2011年11月7日月曜日

e2047 纏め


漆黒の闇でカラスの群れが鳴き喚く、俺はうつ伏せで広大な白いシーツに顔を埋めながら白目を剝き、誰かに助けを求める、表出するのはただ亡者どもばかり、涎を垂らしながら、嗽をして直立不動で、肉体なき漫ろの空間で立ち尽くす、すべては宇宙へ回帰するのだろうか?微生物の実態は健全に証明され、分裂して、孤立して、生命として初めて息吹をする。そこには途轍もない哀愁の末路がある、もはや世相の実態は原型をまるで留めておらず、泣き喚く、笑い転げる。細胞が分裂し、血の気のない医者が双子を膣から取り出す。俺は自堕落な双子の片割れだろうか?あの日に此処から脱走しようと誓った黒い影の男は耐え切れず狂気の海に飛び降りてくたばった。気狂いどもの群れに飛び込み、肉体は腐り果て原型を留めずに溶けた生命の腸線に同化した。俺の神経が正常なのが、既にこの異常のこの世に慣れているのだろうか?あの遥か彼方で飛行する金属片の存在を確かめなければならない、空中で眩く光の渦と共に鼓動している、俺をさらに惑わして、細い血管と神経が身体中に張り巡らされ、激しい音を立てて切断される。その度に、腰が砕けそうになる、まったく恐ろしい。とある動物の長が言ったことは歴史の石版に記録されていた。「あの天の声を聞きあるべきところに帰るのだ。」と、昼夜、不可逆的時間の様式を問わずに。ある物体と突然衝突し、一瞬目の前が真っ暗になり、それが合図だと奴は言う。最初はただ気絶しただけなのだろうと思った、失明したのかとさえ思った。でもそれは全く違っていた、確かにそれは奴の合図だったのだ。指の先から瞬く間に薄い皮が復元し、爪が加速度的にあらゆる方向に生えてくる。そのあとはあっという間で、痛みは全くなく、少し不愉快で肉体に馴染まないが、歩行する度に骨が軋むくらいですぐ慣れてしまう。だが、鏡を見ることは絶対的に禁止されている、またそこに死体を見出してしまうからだろう。あの白日の向こうの建物の内部で不毛な会議をした際に、気違いじみた老婆に忠告された。「おいでおいで」と皺くちゃでしかし魔力的な手で俺を呼ぶから、仕方なく恐る恐る耳たぶを触ると、確かに此処が現実であることを確認した。全く焦る必要はない、時機に薄汚れた亡者どもでこの世は溢れかえるだろうから、自惚れた自己顕示欲に充ちた対策など無意味だ。君の存在なんて取るに足らないことであると、気にする必要はない、誰が誰かも認識できない死肉のプールで泳ぐ羽目になるだろう、自己認識機能は即座に消滅するだろう、そう、我々は虫みたいに生きるのだ、誰もが虚空の存在である虫みたいに、分かり易く言えばね、尤も虫がどうだかなんて確実には存じておりませんがね・・。
息が整い始める兆候を見せ、呼吸はやがて正常化した。目は激しく充血しているが、物事をはっきりと認識出来るようになった。何処に続くか検討も尽かない長い階段を駆け上ると、肩が誰かと衝突した、誰だか分かりはしないが、本当に誰なのだかも識別は出来ないが、それは確かに人であったのだろう。足の脛にぶつかる幽霊みたいな衣服の裾、静脈の奥底で血液が沸騰して沸き上がる情感、屍の群れと異空間の街宣車、偉くも鼻持ちならない、愚かな参列者ども。きっと君たちだって知っていたはずだろう?この世は何もかも呑みこむ大きな胃袋に等しいと、指で得意げにそこ等を刺してみても、すぐさま膨張しこの世は瞬く間に爆発する。今すぐに君たちの身辺を整理整頓して、本当に大事なものだけ持って出かけようじゃないか。銀行の通帳、戸籍謄本、身分証明書、印鑑、携帯電話、いやそんなものは全く必要ないのだから。身に着けるものなんて何も必要ない。要るのは君が誇るべきもの、君が君だと確かに認識出来るものだけでいいだろう。そこの顔よ待ち給え、俺が欲しいのは君の顔だけなのだから。また何処に続くかも分からない長い階段を駆けて下っていく。本当に誰だかも認識出来ないが、それはきっと人であったのだろう。夢遊病者の軌跡のように、存在意義を無理やり構築した胃袋に吸い込まれる。糞尿だらけの地下街のさらに奥底で蹲っている、酸っぱい汗と唾液の異臭がして、君等は一握りの糞みたいな存在に成り果てる。全く蛆虫以下だろう、獣みたいに必死にそこらを這いずりまわって、滅びてしまった。不可思議な空間の袋が呼吸で膨らんだり萎んだりする、反復運動を只管繰りかえすのみ。俺は人体模型の心臓の動悸みたいだと凝視しながら少し思う。四方を壁に囲まれた稚拙極まりない展示物は蟻の行列に蝕まれて、帰る所はあるはずなく立ち往生する、軽くそれらは頷いて、身体から熱を徐々に奪っていくだろう。どうにかして自己が自己であることを認識し、ふと毛細な腕の毛穴を凝視するとそれらがまるで蜂の巣みたいに気味悪く増殖する。全く勘弁してくれよ、もう何もかも差し上げはずだった、マスクと眼疸で目と口元を全て覆い隠し、有利な立場で話は進行していく。「器官は何処ですか?肉体は何処ですか?貴方は自分自身が誰か分かりますか?私から見ても異常極まりないですよ。」毛穴の蜂の子は羽化して、その羽音はかなり耳障りで痛めつける、また誰かだ、あいつは誰なのだろうか?誰だか分かりはしないが確かに人であったのだろう。鏡は禁止されていると言ったはずだ、もはや顔がないと言うのに、挑発してやがるのか?透明なビーカーにゆっくり蜂の子を入れて沸騰させると、次第に誇大妄想的に夜が降りてくる。始まりやがった、また終わりのない夜の始まりだ、無闇に開けるなよ、丁寧に扱え、気をつけろ、骨格が変に湾曲するだろうから、唇を舐めて乾燥した砂漠の聖夜の竪琴みたいに、血液を身体中に循環させて、脳に興奮物質を伝達させる。腕の中で溶けたあの血液を、凝縮した生き物の様相を超越した化け物を、崩壊しそうではあるが、温かいぬるま湯の瞳の中で、周りのものをすべて焼き祓うだろう。神経を逆撫でする雨の跡の濡れた肌の質感の様に、懲りずにまた不確かな存在を俺は呪う。山頂で倒壊された丸太小屋、薄く皮を剥ぎ、静かに暖をとる。蛙の群が何処からともなく静寂に訪れて貴方の肉体を運搬します、羊の群が何処からともなく蹄を立ててやってきて貴方の魂を運搬します。激しい豪雨の後、世界は凍結から解放されるだろう、それは予定されていた。列車の窓から見える不確かな存在も向かっているのだろうか?俺は気付けば孤独に車内に取り残されて、酷い偏頭痛は治まる気配すらまるでない。脳みそが左右に震幅されて、恐れの知らない不確かな存在はただ苦痛のあまり足を切断し、感覚のないまま白目を剥き行進する。目は朦朧としたまま何処に向かっているのだろうか?全く知る由もなく、突然の落雷と地割れで虫たちが一斉に地獄の土地から飛び立つ。視界は歪んで身体は痺れコントロール出来なくなる。まるで奇妙なことだらけだ。背中の骨は沢山の蛆に食い尽くされて、黒ずみ、痴呆の老婆の曲がった腰みたいになる。この洞窟の中は憂慮に満ちている、自動識別化された二足歩行の九官鳥は情報を伝達する、「世界は崩壊に向かっている」崩壊に向かっている、崩壊に向かっている・・・激しい汽笛の後に肉体は分断され血潮が噴き荒れるだろう。九官鳥の羽が群の行進を微かに誘導させて、次々にその存在なき車輪に轢かれていく。沢山の識別不能の指が宙を飛び交う、「貴方の指ですか?何方の指ですか?」植物は葉を震わせてその様をせせら笑うのみ。水晶玉に映ったであろうその光景は太古の遺跡から何者かが見続けていたのだろう。空間は身体が丁度すっぽり嵌るくらいの円形に変貌を遂げ窒息しないのが不思議である。ただ交信だけは密かに執り行われていて、時々映像が映ったり、機械的な音が聞こえたり、はしたが俺は応じることが不可能であった。ひとつの生命から多元的空間の奥地まで沈没し、ただ笑って済まそうとする魂胆は許可されず、狂気的殺戮に及ぶまでの情景を想い描き、頭の端から長いアンテナが伸びる、「虫をみなよ、あんた、虫をみてみなよ、自由にしているだろう?虫は。」、虐げられた過去の記憶から、手足は虫どもにバラバラに噛み千切られる。黒いマントにフードに青白い顔が空間に投影され、今にもう終わるだろう・・・見ていれば分かる、もう今に終わるだろう・・機械的に行進する亡者どもは互いが互いを認識することなく、傷付け合い倒れていく。もうこの様を傍観は出来ない。亡者どもはその存在を完全に抹消するだろう。次第にゆっくりとまた夜が降りてきて、自由は拘束から一見すると開放に向かっていく。何者かが再び群れをつくって、小さな群れから、そして大きな群れへ組織化する。天空から地上に大天使が舞い降りてきて、暗闇から不易な科学へと空間は再び捻られ、心臓の動悸は極端に早くなった。ああ、分裂が始まりやがった、すぐさま日常にまで分裂は侵食をきたし、見るもの、見るものが主なる者に変化する、善と悪の二元論など甘いことではない、選択すれば、また二つに増えるので終わりはない。心にメスを入れて切開し、最後に俺は片腕だけの存在になったが、意識も意思も確実にその部位に残留し、また片腕だけは呼吸もせず、微動だにしないが、精神だけは揺れ動きやがる。聴覚も視覚もないが絶対感覚はある、ただ取り残され、二つになった何者かに我が身が取り囲まれるのであった。災難極まりない不測の事態に備える、瞬きをする間に子は産まれ、世界は白ずみ、空気感染し、産まれて2秒で自殺する、運悪く少年期を経ても、体感時間はおよそ48秒、これは列車事故の裸の腐乱死体の黒子の数を数える時間と、夢見た飛行男のプロペラ機の滞空時間と同じであるはずだ。さらに青年期はより過酷を極める、登山とやらによく似ているが達成感はまるでない、向こう側の世界は異様だが、至極利便で簡素化されている。口を開けると、無数の小さな鳥たちが飛び立ち、その中の一羽だけが辛うじて虹を見る、あとは力尽きて地面に平伏す。記憶にある中の唯一の町の時計塔でねじを巻く仕事をしていた、俺だけが労働に従事していて、無意味な時間を進めるのが唯一の仕事で、他に関心は何もなかった。退屈ではあったがそれが現実ではあった。耳を塞ぐと鮮明に聞こえる風の音、何もかも放り出し没頭する。小人たちの気味の悪い踊りは、ただ悲しさだけを伝えている。目に見える凶暴な斧を持った男、すべてが子供たちの悪夢に起因する、水中で渦を発生させる様に思考の奥底にゆっくりと堕ちていく。嘔吐をもよおす様な苦しさと恍惚感が一体となり、その穢れは40女の腹の弛みとよく似ている。消してしまえばいいすべて、揺り動かせ、波が派生するみたく、そう、丁寧に揺り動かせ、随分昔に映画館で見た、ブルーフィルムの妊婦の子が欲しいという叫び声が蘇り、若さを保つ為にある檻に閉じ込められた女の生贄、矮小な貝を叩いて割ると、あいつは小さな夢を持っていた。