、お化けのせいか、そうお化けのせいだ、唇を舐めてカサカサに乾燥した、植物に水をやる、種を噛み砕くと、コーヒーの味がする、待ち合わせをしていたっけ、オフィス街、ガヤガヤした喫茶店、本当に、少しづつ、飲み干して、そう作業であるから、機械である、顔がない、顔がないからきっと大丈夫だ、見つからないだろう、ゆるやかにすべては発狂していく

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