2019年12月26日木曜日

暮れない夜、膝を抱えてただひたすら祈る、ゴミ箱から拾い上げた折れた指を数え、無臭の唾液、汗、が溢れ出し、天地が逆さまに投影された鏡を見つめる、90度でお辞儀をする左右対称の、人、人、人は、こねくりまわされた、パンの生地みたく艶やかで、まるで息をしていない、白目も黒目も判別出来ずに、呆然と立ち尽くしている、傍に転がっている無数の人型は皮膚病患者か、竜皮病患者か、電話線を少しづつ繋いでいく、よりクリアに声は聞こえてきて、只ことではないことが分かる、地下街を歩いていく、整然としただだっ広いこの空間は、白い靄を発生させ包まれていく、途端に息が苦しくなる、胎内にいた頃孤独だった、純粋だった、それはそれで何にも捉われることはなく、ただ鼓動と脈拍だけを感じ、暖かさはこの上ない喜びだった、今この地上から除去されつつある、人、人、人は、脳裏にそのことすら過ることなく、苦しさからの解放を求め、物体、他者を認識することなく、漂っている、脳みそに刺された針の数々は、五感を消し去り、満足不満足所有願望欲求すら何も見出さない、無用の物体であることすらも気付かない、転生した魂は、また生き永らえることを求めることになる、永遠の産物ではないのにも係わらず、空を灰色の雲が覆い尽くし、豪雨が襲ってくる、土や木の葉や海面、アスファルト、を跳ね返し、空気中に漂う、やがてそれらは苔を宿し、胞子が飛び交い、どす黒い緑に覆われる、光の渦の洪水、生命線地上線水脈線、儚い運命だけを辿っていく、消え入りそうな声の数々、子供たちのゆりかご、どうして、ただ、どうしてと微かに漏らす、崖から飛び降りて浮かぶ水死体、腐敗し風船のように膨らむ、割れる音、地響きは世界の凍結と始まりを同時に伝える、螺旋状の階段を登っていく、何に生まれ変わるだろう、身体は痺れるように固まり、内在した心の奥地から、語りかける、最悪の地上の住処、気持ち悪いくらいの無数の手足の数々はライトアップされ不規則な動きを行っている、サイレンが鳴ると止まり食事の時間になる、手足は一斉にそこらを這いずり回り、養分を摂取しようとする、日の光はないから青白い、指が盲目的に欲し掴みかけ、細い血管を発掘する、その繰り返しだ、頭皮が爛れ、毛髪が半分抜け落ちた女は、ただ必死に忘れようと目的もなく街中を歩く、やがて頭上を見上げたとき、いるのは神ではなく昔の男だった、現実は何処からともなく襲いかかってくる、消えよう、このまま消えてしまおう、笑顔は私にとって恐怖でしかない、身震いしながら膝を抱えただ待つだけだ、何も考えまい、コルクを親指で空け飛び交う乾杯の声、ひきつりながら話しに耳を傾ける仕草をし、夜が明けるのをただ待つ、トイレに篭り耳を塞ぎ過ぎるのを待つ、私を掻き立てる、存在がどうしようもなく卑屈にさせる、壁にベトベトに貼りついた羽は、この不甲斐なさを象徴している、溶け込むのは夢でしかない、双眼鏡を覗く、変化は所々で起こっている、有機的な地上の楽園に飛び込む、有益なことは何も起こらないだろう、煉瓦の壁上から透明な雫が落ち暗闇に溶ける、四足歩行の動物たち、身体は透きとおり色々な物が向こう側に見える、七色の光の渦が纏いやがて結晶化する、悲しみの結晶である一例には過ぎないが、奴隷たちが宙を見上げる、痩せこけた頬と褐色の肌、もう何も望むまい、もう何も届かない、手を伸ばせど見える空の妄想ばかりからっぽである、封を開けると一斉に飛び立つ白夜の蓮、シドロモドロで歩きながら深く手を突っ込み、汗は流れ落ち、手はどす黒く変色し、彼方に転生す、電線を辿っていく、やがて捩れた線と線は重なり合い響き、同時多発的に電力を発する、鋼の硬さ、もう幾ら嘆いても戻ることは出来ない、ただここにいる為に、頭は膠着し、羽音が聞こえ、やがて意識は遠のいていくだろう、教示する狂死、音が一音一音独立する優雅さ、まるで溶かした化け物の顔みたいに、火の粉が舞っている、そのひとつを掌に乗せそっと息を吹きかける、計画された火葬、目玉一つ一つが一点を見つめ世界の最期を物語っている、感覚はなくなり行事、圧制からの解放、人、人、人、は声を潜めて、御覧なさい、魂が舞っている、御覧なさい、円熟した果実のように膨れ上がる、命の夢遊、軽蔑し高い塔の上で祈りを捧げる、裂け目から、割れ目から、唐突に漏れてくる、得体の知れないガス、毛細血管を破裂させ、息苦しくお辞儀をしながら日々を呪う、どうにも出来ない数々の事態、予兆、街を歩けば鏡は次々に割れる、駅の公衆トイレの鏡、自宅のバスルームの鏡、ゴミ捨て場に遺棄された鏡台ですらも、自分の爪を見る、どよめきと静けさは調和し、縦にひび割れる、思えば随分と悲しいことが起こったものだ、騒ぎを聞きつけ、縄で括られる、唇は切れ数々の言葉は蝕まれていく、女、男、地上、星雲、宇宙、クレーター、詠歌、腐っていく次々と腐っていく、キャンドルを片手に持ちながら、危ぶまれる不測の事態、汗は浄化し、利潤の追求は神のみぞ知る、儚い墜落の想い、潔白の年月、終ぞ私は浮かばれることはなかった、出稼ぎの労働力支援斡旋、大陸を二つに割ろう、粉塵が飛び散る浮遊力、目は黄色い、人、人、人、軽々とあしらう、疫病、顔面が覆われるほどのマスクを身につけ、節々にガードのサインを出す、灰色だった、歩行速度はスローモーションに、一枚、一枚が独立した写真みたいに、止まっている、会話を始めようものなら嘲笑どころか、聞き耳をたてることなく、静かに終末を迎える、それは悲しいことであるか比較対象が想起出来ないのであるから永久不明の謎である、全く苦にせず物を払い除ける様に、命をひとつずつ消していく単純明瞭な、作業、人、人、人、の願望、情熱、愚かさ、過去は一掃する、思い出せば哀れみの目で追われることになる、蒼白した氷河期、瓦礫の下で闊歩する人、人、人、賢明に脈を数える、一定のリズムで悪魔を巡回させる、サラバサラバ、どうして皺くちゃの笑顔で自分を卑下してしまうことだろう、それは正しく言うなら自己存在証明、分子と分母の教示から、お辞儀の角度、果ては線香のあげ方まで凡ては儀礼化されている、生き易いと同時に柵に囲まれた家畜と同等かまたはそれ以下、無能のレッテルはあらゆる角度から襲ってくる、幸いキチガイじみた奴隷制度により考えることは放棄される、ヨレヨレの化け物ばかりだ、蝉の抜け殻粉々に砕けていく、気鋭な愚か者、食物を食す、カイワレ大根に虫が湧く、四次元鏡に囲まれた私はふと思慮に耽り鑑みる、過去の化け物を鑑みる、青い浮遊したタイルの階段を登っていき、真っ白な人型の模型に出会う、足首の間接が鈍く鳴り、地下の水脈を辿り、飢えた魚の餌になる、殺してみるか老婆よ、血は滑るのだ、本当によく滑るのだ、全然不思議なんかじゃありませんよ、よく見て御覧なさい、泥で汚れた手足で溢れかえっている、貴方だって例外じゃございません、節目がちに歩けば必ず災難に遭います、杞憂じゃないですよ、ポケットの中のコールタール、毛細、自動注射器、吸い上げ抹殺される、血痕が飛んだ赤い影、駆逐される者と蹂躙する者、中間地点はほぼ存在しない、荒れくれた砂漠のように無機質で期待させる美意識、決着の時は近い、鑢で擦り磨きをかける生命、人、人、人、は口を半開きに開けて片輪者のように穏やかで、毒々しさは微塵も感じない、水槽の表面に張付いた海洋生物、優雅に個々を尊重している、触覚は伸び、あらゆる物事を蹂躙する予感、山林の腐葉土は産む、奇特な新たなるものを、培養して取り返しはつく筈もないだろう、どれだけの恐怖であったことだろうか、規則は境目と境目を明確に位置づけ自由を奪う、その狭まった枠の中でどう価値を見出していくかだ、あるはずもないものを、どうして生まれては死ぬのが定義されているのだろう、何故死を意識するのだろう、同時に生を意識する瞬間は余りに少ない、呪われた地上の圧縮物、動作も呼吸も、あからさまに否定される、天からの叫びにより一蹴され声さえ喉に届かない、私は宇宙にあるべきものを持ち帰ることで禁じての錬金術に酷似した、金星の汚染濃度、浄土水流、哀しきことに小石ほどの軽さで労働と言う意思はまるでない、冷めている人形の星月を、相似の如き数学的論拠、星を掴んで円を描く、もう誰にも届かない黄金色の夜、どうせなら帰りたいと哀願すべきであった、虚栄心から卑屈になれなかった

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