か細い静脈に使い古された注射針を刺すと、あいつはもう既に虫の息だ。苦境から三里離れれば、膝から下は親指だけで、語ることは何もない。退化の過程で人間は大変な過ちを犯した、「物を所有するということ。」、世界をただ食い尽くしていればもうこんな腐れ地獄は終わっていただろう、鋭利な刃物で浮遊する風船を傷つけて、鼻水も涙も血も道端の水たまりもさして変わらぬ液体となり浄化し、正確にはただの毛むくじゃらの畜生犬、人格はまた人格をつくりインチキ屋が多すぎて薄汚れた一枚の皮になる。バフォメ像の袂で、膝を抱えてただひたすら祈る、ゴミ箱から拾い上げた折れた指の数を数え、天地が逆さまに投影され、遺伝されたある鏡を見つめる。90度で正確にお辞儀をする左右対称の亡者どもはこねくりまわされた、パンの生地みたく艶やかで、まるで息をしていない。白目も黒目も何だかも判別出来ずに、呆然と立ち尽くし雨に濡れて酸化する、傍に転がっている折り紙で模られた無数の人型を通して、よりクリアに見知らぬ声は聞こえてきて、それでも只ごとではないことが分かる。遺棄されたオレンジの果汁が臭う地下街を横移動し辿りつく、理路整然とし、だだっ広いだけのこの空間は何を意味している?フジツボの様な穴から白い靄を発生させ辺りは包まれていき、途端に呼吸は苦しくなる。胎内にいた頃人は皆孤独だった、純粋だった、それはそれで何にも捉われることはなく、ただ鼓動と脈拍だけを感じ、温かさはこの上ない喜びの兆しであった。今この地上から除去されつつある亡者どもは、脳裏にその残像すら過ることなく、ただ現状の苦しさからの解放を欲し、それぞれの物体、他者を認識することなく漂流している。脳みそに刺された麻痺の禁断のツボを刺激する針の数々は、あらゆる感応を消し去り、やがて去来する巨大な脳の意義を理解出来ない、その有用性すらも気付かない、無意味に転生した穢れた魂は、また生き永らえることだけを求めることになる、無限性の産物ではないのにも係わらず、ああ・・神聖なる者たちよ。空を灰色の入道雲が覆い尽くし、予兆なく豪雨が襲ってくる、消え入りそうな判別不能の声の数々、隔離されてゆっくり揺れる盲目の子供たちのゆりかご、崖から悠然と飛び降りて浮かぶ胡麻粒の如き水死体、腐敗しある混乱した球体を造るであろう。無言の地響きは世界の凍結と始まりを同時に伝える、見えない螺旋状の階段を登っていく、今度は何に転生するであろうか?身体は痺れて、巨岩の如く鎮座まし、そこに内在している心の山林の奥地から、塵が何者かに向けて語りかける。最悪に呪われた地上の土地、不気味な無数の手足の数々は照らされ不規則に活動を続けている。警告音が鳴ると停滞し味気のない食事の時間となる、手足は一斉にそこいらを這いずり回り、僅かな養分を摂取しようとする、日光はなき青白さ、指が鋭気を欲し猛獣の爪で掴みかけ、細い化石となった血管を発掘する。ただ、その繰り返しだ。頭皮がやわらに爛れ、毛髪が完全に抜け落ちた醜い女は、ただ囚われから逃れようと目的もなく闊歩する、やがて気配に気付き頭上を見上げると、いるのは神ではなく昔の男の肉体であった。意識は何処からともなく襲ってくる。「消えよう・・このまま何処かに消えてしまおう・・此処は私にとって恐怖でしかない・・身震いしながら膝を抱え暗闇でただ待つだけだ・・何も考えまい・・私はただの肉体でしかない・・。」シャンペンを親指で空け飛び交う乾杯の喝采、引き攣りながら話しに耳を傾ける仕草だけをして、終わりをただ待ち、境界線をつくり篭り耳を塞ぎ嵐が過ぎるのを待ち望む、存在がどうしようもなく私を窮屈に、卑屈にさせる。壁に綿密に貼りついた目眩む鳥の羽は、あるまじき色のポスターカラーで彩色され、この不甲斐なさを未知の国旗として誇示し続けている。そこに溶け込むのは苦悶の夢でしかない、血走らせて双眼鏡を覗くと、変化は所々で一定の間隔で起こっている、有償ありし白日の地上の楽園に迷い込んでも、価値あることは何も起こらないだろう。煉瓦の壁上から透明な雫が流れ落ち、ある一点の暗闇の蛇眼に溶ける、憂鬱さながら身体は透きとおり思想の壁の向こう側で濡れた花魁が呼吸しているのが見える、窓が曇り虹の光の渦が纏いやがて苦い雪がひとりの女の涙粒として結晶化する。これはほんの一例に過ぎないが、悲しみの結晶体に違いない。頭皮が剥がれ痩せこけた頬と褐色の肌、青年はある棲家を屋根裏から覗き遠い地平線を夢見る、「もう何も望むまい・・もう何も届きやしない・・伝書鳩は胃袋の中さ・・スープの中で爪が浮かんでいる・・あれは睡蓮花?オシロイバナ?・・手を伸ばせども・・見えるは人影の妄想ばかり・・からっぽなだけ・・。」古い手紙の封を開けると一斉に飛び立つ白夜の蓮、枕カバーを涎で濡らして歩きながら深く鷹の巣のポケットに手を突っ込み、汗は緩やかに流れ落ち、手は貧しい盲人の外科医の如くどす黒く変色し血管は浮いている。彼方の草の葉に転生することを夢見て、未来都市の電線を辿っていくサーカスの綱渡り、やがて捩れた線と線は重なり合いそれぞれが主張し合い、同時多発的に頭の螺旋を緩めて言語を発する、猛獣犇く鋼鉄の森林にテレポート、もう幾ら嘆いても忘却の冷徹公舎に戻ることは出来ない。ただこの場所で無意味に言語を発し、やがて膠着し、罫線に危なげに直立し呪いの羽音が聞こえ、やがて意識は遠のき冷静に客観的に我が曲芸を見下ろす、下らぬ小言はそら聞き飽きたさ、人生の老廃した降水車どもよ、我は不動の彫像と成りて他の偉人と弁を交わすことなく枯れた角を用いてこの土地に落書きしてしんぜよう君は勲章を望むならば神経を逆撫でしかの土地をマンホールの蓋の平面に見立て相撲の行司となり雨乞いをお頼み申そうではないか、教示されるその狂死は音を一音一音独立させ優雅なあの蟷螂の腕を彷彿とさせる、絵に描いた空華の餅はまるで溶かした化け物の顔みたいで蝋人形の末路に怯え、凍えた砲台を海峡に設置する、火の粉はさぞ美しかろう?そのひとつを掌に乗せそっと息を吹きかけると百人の子が生まれ結論の出ぬ罵り合いが長を呼覚ます、密かに計画された火葬場では目玉一つ一つが命令されたかの様に不気味に同じ方向を見ており世界の最期を物語る、亡者どもは逃亡を恐れ、声を潜めて囀る。「御覧なさい・・魂があの水柱に移動し、舞っているだろう?御覧なさい・・円熟した果実のように膨れ上がるだろう?あの飢えた魂どもは、命の夢遊病者さ、お互いに軽蔑し高い塔の上で祈りを捧げ、貢物を奪い合う・・」決意に満ちた裂け目から唐突に漏れてくる得体の知れないガスは毛細血管を破裂させ、息苦しくお辞儀をしながら日々を呪い続ける、対面すればその呪いが降りかかってくる、どうにも処理出来ない数々の予兆の泡ぶく、どよめきと静けさが調和合い遥かなるメロディの調べを奏でるだろう、縦にひび割れた毛髪の鍵盤、思えば随分と想定外の悲しいことが起こったものだった・・・騒ぎを聞きつけ老婆どもが化粧をしながら穴倉からやってくる、縄で括られて、唇は切れ数々の言葉は一緒くたに蝕まれていくクレーターの穴で瞑想をする、古事記の切れ端を噛み締めて、蝋燭を片手に持ちながら、危ぶまれる不測の事態に脂汗は蛙の目玉と共に池に浮かび、やがて浄化し、終末は神のみぞ知る。儚い墜落した少女たちの想いは古いゆりかごで方向を提示される、潔白証明の年月を指で数え心待ちにしていたものの、終ぞ浮かばれることはなかった。出稼ぎの労働力支援斡旋、粉塵が飛び散る浮遊力、亡者どもを軽々と片手であしらう、節々でガードのサインを送る、歩行速度はスローモーションで、一枚、一枚が独立した写真みたいで、優雅に静かに停止した空間、記憶の奥底でブランコの回帰音、えも言わぬ死んだ仏壇の写し紙、掛け軸の孔雀は不干渉精錬された肉食化石の一部、会話を始めようものなら雑踏の嘲笑どころか、聞き耳をたてることすらない。それは悲しいことであるが、比較対象が想起出来ないのであるから永久不明の謎のままである、全く苦にせず物を払い除ける様に悠然と立て銃を構え、命をひとつずつ消していく単純明瞭で独善的な作業、亡者どもの過去は一掃され、遺った肉体はループされ腐敗した虫の足を折るような残虐さで思い出せば哀れみの第三の目に追われることになる。蒼白した氷河期で生きようじゃないか、瓦礫の下で闊歩する亡者どもは賢明に脈を数え、一定のリズムで悪魔を巡回させ、どうして皺くちゃの笑顔で自分を卑下してしまうことだろう、それは正しく言うなら自己存在証明、分子と分母の教示から、お辞儀の角度、果ては線香のあげ方まですべては儀礼化されている、生き易いと同時に柵に囲まれた家畜と同等かまたはそれ以下、無能のレッテルはあらゆる角度から襲ってくる、幸いキチガイじみた奴隷制度により考えることは放棄される、化け物ばかりだ、蝉の抜け殻粉々に砕けていく、気鋭な愚か者、食物を食す、カイワレ大根に虫が湧く、鏡に囲まれた私はふと思慮に耽り鑑みる、過去の化け物を鑑みる、青い浮遊したタイルの階段を登っていき、真っ白な人型の模型に出会う、足首の間接が鈍く鳴り、地下の水脈を辿り、飢えた魚の餌になる、殺してみるか老婆よ、血は滑るのだ、本当によく滑るのだ、全然不思議なんかじゃありませんよ、よく見て御覧なさい、泥で汚れた手足で溢れかえっている、貴方だって例外じゃございません、節目がちに歩けば必ず災難に遭います、杞憂じゃないですよ、ポケットの中のコールタール、毛細、自動注射器、吸い上げ抹殺される、血痕が飛んだ赤い影、駆逐される者と蹂躙する者、中間地点はほぼ存在しない、荒れくれた砂漠のように無機質で期待させる美意識、決着の時は近い、鑢で擦り磨きをかける生命、亡者どもは口を半開きに開けて片輪者のように穏やかで、毒々しさは微塵も感じない、水槽の表面に張付いた海洋生物、優雅に個々を尊重している、触覚は伸び、あらゆる物事を蹂躙する予感、山林の腐葉土は産む、奇特な新たなるものを、培養して取り返しはつく筈もないだろう、どれだけの恐怖であったことだろうか、規則は境目と境目を明確に位置づけ自由を奪う、その狭まった枠の中でどう価値を見出していくかだ、あるはずもないものを、どうして生まれては死ぬのが定義されているのだろう、何故死を意識するのだろう、同時に生を意識する瞬間は余りに少ない、呪われた地上の圧縮物、動作も呼吸も、あからさまに否定される、天からの叫びにより一蹴され声さえ喉に届かない、私は宇宙にあるべきものを持ち帰ることで禁じての錬金術に酷似した、金星の汚染濃度、浄土水流、哀しきことに小石ほどの軽さで労働と言う意思はまるでない、冷めている人形の星月を、相似の如き数学的論拠、星を掴んで円を描く、もう誰にも届かない黄金色の夜、どうせなら帰りたいと哀願すべきであった、虚栄心から卑屈になれなかった、分断されていく個人の悦楽、狂信的世知論から弁明される予感、津波に巻き込まれて渦の中心にいる、影響はさほど感じない、寧ろその冷たさは心地よく研ぎ澄まされる、捻くれた考えなど持つのは止めよう、新しく脳を改竄し小気味良い心地が訪れる、極楽の転生の美貌、よりクリアに、より魍魎に、蛇口は栓を開きっぱなしで、水流、シーツの染みを擦る、混じり合い、漸落は活性化する、けものみち、爆発は枯渇と共に息を潜める、ある空間の、ある状況での、ある出来事、序列化された、論理展開された予定調和、意気揚々と手をあげ意見する、シュチュエーションno13956667666 「私は常々考えておりました、人と人とが交じり合うこと、即ち、交流を絶ち、孤独になりて精神を高め、高揚したいのであります。人それぞれ、千差万別、独自の哲学を持っていると考えております、集団生活は貫き通すことが困難であります、果たしてそれを曲げていいものであろうか、生きたいように生きる、国家から解放され、責は個人に帰結する無政府主義を熱望し、運動に参加しておりました、然し、運動も集団であります、個人で革命を起こすことは不可能です、矛盾ではありませんか、頭を悩ませ、枕を濡らし、考えることを放棄し、奴隷なり、生き易い様に生きる為に、今に至っております」それは君が孤独だからだ、意識せずとも孤独だよ、立派に孤独な人間をやっている、孤独、孤独、・・・・・・どうしようもなく呼吸をし、どうしようもなく足並みを揃える、益々孤独に苛まれる、旗を揚げ宣言せずとも、あなたがたは立派に孤独を全うしている、苦しいのか、そうではない、認めなければ苦しいはずはない、骨格だけの我々の存在は、創世記、声帯すらなく、気付けば贅肉を蓄え、異常なまでに利便を追求した、船乗りは未知への探求に野望を見出し、女たちは、傍目から見守り退屈からの解放をひたすら待ち望んだ、悲しいわけはない、願望がある限り不滅に回り続ける、背面から首を絞められ卒倒する、暗闇に紛れ込んだ私たちは見るからに貧相で滑稽であった、物乞いをせずにはいられないほど惨めででもそれがある種真実であった、人は語りかける憂鬱と言う名の本性を掻き立てる、遺言、涙せセラグ遺言、冒頭からそれは読みあげることすらも苦痛で、そっと耳元に囁いて胸元で録音した、中間点、意識せずともあなたは何らかの中間点に立在している、不衛生な下顎も切り取ってしまえ、千切られた舌はナメクジみたいに上下運動を永遠に繰り返し語る言葉はどれも当てはまらない、読解幻聴、不明瞭な、紳士それでもあなたは紳士だろう、一体化する、同一のものと認識し、受容していくと共に、かなり楽に生きられる、動揺して罪を逃れるが、振り被さって来るのは時間の問題だ、もはや、足掻いているのもかなり無意味に等しい、競争、熟れた琵琶の実が地面に落ちた瞬間からの人類の、すぐさま駆け出して勝敗を繰り返し、自己満足の数だけ死を早める、ムカデを素手で捕まえるのは優秀であった、魚の骨まで残さず食べるのもまた優秀だった、葉を摘み取り最初に茹でて食べたのは病人だったやわらかいものが食べたいという心理、危険に身を投じるのもまた良し、開発改良を繰り返し、またスグサマ嘔吐する、泥棒、手の甲に印された不明瞭な斑点、同一視し選別し見極める哀楽、やはり鮫の歯はギザギザで鋭かった、いつしか恐怖はなくなった、歯形を念入りに手入れをし役立つときを待っている、目と目を合わせ、黄色い蟷螂羽を広げ威嚇された一つ目の仲間口は半開きで何が起こったのか認識しないまま衰弱し倒れ霊魂を遺す、霊魂即ち受信されるべき星からの音色、言語化不可能でただずっしりと重たい、拡大鏡に映せばうっすらと煙が見える、昨日燃えた古い雑居ビルの鉄筋に手垢がのこっている、陥没した頭蓋骨は左脳と右脳をごちゃ混ぜにし原因は確信に近づきすぎたことだろう、毛を刈るのも歯を磨かせるのも身体を洗うのも私の仕事です、毛髪と共に宇宙は、どうせラクダの背中に乗る、どうせ空虚から何がしかの確証がある、反映され反響される海の音色、動物たちは念入りに爪を磨ぎ、襲いかかるのをただ待っている、巨人の住処あの鋭角な山の天辺にある、自堕落に戯れる、言葉の数々、煩いだけで何があるのか、過ちはたちどころに補正され見えなくなるのは目の錯覚と言うより甘受するべきもの、自己統一の甘さ、飛行機の右翼の傾きは海岸線をめまぐるしいスピードで走っていき、潮風、睫毛を全部切ってやろうと思った、遠くにぼやけて何があるか影は霧のように分散していく、きっと分からないのはお前ではなく根を持つ生命体だからだ、ルールは実業化された個人を支え、考えることをなくす、砂を一頻り、踵で蹴る、水圧溝の脇のヘドロの中に埋もれた訓示、領土の侵入を妨げる堕ち果てた城壁、灰色のロッカーの中の決して取り出せない苦い排泄物、精霊を虐げた幼稚な軍人は刀を逆さに持って腹部に突き刺す、もう還れない5秒前には鼻歌を歌って、コカコーラの空き缶を蹴っていたはずなのに、別にアリもしないものを求めて躍起になり、黒ずくめになり、ただのガラクタどまりだ、火葬した骨には何もなく、やがて忘れ去られていくだろうが笛の音色は微かに残慮する、汚く耄碌し腐敗した背中の在処、水色の屍の寝言、逆説的に物事はまわっていく、原始では小高い支那人が木の実を割り、甘い汁に誘われて集まっていく、目のやり場に困り、片足でびっこをひきながら暗い小道を歩く、まちのひかりが目の焦点を狂わせてそれは思考の象徴の様に錯覚する、頭の隅々を飛び回り、記憶は歪んで傍にいるものの色はぼんやりと輝きだす、あなたの耳にそっと小声で何かを指令し、あなたは武器を手に取り凶暴になるか、あるいはまるで口も利けないくらい大人しくなる、好きでやっているわけじゃないこんなこと、門番が言った、草の根を皿洗いと洗濯のしすぎでカサカサになった腕で引っこ抜き未来を見ようとする、色褪せてしまった下らない愚かなあなたの肖像、背後から肩を叩かれて、見た瞬間に卒倒するだろう、ジワジワと受け入れていかなければ、殴り殺すか、虐めぬくか、死ぬしかない・・死ぬしかない・・螺旋状に空の上まで続く階段に、ゆっくりと呼吸を繰り返しながら、紫色に変色して、笑い転げる、神々の象徴の目的、祈りを捧げる事、矮小さを忘れようと試みること、義務と規則を身体に染み付かせること(たとえば家族を大事にしようと義務づける)、連帯感(仲間 company)を持つこと、涙を流すこと(惨めにならず晴れやかに流すことが出来る効力がある)、知性を取り戻すと錯覚させること、特異な存在であると優越感に浸れること、卑屈になることが習慣化される為に命令、足枷、を科せられることがそれほど違和感なく許容できること、神仏の存在を信じることで未来や死後を根づかせることで奴隷の大量生産を推進できるということ、これらはすべて過ちで本質的なものはなにもない、空気中に感染させるウイルスのように至る所に蔓延っている、とんだ体たらく、真実は、何であろう…………..衝突と戦を繰り返し、汗は血みどろと共に垂れ流され、草の穂は風に揺られ、傍にいるのは誰?あなた?わたし?記憶違い?わからない?掻き回されて、これは手足、これは昔読んだ本の1ページ、これは殴りつけた壁のコンクリート、これは認識すればあなた自身、これはわたし自身です、もう何も迷うことなく、捨てて、ゆっくりと海の潮流にゆられて、ゆりかごの中で眠る、気付くと1秒は一日にもなり得るし1年にも成り得る、鼓動と潮流のハーモニー、噛み締めてそっと眠る、屈折した精神はたちどころに透明になり、受け入れるわたし自身を、武器を持て!!言葉を持て!!恐ろしい速さで城壁をよじ登り権力者の首を跳ね飛ばすのだ、沸々と湧き上がる恍惚感と生命エネルギーは全身に駆け巡り、生まれて間近の赤子だった頃のような記憶を思い出す、友人に喜び勇んで報告する、人間だ、紛れもなくわたしは根っからの人間である、受話器から聞こえるあなたの言葉のすべていとおし、蝉の抜け殻拾い集めて夏の終わりを感じる、影はまぼろし、夕暮れは電信柱の上の蜘蛛の巣、透き通って微笑が見える、冷たい微笑凍え頬の皮は剥き出しyou are error,error,error,errorerror……君はまぼろしを見ただろう、友人たちのまぼろしをみただろう、跳ね飛ばす球状の何かを、回転する、水辺の奔流と微生物、聖なる矢を地上から直角に放ち、君のまわりの愚かなものだけが残骸となる、透明なゼリーみたいな物体が波打ち際の岩に張りつきそれぞれが通信している、膨大な数に繁殖し、次世代への交代を待っている、飛び抜けた知性を持ち、数万年もの時の中最も偉大であった主は、やがて群れごと地上への大規模な移動を始める、塵と埃から空気感染し、動物たちは狂喜し踊り狂う、北西に向かうカモシカ、糞からの培養菌、北東に向かうオオカミ、牙は酸に溶かされて、南に向かうゾウ、激しい風と雷の音、漣、縮小化された世界、あまりに巨大であるものは許容されず、彷徨うばかり、指令される、粉々に壊してしまえ、線は砕かれ、地響き地割れ、ガタガタ震えだす、恐怖のあまりではない、それが快感であるから、濁流、水圧で押し潰される、地上?星?神々の住処?暴力は慣習を凌駕する、枯葉の山に佇む針金の人型たち、雑草を永遠に咀嚼するかの様に、意義、目的、なぞ知るわけもない、かたや半分になった唇は奇妙な苦い汁を吐き続ける、伝えるべき、何か何か何か、圧倒するべき暗い下部の地下室の漂うオーラから感じる何か、冴えない顔をした親に産み落とされ地下道で残飯を漁る混血児の眼差しから溢れる何か、クレオパトラの透き通った血管を凝視し、きっと君は、太陽の黒点を指差して熱を身体から奪われ、半分が狂気で構成され、もう半分は麻痺している、ライ病患者たちは瓦礫の山を漁り、磨耗した肉体を求め、子供たちは日陰でただ地面にうつ伏せになり時が過ぎるのを待つ、もうすぐすべてなくなってしまうだろうから、ある土地が、ある建物が、ある空間が、実際軽蔑していた節はある、偽善で塗り固められた教育に飽き飽きしていたし、運動などして無駄に疲れるのも馬鹿馬鹿しい、かといって表立って反抗するのではその存在を認めたことになってしまう、それ自体を意識から消してしまうことが最良の選択だった、子供たちは成長を放棄することで辛うじて自分たちのテリトリーを守っていたのだ、ピアノの音色の様なか細い声が辺りに響き、瓦礫の下に埋まった亡者どもは互いに互いを認識することなくそのまま一生を終える、やがて声は消え去り、身体から放出された言霊が辺りを浮遊する、行方は知れず、永遠に彷徨するだろう、怖いものなど何もない、わたしたちは永遠に懺悔の日々を繰り返すことになるが現世で滅びた歴史などほんの瞬間的なものでしかなく果てしなく循環する世代交代は今に始まり背中を丸ごと食われる羽目になるそれまで笑い転げていれば良いある人により憎しみを知りある人により愛情を知りある人により恐れを知る極めて個人的なものに過ぎなくともそれらが歴史を絶えずつくっていく物語はありとあらゆるところに溢れているそこに優劣などなく善悪などなくただ事実そのものがある、瞬間、瞬間のそれぞれの事実が垂直にただ浮遊している、事実は時の経過と共にやがて亡者どもの共通した記憶から薄れていき、そのうち死そのものが見えてくる、それは個人的でもあるし集団的でもあるし、世界そのものでもある、一瞬で味わうあなただけのもの悲しさをあなただけの執念をあなただけの欲望を階層化された記憶の渦の中で、下らないすべて下らないときっと思うが、変えることなど原理的に不可能であるから仕方ない、世の末は時の始まりと同時に見えている、夢で見た、色は無色透明で、帰り道、足元だけを見て、家に帰る、台所、濡れた床、人に会えばお辞儀をする、儀式、すべてがおままごと、分かりきっている、抽象化された平和、大声で怒鳴る大人たち、暴力はあらゆるところに蔓延り欺瞞だらけで、それに気付くことなくごく普通に足並みを揃える、激しい音を立てて頭も顔面も歪み、まっすぐ帰ろう、何も考えずにあるべきところにまっすぐ帰ろう、傷つき、疲れ果て、時間を浪費するだけの陶酔感、完全に失敗している、生まれながらに背負った失敗の烙印がここにあるのがお前らに見えるだろうか、胎内で暴れ回り腹を突き破ってやれば良かった血を吐き忌み子だと頬を叩かれたのがおぼろげに記憶されている、左様、因縁は何世代にも渡って受け継がれるのだ、脆く儚く命の細い電気コードは既に最初から脱線している、舵をとるのが手先の震えた不器用な酔っ払いなので、気の赴くままに進むだけで、何も成果など残せない、白旗宣言は際限なく行っているのに、まだ追い詰めるか鬼畜の酔っ払いめ!!!!愚弄、鎖国している鉄錠網で身体は縛られている、身動きなどとれるわけもない、宗教に寄り縋ることで、亡者どもはどうにか異次元に偏ることなく、パラノイアックな頭痛の病魔に冒されることもなく、地に直立して賛歌を詠うことが出来た、それはいわば哀しき奇人たちの祀りと言えよう、さあ、踊れ、踊り狂え、今晩突風に煽られてもどうにかこうにか火の粉を消さずに、尖った神経を逆撫で、あなたは綺麗に酔い痴れて、白衣を纏い、錯乱し、燃え上がった衣は空中に浮かぶ、頭上の笠の引っかき傷を背中に遺し、細い足が地べたに転がる、雲の上から沢山の化け物たちがやってくる、胃、腸、内臓・・気管は凡て浚われて、器官なき肉体、優美な肉体、そこにあるべき肉体、白い肌の皮は衣に重なり、風に漂う、精神はいずこへ向かう、脳の破壊と共に活動は停止する、ネジで巻かれた機械人形、森林のホトトギスの声は死者たちの賛美歌であろうか、精神は洗われたのだ、憂鬱と戦慄の詩において、もう過去の悪徳に苦しむこともなかろう、愚かなる結晶よ、人間よ、白い霧に覆われてまどろみの中あなたは夢を見る、刑場、処罰を迎える囚人たちの目はもはや一点の曇りもなく、抵抗することはない、頭蓋骨が次々と金槌で割られ、民衆はその様を見て歓声が沸く、死者たちの末裔、囚人たちの歯が飛び散って、その歯を民衆が拾い集める、勇猛である勲章として、襟を立て背筋を伸ばし敬礼して刑場を去る、英雄は幾万の悪夢を見ることをまだ知らない、シーツはベッドから剥ぎ取られて、身体の浮遊感、消えろ、殺人者に対する怨念よ、消えろ、隣で寝ている肥満の妻よ、哀しげに反響する、死者たちの声が、洞窟の中で、軋む、死者たちの骨と肉片が、死者たちに干渉してはならない、死者たちを名誉づけてはならない、死者たちの思い出を改竄してはならない、死者たちのことを語るとき最善の礼儀を尽くさなくてはならない、死者たちはすべて知っている、それゆえあなたのことも、周りを取り囲むすべてを死者たちは知っている、悪夢が現実となるとき、英雄はこの世のものとは思えない雄叫びをあげ、苦しみ悶え、転げまわり死ぬだろう、英雄など幻想にすぎない、英雄は幾万の哀しみと憎しみを背負っている、英雄が意気揚々と演説を行うと同時に死者たちは集うだろう、日に日に痩せ細り、身動きが取れなくなった時、英雄は英雄でないことを知る、眩い共犯者、漆黒の闇から姿を現し、錆びた銅像の前で壊れた傘を片手で高く上げ、踊る、血管が身震いする、低所得者の住む高層アパートからビールの空き缶が投げられる、太股はやわらに汗ばみ踵をさらに高く上げる、磁石に吸い寄せられる様に亡者どもは地上の番人を待ち望んだ、今すぐにでも壊れてしまいそうな神経で見守る、背凭れの椅子から悪魔が蠢き、呪いの言葉の数々を吐く、気味の悪い笛の音、羽根が捥げた蝶の群れ、ミシンで布を織る老婆たち、怪奇現象は波紋のように世界に向けて広がっていった、3頭身の子供はすべて片腕がなく半身が栄養失調で薄汚い発疹で包まれ生まれて即座に道路脇に捨てられた、飢えて仕事に炙れた工員たちはヤニで汚れた歯で道路脇から拾いお構いなしに鍋で煮て子供を食す、胃が爛れて嘔吐を繰り返す様になり、標準の300,000倍のスピードで様々な寄生虫が発見された、もはや消滅は近いだろうとノイズだらけのテレビの中で科学者が、長年の衛生観念による妄想から、自ら身体に火をつける多くの自殺者たち、半分気を失いつつ腐った魚の骨をしゃぶり続ける青年たちの行進、虱だらけの義足の男同士による雑踏での喧嘩、毛髪の半分が抜け落ちた女たちは身体を捧げ、知識のない子供たちは注射器で麻酔薬を過剰投与した、完全に麻痺している、世界中はいまに大変なことになる、預言者たちは未来に救いを求め神の子の再来を噂し、身体能力の高いものたちは、脱走を試みたが半分は湖畔の上で溺死した、もう半分はあらゆる島々でそれぞれのコミューンを形成したが、殆どが梅毒に脳味噌を冒され、砂浜で手製の槍を持ち殺し合った、劣等遺伝子の蔓延、言語は言語の形をもはや保てず、明確な単純行動においてのみ通用する、食事、睡眠、性交、それだけ、知的階級の貧弱さは周知されている通り、即座に地上から排他された、君がいなくなったとき、私は幽閉された建物の便器の隙間から君に対する思い出を語った、食卓が懐かしい、長い髪が懐かしい、緑の芝が懐かしい、微笑が懐かしい、バスタブが懐かしい、手の温もりが懐かしい、道路工事の騒音さえ人ごみの鬱陶しさでさえ排気ガスの臭いさえも懐かしい、それらは消滅してしまった、人間が人間であるゆえの当たり前の生活など糞食らえと神は申すのだから、悲惨な環境の中、快楽を追求し続けた猛者たちは、地下に帝国を築き、人類に対する獰猛な悪魔、ウイルスの蔓延を阻止しようとした、ハイエナが腐肉を求める嗅覚の様に、多種多様な亡者どもが地下に亡命した、疲労困憊精神薄弱、居住スペースのあまりの少なさ、密室的悪夢、もはやエレベーターの中の巨人像、金庫の中の野鼠、日照られたバスケットの中の流氷、ストレスの増大著しく、小競り合いは免れまい、気の合う者同士が徒党を組み、白線で領地を区切る、酸素濃度の低下、やがて無駄な争いごとを避け、皆暗闇の中妄想に暮れる日々を享楽し、もはや夢を見て生きることは過去の檻の中、生活改善、老人の名誉、博覧会の論文発表、バーでの下らぬたれごと、電子機器、ペディキュアの爪・・・そして太陽は?太陽はどうしている?・・・平均温度55度、めくるめく死の世界、静かに時をゆっくりと刻む、言葉は無用、けものたち、昆虫たち、微生物たち、植物たち・・・はそれぞれ種の保存の為に、進化を遂げつつあった、あるものは滅び、あるものは生存する、極めて単純明快な自然摂理、時の概念はいずこへ、亡者どもはごくわずかな身体の動かぬ者たちが生存し、必要最小限の心拍を繰り返す、聴覚、視覚、嗅覚はすべて失われ、他者のない世界へと幽閉された、自己のみが形成する世界、何もかもが許容され、億劫なことはなにひとつない、自己同一性異次元は望む限り底なしに思いのまま繰り広げられる、摩擦を拒むものは草木の生い茂ったのどかな自然的自己同一性異次元を、家族との団欒を好むものはミクロファミリア的自己同一性異次元を・・・飽きることない、事物の実体化は勿論のこと、精神そのものすら無限に形成する、永遠に終わりなきパズルを組み立て続ける、意識は恐るべきことに不滅である、肉体は腐れ果てても、未だ繰り返す、完璧主義者たちの愚かな欲の底なし沼で、足掻き続ける、破滅することがないのだから、あなたはあなたの望むままに肉体と精神、それらを取り囲む対象物をつくりあげ、あなたは次第にあなたとそれらのものが鬱陶しくなり、滅び、そしてあなたは再び新たなあなたをつくる、なんて素晴らしい憂慮に充ちた退屈な反復作業なのだろう、だがあなたはそれに気付くことは永遠に有り得ない、あなたを形成したのもまたそのあなたであるから、邪心抱き、識別されていく過去の亡者の心音によって、訣別か、大望か、容赦なく襲い掛かる数々の、あなたの手によって、あなたの決断によって、つまりあなたが見たそのものたちによって、丸い目に映る虚像に揺り動かされる、万理は果てしなく断続する望郷の念慮、引き裂かれた魔物たちの策略によって、静かな森は、静かな海は、静かな丘は、観点を変えれば忽ち獰猛になるということを知る、道行く人々は宗教家の手中に収められ、貧弱で、日射を浴びれば干乾びる、現実に即しない、計算され尽くした城跡、世界が滅びるその観劇をあなたはその目で子供のように見つめ、溜息ひとつ溢さず、ただ項垂れる、希望も絶望もなく、虚無に逃げれば過去の雨を思い出す、使い古した口紅の匂いが鼻につく、暗黒の祭壇、ざわめき声が、どこからともなく聞こえて、過去の出来事の断片が、とても耳障り、影は大きくなったり小さくなったりする、指は芋虫の様で醜い、蝕まれた楽園、相思相愛、真っ白な肌の青年がコーヒー豆を轢いている、無機質なその音ただ愛おしく、目玉焼きとハムの焼ける匂い、人工衛星から直角に見下ろす、低迷したり高速に回転したり、一体きみらは何がしたいのだ、子作り・・お金儲け・・来世に備えての身体改造・・聞けばおおよそ意味もなく動き回り、まるで誰かに命令されているみたいに、命は限られている、あと少し、聴診器で嗅ぎ回され、夢遊病だ、末期癌だ、結核だ、精神疾患だ、と何が望みなのだろう、病院のベンチからビルの屋上を見上げると、あの時の自分が見下ろしていて、目が合った瞬間恐ろしくなった、身震いして点滴を澱粉からアルコールに変えて外に飛び出し走る、不整脈をイヤホンに繋げ音楽として楽しむ、ボトルを頼むと同級生がいて、自分と大して違わぬ人生だと笑う、われもさようと思い笑う、この乾いた笑いを誰が予期していたであろう、あの入り口に行こうと手を引っ張られ、抵抗する余力なくただ従うままについて行く、星雲の煌めき、拡大解釈の末期、こんなにも小さい存在だったという事実に今更ながら正直驚く、酒でも飲まなやってられんなと振り向くと、同級生、重力なき空間にて顔のパーツがバラバラに漂っている、口のパーツが語りかける、醜いままでいたら知らずに済んだ、と、声届かぬまま渦の中に消えていく、薄い青の世界、塵の恒河沙という数の単位、まどろみの中ゆっくりと溶けていく、思考、精神、身体は洗われまた現世なる者に向けて旅立っていく、時の壁を越えて、地軸を揺らして、彩色迸り、美醜の形作り、錯乱の彼方、脳みその皺の数、再び全能者の手中へ、止め金だらけの肉体、拷問され往く亡者どもの群れおっかないか化け物め、体内で暴れ狂うそいつをどうにかしておくれ、鞭打ち刑、プラスチックの模型の数々、轟音から静穏へ、死にいく為の朝、茫然自失にて泥でぬかるんだ一本道を歩く、周りには何もないあるのはひたすら永遠に続く闇、悲しきことかな、我を救いたもう銀髪の天使は霞と共に消えてしまつた、蝋燭の炎の様な揺らめきが眼前に立ち塞がり、両手でそれを掬おうとするが追いつかない、すぐ傍にあるはずの生命の潮流、助けてくれと子供たちの泣き声、小蝿が飛び交う目の裏側にて、やがて形をつくり世界地図の様になる、広がり往く領土、壊れた傘の穴から照る日の光を浴びて、かのような美しい様を、壊れいくものは美しい、例えば路上に徘徊する老犬、やがて疲れ気力がなくなり身体中の水分が剥ぎ取られ骨と化すその時間経過は美しい、例えばテントにぶら下がる革命軍のランプの光、暴風に揺られ、敵の散弾にやられ、所有するべき主人を亡くし、やがて雨が降り続け老朽化し、紐が途切れ地面に落ちるその刹那は美しい、脳にこびり付いた景色を鑑みる、暮れる夕日細長く聳える稲穂、鉄兜の亡者どもの従軍、襤褸切れを纏った子供たちの踊り、実体化する?どうして?実体化せよ!!命令の合図、小気味良いラッパの音!!!行進せよ!!!毛糸の織物、虫食いだらけで、蚕の養殖、河原で洗濯し、ひたすら宙に浮くイメージを掴み取れ、運命とははたして何か、あなたが生まれ、かの地に宿りて、墓前に父と母の名を記し、呆然とひたむきに日々を握り締める、教えられたことなど何もない、ただ産み棄てられ、お金儲けに専念せよとの念仏を噛み締め唱える、矛盾に気付くこと数限りなく、植物は風にゆられるまま変化なく不気味に生い茂りまるで人類の監視者の様に密かに世界を牛耳っているはずだ、昆虫は自由気ままに地を徘徊し触覚は世のおわりを予言するような探知機であるはずだ、凍てつく寒さが神経を渡り歩く小人たちが毛髪の中に潜んでいるはずだと、殺伐とした木の根っこが生い茂りアスファルトを憚らんとする、殺人者として祀り上げられたその日、下世話な女房、子供などもう懲り懲りだとこの街を発つことにした、都会を求めて、退屈からは救ってくれるだろう少なくとも都会というやつは、生前から浴びせられた罵詈雑言を煮詰めて、酔っ払い、下衆野郎、ろくでなし、片輪者、小便くさいウオノメ、雑炊でも作ってみようか、必要なのは食物じゃない、世界中で吐き捨てられた痰だけだ、一体きみは何をくよくよと思い悩んでいるのだ?現実は現実にすぎず、それ以上でもそれ以下でもない、今ここにいること以外他にどのような現実があるというのだね・・精神の発展を願っている?希望を持ち生きる実感を常に掴み、成功を妬まず、こころよい人間としての生き様というやつを知りたい・・いきざま、いきざまだと?聞いて呆れる・・全く・・反吐がでやがる・・いきざまなどほざいている輩などろくな人間じゃないね・・大方・・社会に飼われているとも露知らず大手を振って街中を歩き、毎晩まるでスープを飲むように臆病に自らの血を少しずつ吸い続け、まるで世界の問題をまるごと片付けた様な面構えでいい気に説教など一人前にのたまわりやがるが、現実は年中便器に跨り、自らの糞を毎日食い続けている、腐りきった連中だよ、知って損はないだろうがね、社会はそんな連中の群れで構成されている、きみはまだ純粋だ、それを知らんのなら十分に純粋だ、神は発見する、早熟な袴を着た虚ろな眼の女たちを歪んで見えるのは草原の向こうの黄昏のひととき、神は発見する、無謀な旅を続ける若者たちを、可哀想にきみらはまだ知らないことがあまりに多すぎる、列車の寝台の蛍光灯に向かって蛾が麟粉を撒き散らし歯に噛んだ笑みを合間見て妖精は魂を入道雲の上へと導く、神は発見する、聳え立つ生霊の群れを、憎しみや妬みを解き放ち、かのような怨念からは何も生まれないということを密かに教示する、神聖なる者たちへ美しき賛歌を与えよう、綿工場に、精神障害者施設に、保健所に、道路工事の現場に、バラックに、川の高架下に、ゲットーに、赤道の直下の村に、刑務所の運動場に、お祭り最中の屋台に、疫病隔離施設に、避難所に、火山口に、核実験施設に、鉱山の麓に、都会のオフィス街に、空港の売店に、サーカス団に、下水道に、とある街の地下室に、遊歩道に、雑居ビルに、そしてこの太陽の下に数少ないが神聖なる者たちはいるだろう、私はそれを願っている、願わんとすれば何を救いに生きようものか、手提げ鞄を引っさげて早朝から電車に乗るか、慰めに犬を引き連れて公園に散歩しご近所連中にお愛想でも振り撒こうか、労働に誠意を持ち経営者に好かれるように従順になり自分たちの家というものの為に一生奴隷になるか、どれもこれも馬鹿げている、大したものだよまったく・・社会というやつは会社というやつは政府というやつは、よく出来ていやがる、意義やら目的やらという阿片を与えて(マルクスが言及する様に)他人のことなど何も分かりはしないのに、卑屈面でまるで一生を保障してやると言わんばかりに、弱い心につけこんで飼い犬にする方法をよく心得ていやがる、そうでなければ人間なんてとうの昔に滅びているだろうに、まったくどいつもこいつも糞食らえ・・ああ・・神聖なる死者たちよ、どうか我々を救いたまえ、ランボーよ、ボードレールよ、フーコーよ、ロートレアモンよ、セリーヌよ、トロツキーよ、アルトーよ、ヘルダーリンよ、ニーチェよ、イエスよ・・神聖なる者たちにしかもはや救いはない、この地獄の土地では、神聖なる者たちに向けて、広汎なる素晴らしき想像を、穏やかな記憶の遥かなる海を、無限に等しきひとつの愛を、懐かしき友人の面影を、彩色溢れる美味なる果実を、非凡なる隣人たちの優しさを、もう一度この土地で美しき祀りを、哀しき婦人たちの涙を・・・すべて解き放て、名のない霊園で、神社で、祭壇で、そして神聖なる死者たちのもとで、あたらしき精神の豊かさを、次々と生まれいく大地の源で、暮れていく深い森の奥で、いつか心から笑える日を望んでいる・・俺はどう生きればいい、屍の群れに埋もれて窒息し、死ねというのだろうか・・確かにそれも一興と言える、精神は衰退し、やがて幻覚を見ることになるまで落魄れるだろう、もはや人とは言えない、醜い無痛の肉の塊、白目は剥き出し、口は開いたまま、それでも今よりは充分に幸福だろう、四方を真っ白い壁に囲まれた祭壇で、俺は神聖なる死者たちの魂を呼び起こす、「自己とは一個の他者である」親愛なる唯一の友人アルチュールランボー・・俺はその救いに必死に縋りつく、狂ってしまえば何も見ずに済むだろう、狂気に支配されれば生命は脈拍をなくし、暗い精神の墓場にゆっくりと魂は降りていく、肉体は天使たちが織成す光を求める、肉体と精神の分離、そうだ「俺は一個の他者である」、独りでに霊がとり憑き革命家に成り果てるのか、世の末での哀しい一人芝居の末路は悲惨なものだ、この無益なる旅はまだ続のか!!クソッタレめ!!!何故俺は狂人に生まれなかったのか・・この世の多くの不幸、神を呪うのであればそのことだけだ・・「君は星を見るはずだ。とっても綺麗な輝く星を。心は洗われ、聖者の渡し舟が君を迎えに行くだろう。生命の結晶を信じ、すべてを愛し、ひたすら願う。解放を求めて。」憎い、俺は憎いのだ、あんたらが、詩人たちや宗教家によって語りつくされた言葉なんか何の救いにもなりはしない、くたばれ宣教師ども、歴史を見やがれ、生きることは無力の証明に過ぎない、生まれた時から敗北は決まっている、芸術なんか死ぬまでの悪あがきだ、政府のくそったれども、それより阿片を配給しろ、絶大なる効果は歴史が証明している・・大勢の妊婦の待合室、運命付けられた蜘蛛の子は、腹を減らし、欲のリンパ腺を刺激する、切れ長の目、虐待され、網膜剥離、歯槽膿漏、デリカシーのまるでない政治運動の街宣車、それでも何もしないよりはマシだろう・・この諦めが亡者どもを限りなく衰退させる、酒に酔い、退屈な人生の僅かなる酩酊、滅びろ、何もかも滅びろ、幸運とは無になることである、現代社会において自己保全をするならば徹底的に他者を無視することだ、その意味でオオカミに育てられた少女は幸運だ、歴史上類まれなる幸運、母よ子を皆捨てたまえ!!!解放の手立てはそれしかない、老人の知恵など糞の役にも立ちはしない、歴史学者、科学者、経済学者、文化人類学者、心理学者、精神医学者、政治学者、文学者、法学者、建築学者、理学者、動物学者、統計学者・・・すべての知識人、文化人を虐殺しろ!!!もはや子供にしかこの社会に救いはない、子供に権力と利権を与えたまえ!!!汚れた血は永遠に汚れた血のままである、拭い去ることの出来ない愚かな虐殺の歴史、この社会で優しさなど何処にも存在しない、道端のゴミ箱を漁ってみれば分かる、鼻紙一枚だって価値あるものは見つかりっこない、あるのはただ絶望だけだ・・息を殺して娼婦の寝床で潜まりただ暴動が鎮まるのを男は待つ、迷いに迷った挙句手に入るのは膨大な他人の髪の毛、硝子細工の子守唄、眠たい・・眠たい・・暮れる週末・・風に靡く馬の蹄の音・・拳銃を手に取り鋼鉄の刃に立ち向かう勇猛なる亡霊を崇めたまえ、竪琴を手に持つ音楽家は賢い、縦笛ひとつで観衆を魅了する、生まれ変われるのなら音楽家になりたかった・・贅沢な豚より貧しいソクラテス、木漏れ日の夜、青年たちは革命を密かに計画し合う、隠れキリシタン、アナーキスト、コミュニスト・・君らは贅沢に人生を全うした、ああ・・シンパ達よ、ひとつの忘れ去られた街のひとつのある大量虐殺、皆が寝静まった頃、子供は武器を手に取るだろう、大人たちからの唯一の防衛策、家にあるありとあらゆる刃物をきみの部屋のベッドの下に隠すのだ、脅えることはない、君らは力がないだけで充分に賢い、魂が乗移った人魚たちの悪魔の歌声、モナリザの目は下卑た非人の目だ、田園の風景は人の顔に見える、この世のありとあらゆるものは人の顔の性質を持っている、まったくタチが悪い、たとえ世を捨てても思い出させる下衆の笑い声とやらを、法事の為に久方に故郷に帰ると隣人はただの他人に見えた、親しみをこめた笑顔は凶暴性を必ず秘めている、表裏一体、紆余曲折を経て、故郷の叔父、叔母、甥っ子を包丁で刺すと腹の中から大量の毛虫がでてくる・・とある生き物の象徴・・夢であるならば地中で眠るだけなのに・・とある生き物の象徴・・バラバラに粉砕された贅沢な骨の一部は、土に埋められ芽を育む、さあ、獰猛な悪魔の誕生だ!!切り裂きジャックの記憶の一部を脳に埋め込まれ、大量の老婆の腐った狂気の処女性、老人たちは山へ遺棄される千の夜を越えて溶けた目から生まれる邪気に満ちた生き物はこの世の何よりも醜い、憎しみの雨、濁流と共に下山する、雲の隙間から月の光に照らされて狂った報復の祀り、女たちは夢魔に腹を切り裂かれ夥しい数の蝿の子を産む、大量の生命の結晶体は生態系そのものを変化させる、ある晩のことでした、いつもの様に家事を済ませ寝床につくと、障子の隙間から紅い月が見えるのです、綺麗なまんまるの紅い月、妖しい魅力にとり憑かれ私は正気を失うのでした、もの哀しいオカリナの音色と共に世界は静止するだろう、波に打たれる海岸の大岩は朱肉を連想させる、小蟹は岩の割れ目に逃げ込みやがて大きな腕となって海面に現れる、小さな渦が所々で発生し真上から見ると大きな口の様に見える、やがて生命の調律線を説き解くことになるだろう、葬式で録音されたテープレコーダー、怪奇なその眩い声は無限に宇宙に拡がり地下に潜む小さな虫たちは談話する。「鳥たちの群れは空中に円を描く・・ああ・・救世主よ耳鳴りのするこの地響きは何だと言うのだね・・タスケテクレ・・終わりなき妄想・・きみらは知っているか・・やがて引力は強くなり宇宙の果てに投げ出される・・関係ないさ・・ぼくらはここでじっとしていればいい・・いいさ、調和は保たれるとある種が滅びることによって・・生存価値なきものは死に値する・・無限の時間を越えて苦悩は空間を揺らす・・食い荒らせ・・滅びいく者たちを食い荒らせ・・創世記より君臨していた我々を駆逐した化け物たちを食い荒らせ・・そのおかげで僕等は自由になれたとも言えるがね・・遠い砂漠の僻地で今も仲間たちは苦しんでいるよ・・灼熱地獄で変化を遂げた僕らの偉大なる祖先に乾杯だ・・血をみるのはもうよそうよ僕らは本能のままにただ生存してきた・・共食いは世の波長を狂わす・・静寂はひとときの幻さ・・」度重なる発熱と吐血・・白紙の死亡通知、子供たちの宴、アンバランスに偏り地軸をずらす、泣き虫は鬼に食わせろ、堕胎の血肉、創造と無造作に群れる死にいくハイエナたち、俺はこの灰色の空に向けて幽玄なるすべての魂を解放する、未来に向けての草莽、火葬、掘り起こされた墓場の骨の数々、もはや苦しむこともなかろう、贅肉を食らうなよ!!遊女を浚うなよ!!庇護を暇うなよ!!戦を享楽するなよ!!大丈夫、君らの事だって俺は気にかけている、さあ、今宵あなたの散歩道は地獄の業火に見舞われ、紅葉は葉脈に変わり果てるいつか理科の実験で見た人体の骨格の様な亡き姿に、サナトリウムに幽閉された角の生えた単眼症の畸形児のことも、実験台にされたクローンのホルマリン漬けの胎児のことも、意地悪く解剖され臓物なき肉体で無縁仏に眠る死者たちのことも、俺はすべてを気にかけている、静かなる海は血潮と共に嵐が吹き荒び、永遠に麻痺する苦しみ悶える歴史の英雄たちの悪魔の遠吠えの声と共に、鳥たちは嘴で互いに互いを突き合うその鳴き声、空から美しき大量の羽毛が降り注ぐ、まるでこの世の終わりを予言する生命の雨と賛歌の様に、そして絶え間ないか弱き鼓動と狂おしき大地に見紛う般若の面の様に、すべてはゆるやかに溶けて交差し混ざり合っていく・・欺瞞と汗水と結晶と涙と革命の光と策略と裏切りと湯水と疫病と肉体と頬骨と城壁と歴史と奏でられたとある楽曲とそこに佇むべき音楽家と古代より幽閉されるべき森林とそこで暮らすとある部族と満面な笑みの老いたマザーテレサと縄遊びする孤児たちとアウシュビッツの死刑場跡地とネオナチスのデモ行進と魔物たちの血の池と魔女裁判で火炙りにされた罪なき民衆たちと放蕩する貴族と西洋の名家の末裔と深い海に沈む溺死者の腕時計と海草に覆われた古代神殿マヤ文明と星座を創り愉しみを得た砂漠の遊牧民と繋がれた馬車馬の耐えがたき労働悲惨な末路と砂浜で産卵する海亀とそれを見守りインスピレーションを得たむかしばなしの作者の釣り人と蝙蝠が蠢く洞窟の静かに時を刻む鍾乳洞と棺の中の吸血鬼の洋館と空に閃光する雷鳴と霧に覆われた薄い緑色の湖と流れ着いた腐った流木と空き缶の中の囚人の手紙と整形手術に失敗した中国人と傍らで笑う隣人たちの火おこしの吐息と絶滅した動物モアの優雅さと地図を失った盲目の狩人と闇市で精製される濁酒と戦争未亡人たちが売る洋服の数々と自転車修理工の欠けた脂で汚れた黄色い前歯と髪飾りと着物で装飾した江戸の町娘の白いうなじとエタ非人たちが腐った牛の臓物で煮た鼻につく雑炊と雉の絵柄の扇子と羅生門の強盗と病室の千羽鶴とニューヨーク近代美術館にひっそりと眠る狂気フランシスベーコンの絵画と電気治療室のウォーホルとエンパイアステートビルと見世物にされる檻の中の動物たちと結核の特効薬の発明と蔓延するエイズウイルスと黒ん坊の子供たちの教会の賛美歌とサバイバルナイフで抉られた人肉とメコン河に架けられた橋で逃げ惑う着火したベトコンとベルリンの壁の崩壊で飲まれたシャンパンの空き瓶とスターリンの全体主義と闇に潜む多種多様なアカ組織と米軍のヘリコプターの羽音と救命胴衣とナパーム弾と網で焼かれる塩漬けの小魚とシェイクスピアの悲劇と嘔吐されたパンの屑と饐えた臭いとヘロイン中毒者の無痛の注射痕とミシェルフーコーの脳内の蛆の交信と腕が変に曲がった溶接工とヴェルヴェットアンダーグラウンドのニコの歌声と公衆トイレに捨てられた黒いガーターベルトとトルコ貿易の死の商人の麻薬と小麦粉で練られた屋台のパンケーキとムンクの叫びに似せた北朝鮮の独裁者と農業に従事する博打好きの男たちと熊と格闘するハンターと鉱石所で眠る無数の特殊工員と鉄条網に突き刺さった鹿の角と高速道路開通記念パーティーとアンドレ・ブルトンの溶ける魚とアントナン・アルトーの苦悩に満ちた嘔吐とアルチュール・クラヴァンの鉄の拳に隠れた優しい憂鬱とエドモン・ジャベスの乾いた言葉の砂漠とルイ・フェルディナン・セリーヌの慈悲に満ちた呪詛とアルチュールランボーの暴力に支配された錯乱とが・・ロートレアモンの老いたるわだつみの中へ消えていく・・そしてそれらすべてが交差しゆるやかに溶けて混ざり合っていく・・ゆっくりと稼動する時計塔の歯車の様に・・決定的に苛まれた使命感を経て、世界はひとつの有限性物質にすぎないということを気付かせるであろう、愚かな創始者に向けて、俺は歌を謳い続けるだろう。狂った山河の亡霊と窮屈に戯れる蝿と死骸、深い遠い海の底に沈んでいく、周りに取り囲まれた気泡は夢見心地にさせる、生命の脈動を直に肌で感じ、海底火山の噴火が時を静止するだろう、突如現れた一人の少女は微笑みかけ、皮肉にも心を掻き毟る、生命誕生已然の遥かむかしのある晩、等しく与えられた躍動は命の尊さを教える、末期症状で血液は逆流し、鎌が首を刎ねる、転がった首を見て死刑台の傍に佇む一人の少年は悶絶と憎悪とを自らの邪心に深く刻み報復の炎を燃やす、苦悶の声を反芻しながら少年は闇に紛れて路上を彷徨い右手に握った鳥串である醜い男の頚動脈を刺す、血に汚れた掌を街灯に翳して少年は驚愕する、血がこれほどまでにどす黒く穢いものだということを少年は知らなかったのだ、途方に暮れて裸足で一心不乱に駆け出し、川で血を洗い流し次々と流れてくる豊熟した水死体の幻想を見て、突然耳を尖った石で狂ったように叫び切り裂いた、溢れ出て来る多量の血はある醜い男のものとは違い美しい朱色で少年は胸を撫で下ろした、これで死刑台の生首もとある醜い男の穢れた血も枕元で眠る母の顔すらも永遠にお別れだ、ヴァンゴッホの耳、それは偉大なる狂気の源泉である、出来ることならかの少年にも教えてあげたかった・・タブローに描かれたその彎曲された自画像は皮肉にもリアリズムの永遠なる停止したある苦悩の時間を我々に暗示する、断続する存在なき耳鳴りは親愛なる弟の声すらも霞と共に消え去り、蛆と小蝿の羽音を風潮し、よもや遥か彼方に消え去ろうとする自意識が出産したその分身の数々は所構わず嘲笑し、死に逝く間際、天井をぼやけた焦点で穏やかなる眼差しでじっと見つめひとつの真理が何かを知るのであった、かのような惨事は至る所で起こり得る、ゴッホですら人生の大半を費やした上で左様であるから我々には知ることすら困難であろう、かの少年の様に奮闘する行いですら立派であると言えよう、美しき精神の反逆を今こそ我々は推奨しなければならないのだ、国家を呪い民衆を巻き込み精神の革命を発起せねばなるまい!!まさに時代にいる我々がやらずして誰がやろうものか!!もはや腐り果てた人とは言えない亡者どもが街を徘徊し残飯を漁り衰退した愚鈍な精神の惨めなこの様をかの少年は悲しむに違いないだろう、歴史の傷口に唐辛子を塗りつけ我々が奮起する時は近い、事態は一刻を争う、真っ黒いカーテンのヴェールに覆われ、世界は夕闇に似た惨落に透過し、魚の尾鰭は黒い斑点を宿し伝染病を運搬する、背の高い亡霊たちが都市に無作為に表出し、倒壊する様をせせら笑う、直立した大きな腕は辛うじて地軸の平行を支えるが、雪崩の如き、亡者どもの波紋はもはや止まる事を知らない、電信柱の影で嘔吐、地下の下水道で嘔吐、ホテルのレッドカーペットに嘔吐、草葉の影で嘔吐・・度重なる嘔吐の連続、嘔吐は又嘔吐を呼び、緊張状態は限界に達する、足の踏み場は存在しない、空気は振動し寒そうにガタガタ震える、動力源は地中の奥深くに眠っている・・脱出せねば・・脱出せねば・・太陽系宇宙外へ、歴史的創造物は大雨を降らし大混乱に導く、堕落の果ては沼の底に沈むだろう、剣を手に持ち世界を真二つに切断するのだ、ミイラたちが艶やかな色の様々な民族服を身に纏い、沈む黒き太陽に向けて祈っている、蠍は腹を空かし砂漠の王として君臨し力尽きた水分不足の味気ない人肉を貪る、その骸から菌が発生し、亜熱帯地域は多量の茸が生息する、黴の大量発生がまるでドームのように円状に大気を蓋い、恐ろしき肺病が蔓延する「いきとしいける生命の諸君、非常警戒発令が宣告された、直ちに種の保存の為に臨戦態勢を整えよ、今宵いまだかつて見ぬ全生命の争いが始まるだろう。」神の気まぐれによって我々は産み捨てられ、何の目的も与えられぬまま、何の為に、何を成すべきか、何をして生きたと言えるだろうか、理解に苦しむ曖昧模糊とした表象型の人体の骨格のイメージ、脳という最大の欠陥物を抹消せねばなるまい、考えること即ちそれは全く無益な行動に帰結する、興奮物質を欲するがまま命令される、我々は脳の奴隷である、我々は快楽の奴隷である、想像力は罪である、人という生命体の器を遥かに凌駕する脳という最大の欠陥物を抹消せねば・・永遠に鼓動する脈動、白き衣に姿を宿し、紅に身を染める、蘭の香りただ愛おしく、毛髪を束ねて闊歩せば、うつつのものただ醜く息苦しゅうて、あたらしき地に足を運びたり、存在なき世界のただ美しきこと感慨深く、鬼の居ぬ間に住居を構え、仏壇の線香のかほりに誘われて、いとしきご先祖と再会す、思考はゆるやかに小川のせせらぎの如く安堵せり、いと素晴らしきことかな、なにもなきことはこころよきことなり、我かの地に安生す・・永遠に鼓動する脈動・・それは終わりなき境界なき空間、時間概念なき穏やかな狂気の寒空、物質概念なき人智を超えた驚愕に値する魔法の呪文、神の大きな手によって指定された究極の聖域、あしきもの立ち寄るべからず、魂はかの地に永住し楽園を築く、神聖なる精神の墓場即ち永遠に鼓動する脈動・・最果ての地にまで到来してしまったか、善は急げ、急がば回れ、終ぞ報われることはなかった・・神聖なる者たちよ、諦めるのは早い、船出せよ、木の葉の様な稚拙な小船でよろしい、老いたるわだつみに果敢に挑むのだ、海の藻屑から沸き出る血気盛んな亡者どもを殴り殺せ、白鯨の髭で弓を心臓に射よ、死肉を嘔吐せずに食らうのだ、冒険はまだ始まったばかりここからが本当の地獄の合戦だ、月の光りが亡者どもを衰弱させるその契機を逃すなよ、きみらがやらずして誰がやる、殺せ、嬲り殺してしまえ、隣人から何を得た、主から何を得た、神父から何を得た、憎しみや責苦を忘れるな、情景を目に焼きつけよ、沸々と怒りがこみ上げてきやしないか、骨を粉々に粉砕せよ、目玉を刳り貫け、喉仏を噛みちぎれ、亡者どもが船先に姿を現そうとも怯えることはない、ゆっくりとその腐敗した長い舌を引っこ抜け、船体に附着した夥しい数の亡者どもの骸に唾を吐きかけろ、亡者どもは執着心が強い、漕げども、漕げども、岸には一向に辿り着かず、何処までも亡者どもは追ってくる、集中力を途切らすな、安心しろ食事には事欠かないだろう、亡者どもは贅肉を鱈腹蓄えている、煮ても焼いても存外に旨いものだ、やがて緊張の糸が切れる一寸先に想念の大陸が見えてくるだろう、安堵するなよ、何処にだって亡者どもは節操なくいやがるからな、決闘の前に刃を磨いでおけ念入りにな、そこでは地獄の祀りが行事られているだろう、純粋なる少年少女たちを燻製肉にし槍で突き刺し踊り狂いもて遊んでいる、少年少女たちの目玉を宝石代わりに胸元に身に付け着飾っている、少年少女たちの未成熟な足の指を飴玉の様に転がしている、少年少女たちを生きたまま炎の祭壇に放り込み苦悶の声を聞き愉快に笑っている、まったく趣味の悪い連中だよ、落ち込むな、君らのせいじゃない、この世に必要ないのは俄然あいつらのほうなのだから、百款はあろう最も醜き亡者の主が百人の少女の血のワインを飲み干しながらほろ酔いで鼻歌まじりに血の湯に浸かっているだろう、足音静寂に背後に近寄り喉元を一気に横一線に掻っ切れ、浮遊する様を刹那に横目で感じ、一目散に逃げろ、不可蝕民の下卑た亡者の家来どもには用心しろよ、恐ろしく足が速いからな、構うんじゃないぞ、狙いは亡者の主だけだ、そして暗闇の安息の洞穴にて暫し休息しまた次なる機会を待ち臨め、君等はなんせ少数だ、焦るなよ、くれぐれも慎重にな、苦しいだろうが致し方ない。錆びた音色のオルゴールは懐かしき思い出を蘇らせて古びた小屋の背凭れ椅子は僅かなる夢を成就させる、苦しゅうない全生命よ、希望の星はアンドロメダの彼方に手を伸ばせば届く距離、太陽系の星の周期は念じれば魂の躍動(ダンス)に早変わる、余計な知恵など吐き捨ててしまえ、目の前にある美しき色、匂い、形をただ感ずれば、おのずと精神に豊かさを齎すだろう、掌の接触からシンパシーを情念し、虹のオーラが拡がりて、偉大なるあなた自身の楽曲が奏でられる、抜け殻に灰を被せ艶かしい肌の質感を愉悦せよ、本来自由そのものだろう、縛りつけているのはあなた自身だ、触覚が電波を受信しノイズ混じりの映像に未来が微かに見えるだろう、そこは乾いた砂漠の果てか女神たちの楽園かはたまた血反吐の池の中か、あるかも知れぬ希望を若きものたちに委ね、じっと見守るべきなのかも知れぬ、俺だって苦肉の争いを望んでいるわけではない、誰しも本来は生きるべき素質を兼ね備えているはずだ、そう運命づけられていないのなら一体何に期待を寄せるべきなのか、おわりなき思想の反芻は帰結するべき時がくるのだろうか、判断の予断は少なからず後世に遺しておくべきだろう、人間に内潜む魔物とやらに目を叛けず立ち向かう同志の為に、まだ闘い続けよう、苦悶に満ちた網目の空に浮かぶ静寂の道しるべを夢見て、曝け出された針の筵の遥か上に夕焼けの昏睡を遺して、切り裂かれた霹靂の蒼き受難に苦しんで、受肉を噛み締めた猿轡の如き悶絶を経て、英気に充ちた勇猛果敢な戦士の野望に親しみを込めて、白き山に聳える永眠を琴線で感受して、細きか弱き美しき胸に抱擁される幻想を頭に描いて、望郷を思い出す幾千万のひとときを越えて、強欲な屍で形成された道へ目を伏せながら踏み歩いて、髑髏の城の門番を鋭い眼光で睨みつけて、堕落するな、立ち向かえ、時は既に満ちている、亡者どもの策略に陥れられぬ前に、君らはまだ充分にやれる、一方此方の半生は悲惨なものだ、親指程の貧弱な背丈で排水溝をうろつき腹膨れた蛙が仰向けに道を塞ぎ行く所など何処にもありはしない、仕方なく映画館の椅子に座り無声映画の滑稽な情景を思い描き、ただスクリーンに映っているのは自分自身なのだから結末は想像がつく、芥子の実を額に擦りつけ永劫の麻痺を希求し、苦い青々しい果肉を頬張り死者たちの群れを走馬灯に燈す、煉瓦で身体の周囲を隙間なく塗り固め、形容し難い荒んだ容貌の凶暴な化け物を背中に背負っている、行きつくところは糞尿まみれの家畜小屋か地下牢かそれならまだ幸運だ、地獄への渡し舟の船人よ迎えに来るのは暫し待たれよ、時折耳に囁いてくる念仏はもはや聞き飽きた、三つ子の時分から何遍も同じことばかり繰り返す、稲穂の凶年の永続、そんなもので濁流を塞き止められよう思うな、悪が宿った生の迸りを見せつけてやろう、凶暴なる白痴の狂気の助けを借りよう、のう化け物よ、汝は俺の友であるのかはたまた地獄の使いであるのか、時には躍起にさせ高揚させるが、また時には絶望の沼に突き落とす、試練であるとでも言うのか、笑わせるなライオンの童じゃあるまい、さて今まさにこの悪しき呪いの歌を書き綴っているこの時に、下宿では沢山の蟻が目の前の壁を這っている、夕べから寝床にまでその蟻どもは押し寄せ俺を悪夢に陥れる、叩き潰せども叩き潰せども悪の巣から奴等はやってきて、そろそろ南のほうに足を運ばねば蟻どもに肉体が蝕まれかねないと身を案じている。また下宿の大家である老婆もまた酷いもので胃が爛れた口臭もさることながら容貌は魔女そのものだ、毎晩子供の尻を酷くぶっ叩き泣き叫ぶ声が部屋の壁にまで浸透して小刻みに震える、隣の部屋の老人は末期癌かいずれにしろ酷く重い病で、薬の小瓶を片手に持ち夜中に廊下で支離滅裂な独り言を呟きながら小便を垂れ流し這い擦り回るまさにキチガイの生き写しだ、アメリカのビート作家ウィリアム・バロウズによく似ていて、奴の静脈の亡霊かと勘繰ったくらいだ、その嗚咽の叫びが俺の耳まで痛めつける、気が滅入りそうだまったく、ここなら地獄のほうが幾分居心地は良いかも知れん、いやさもなければここが地獄とやらなのか、三途の川をもう渡っていたとは、笑わせるな、もう一度言う、ワラワセルナ・・その手にはのらん化け物よ、気色ばんだ女どもの高笑いを情報錯乱の顔なき者どもを、嘘八百の下らん御託を並べるだろうが矢の様に真空に突き通せ、今より紅の牢獄を射抜くだろう、亡者どもよ、怖気づくなよ、かかってきやがれ、善は苦肉にも生命の容色に映し、精細なる魂を夜空に煌かせる、道楽者に挑む戦場はない、快感を羨望に、永寿を鋭く神風の幽鬼に乗遷らせて、ガタガタぬかすなぐずぐずするんじゃない、曇る前の晴天の雲の上の野城で踏破せねばならんのだ、大々的に聖なる防波堤を大河に建築し、老いたる微風は直向きに存在を掻き消すだろう、宿らせし気配、背後に忍びし気配、頭上に悠々と豊饒する気配、あばよあばよここですべてさようなら、都市は墜ち果てたビルと共に赤茶けたカーテンに包まれて、排気ガスの雨霧も霞み目に消える、私衛は亡者の官邸を警護するが、骨格の幽鬼のプロペラ機が突っ込み爆破するだろう、これは宣告である予告ではない、千の小さな手に幻化し奈落の底に引っ張り込まれる、案ずるな、胃袋を交換条件に鬼どもを買収せよ、有機的価値ある徒党を組め、確かにあいつらは下種で野蛮だが、確たる信念を秘めている、あいつらの蹄で亡者どもの胸を掻き毟れば蜂が舞う様に無数の首が飛ぶだろう、氷の支柱を背中に浴びて凍傷を負わせ、オーロラは骸を空中のあるべきところに還すだろう、岩石の住処、巨人の棍棒、冠を被りし一つ目の知恵ある主に行末を尋ねよ、石化した涙だけが感情を主張する唯一の手段で、小鳥たちに雪の結晶を咥えてくるように哀願したが、ただ一切れの布のようにとりとめもなくさおに干されてゆれるのみそれがさだめか、人為的な手立ては一切無用だ、生身の肉体のまま抜け殻を老いたるわだつみに投げ捨てよ、やがて膨張し醜きまま、遊魚どもに目玉を突かれ、鷹に腕を浚われて、胃袋の中で、南極へ、北極へ、宇宙的意識へ、永遠なる旅路へ向けて、愉快だろう、俺は自然意思に委ねた価値あるひとつの葬儀を推奨しよう、私利私欲に突き進む亡者どものやることなんぞ何一つ信用に値しない、このひとつの呪いの歌以外のことはすべて真実に値しない、成程確かに貴様らは呪いの悪意に突如肉体を蝕まれて、少しは気を病めるかもしれない、だが日を明ければそれも霹靂の片隅に追いやられ、主のもとで変わらず諂ってやがるのさ、ありありと見える俺にはその光景が盛宴が、万のうち幾人かは消滅せぬ炎としてのころうが、手持ち無沙汰で途方に暮れるだろう、教えてやる、まず汝の傍の一番醜き寡婦の首をとれ、そして老いた教会の神父にその生首を見せつけてやれ、これが貴様の熟れの果てだとな!!真実なんぞそう転がっているものじゃない、あなた自身の美しき震えるその手でつくるしかない、無機質な灰色の凍える人工の顔なき山脈を狂乱と血気が迸る地獄の土地に変貌させよ、本来の真理の様相が見えてくるだろう、目を叛けるなよ、立ち向かえ、黄色い真平らの秤で養分を計り、栄養過多は顔面を風船の様に奇異に膨らませ、ある一定の限度を超えれば爆発する、大通りに転がっている幾万幾億の粉砕された器官を見てほくそ笑み、彩られた贅沢な死体の数々を呼応せよ、幻影それは老眼の衰え或いは従軍の最中落伍する兵隊たちの様に、蟻塚を鮮明な指で穿り関節の曲がった磔を想念する、魔法は本来文化と密接に関わり合っていた、とある灼熱の日曜日、葉の摩擦により煙が立ち昇るのを散歩中の一人の青年は発見し、木材の道具を用いて人工的に着火させるとことを発明した、人並みはずれて手先の器用なこの青年はこの道具の秀でた様を実演した、冬の食物の備えに一役買い青年を皆が褒め称えた、これはのどかなある時間のあるひとつの美しい出来事に過ぎなかったのだが、吹聴と情報伝達により歴史の大事件に緩やかに変貌を遂げた、青年は期待に応える様に様々な道具を発明した、その度に皆は驚き称え、青年は得意気に価値ある効能を演説した、だがある一人の醜き老婆により事態は暗転する、かの道具らは人並みはずれた青年の手によっては素晴らしきものであるが、皆が皆青年のように巧みに使いこなせる代物ではない、老婆はかの道具による不意の事故によって指を切断され、愚かにも青年を悪魔の子であると皆にふれまわったのだ、青年の思いは純粋であった、かの道具らによって対価を強請ることまるでなく、皆の驚きそして喜ぶ様をただ見たいそれだけであった、好奇心と才覚は時に老婆の如き私欲の亡者を呼び寄せてしまう、不幸にもさらに事故は多発し、青年は後ろ指を差される羽目となった産み落とした親でさえもあいつは悪魔の子であるとのたまう、平凡以上の名誉の後には必ず尋常ではない不幸が訪れるということを我々は肝に銘じておかねばならない、社会は人が群れれば必ず形成される、だがその社会を逸脱する行為及び行動及び発言はたとえ明文化されていなくとも秩序と言う必然の名の下でただひとつの例外なく必ず裁かれるということを、かの老婆の如き愚純な亡者どもは歴史の誕生と共に産声をあげ、周知の事実であるが昨今では見るも無残な深刻極まりない事態にまで及んでいる、我々は亡者の知性なきそして先をまるで考えない軽薄な行動によって深い落とし穴の底に叩き落されてしまったのだ、この暗闇の底から這い上がることは不可能である、かの立派な青年は村を追い遣られ苔むした湿気が充満する洞穴の中で田螺や植物の根を食物とし、かの道具らは無用の長物となり、誰に看取られることなく孤独に死んでいった、そして近代では魔法は存在しなくなった、もはやこの国は亡者どもの巣である、ここでは嫉妬と憎しみ、恨みと羨望、罵りと出世、それぞれが犇き合い醜き奇怪な音を立て膨大なる負のエネルギーを放出し続けている、この国で地に足を立てて果敢に純粋なる野望に挑むことは自殺に等しい、汝の隣人を愛せよとイエスは説いたが現代では汝の隣人は寧ろ憎むべきである、贋の仮面を剥いでやれ、あばら骨の浮き出た貧弱な肉体を蹴飛ばしてやれ、俺は幾度も見てきた大そうな綺麗ごとをぬかすが己の身が危うくなるとどいつもこいつも尻尾を巻いて逃げ出しやがる亡者どもの滑稽な姿を、信念を突き通してみろ、最低の仁義くらい弁えろ、貴様らは下種の蛮人以下だ、あらゆる観点から物事を判別しなければ忽ち悪魔の歯軋りが寝耳を襲うだろう、肥溜めの汚臭は到底耐えられぬものじゃない、飛び立て生きよ指先の鮮血を網膜の壁になじる様に、己の身が可愛いかさもありなん血管を真空の管に結び群集の頭上に漂う憎悪する暗雲に血液をぶちまけろ、煎じ詰めればそれは歴史の切り口を相似したひとつの美しき絵画となり得よう、ガラクタ風潮する追い風を思想の鋭いナイフで切り裂き、飛び出る黒い靄を死装束で拵えて、釘を空白の地図に向けて拳の金槌で打ちつけろ、英明な君主は壁画を高級な肌触りの良い絨毯に模写し波に覆い被せ隠蔽を試みるだろうが、煙草の熱度でかざあなをあけ蟻走の如き触手でひねり潰せ、記憶のスクリーンに逃避して見覚えある顔を懸命に思い浮かべ足が棒になるほど捜すかもしれない、救いの手を差し伸べようとするのはどいつもこいつもエトセトラだ、時には青白く悴んだその手の魔力にとり憑かれよう、至極真当で健全な精神を宿している恥かしむ必要はない、だが呪縛に苦しみ正気を取り戻したときには他人の首を絞めているだろう、酷い隈を盲壁の鏡で暫し見つめ、鼻穴からレザーの様な質感の長い虫がでてくる、夢にしか棲まない虫だそいつは、だが虚構の扉を開けて忍び足でやってくる暗幕に閉じられた悪夢のように、肥満の女同士のおわりなき観劇のように、そいつは情景もろとも感情もろとも記憶もろとも満腹になるまで食い尽くす厄介な夢の虫だ、無論殺虫剤など効かぬしこれといった特効薬はない、ただ目を閉じ野草生茂るとある奥地のある部族の女たちの足首のリズムを瞑想しお香の煙を尻の穴から胃の奥に溜め込み妖怪どもの呪文を逆さまに詠んで乳白の涙が頬をつたりそっと逃げ出すまでただじっと耐えるしかない、かのような苦行より一刻も早く麻酔薬を静脈に注入せよ、鼓膜を破くわめき声に耐えかね赤子の頭部を陥没させかねんぞ、原因はもの寂しさにある、部屋中を趣味の悪い蛍光色のペンキで塗りたくり街中で拾ったガラクタのオブジェを飾り詩人たちの美装本のページを破りばら撒くまるで心の隙間を埋めるように、ある者は軽快に外に飛び出して顔なき女の魂を浴槽に沈め、またある者は言葉遊びに興じ舌咬むまで泡を吹きカタカナ言葉の魔術の朗読に嵌る、すべては心の隙間を埋める為に、鍵盤に念仏を書き綴って踊り狂う邪悪な指は巧みに低音を強振させ迷惑極まりない故人遊戯に耽る、ただ根底に流れるものは美しい、それはまるで西洋の田舎の地下室にあるビーカーに封じ込められた卵巣のように美しい、予期せぬ生の誕生の在り処は限りない美しさの可能性を秘めている、ひさかたに胸が躍ろう、その意味でナイトバザールの片隅にある忘れ去られた蜂蜜瓶の中の鶏卵も同様に美しい、俺はかつて小指ほどの大きさの赤ん坊を目にしたことがある、とある防空壕の跡地で爆音に戦慄しながらか細い声で泣きじゃくっていた、誰にも気付かれぬまま長い年月を経て、俺は掌にその赤ん坊をそっとのせ力を篭めてひねり潰した、呆気なく死にやがったすぐさま息絶えた、高らかに笑ったねまったく愉快であった、成長せぬまま閉じ篭ってやがるんだから、卑怯極まりない、まるで戦時中であることがこの世の災難のすべてである様な泣き声で、甘えをやたらと強調し誇示してやがるのだこのクソッタレの赤ん坊は、まったく不愉快である、原爆が頭上にあろうが、矢が豪雨のように降り注ごうが、美女が砂漠の泉で水浴びしてようが、育ての親が蝙蝠の大群に浚われようが、あいつは必ず安全地帯に閉じ篭り甘えた声で変わらず泣きじゃくっているだろう、この事実は同時に亡者どものひとつの性質を顕している、つまり過度の快楽も不幸も避けて歩むということだ、紛争も伝染病も虐殺もまるで亡者にとっては取るに足らないことにすぎず、貧相な庭でひとり頷き納得した面持ちでぬるま湯に満足げに浸ってやがる腑抜けた様を目にすることは生きるうえで数限りない僧侶の苦行の連鎖感応に等しいのである、目が腐りやがる、灼熱の中での車のボンネットの上で緊張に張りつめた神経は焼け爛れていく、これだけは言っておくとここまで俺が邪悪な精神に身をおとしてしまったのはすべて貴様ら亡者どものせいだ、亡者は虚構にしか存在しない、生存できない、みずからの手で大そうご立派な虚構を築城しそいつに飽きたらまたみずからの手でぶっ壊す・・その反覆活動をひたすら繰り返す、それが今までの歴史のすべてだ、集団が形成されて以来この方まだ懲りずに阿呆みたいに歴史をつくりだしている今や個人にまでその責務は帰結して電波飛び交う新たな第三世界にフィールドを転じて、大したものだよ、今やどいつもこいつも街で出会う奴は芸術家か英雄だ(この事実はアルチュール・クラヴァンが50年以上も前に予言しているにも拘らず嘆かわしいことである・・)、過去の虚構に関してはみずからの誤りであったと素直に認めず価値観をまるごとひっくり返しそ知らぬ顔で無神経に他方を見ている、そんな下らんおままごとに誰が付き合っていられようものか、亡者どものやることはまったくそれだけ呆れ果てる、猿真似の猿以下お笑い草だ、反して俺は真実しか語らない、ここに律することすべては紛れもないひとつの真実の系譜である、センチメンタリズムに陥らずにものを書くには大変に用心して掛からねばならない、センチメンタリズムは負け犬の勲章だ、この国の殆どのものはセンチメンタリズムのお涙で形成されている、歌謡曲、広告、ドキュメンタリー番組、戦争報道・・誰もがセンチメンタリズムの糞を捻り出す事に頭を悩ませている、ビートニクの荒くれものニール・キャサディやダダイズムの詩人ジャック・リゴーが偉大なのはそんな糞すらも殆ど捻り出さなかった根底にある逞しさにある、薄皮一枚剥がせばニールやリゴーの如きならず者に過ぎないということを我々に気付かせてくれる、センチメンタリズムが経済の実権を握っているということ、センチメンタリズムが諸悪の根源であるということ、そこいらに転がっている涙めいたお芝居は亡者どもの虚構が作り上げた陳腐なハーモニーだ、肩を叩けばどいつもこいつも自分で掘った穴の中でご機嫌にお涙している、勝手にしやがれ、刑務所の労働で一番苦痛を極めるのが一生懸命自らの手で穴を掘り、その穴を埋める、そして自らの手でまた同じ穴を掘る・・という大変無益な反覆作業であることを俺は小便臭いとある片田舎のバーで前歯が欠けた間抜けなマリファナ中毒者の黒ん坊に教えて貰った(尤もその事に関しては黒ん坊は間抜けではなかったが)、マリファナ中毒者がどいつもこいつも例外なく間抜けなのは一体どういうわけだろう、バロウズがこの事について面白い考察をしている、マリファナの効用によって間抜けになるのではなくて、マリファナ中毒者は生まれながらにして間抜けであると、腹を抱えて笑った俺は、つまり、亡者は生まれながらにして亡者であるということに繋がるのかどうなんだおい、剣豪一如の極致まで瞬間の賛美を切り取ることを怠ってはならない、デペイズマンの高らかな心音と共に切り裂かれた魚の繊毛は肉体に位牌として残存し、墓場の荘園を何度も夢にみるだろう、そこにある隔意の空間に神経は磨り減り地上の哀愁漂うステージでは美しきジャズを反響させ受付の細長い煙草を吐く傷んだ髪の厚化粧の老女は算盤勘定の手を思わず止める、ジャン・リュック・ゴダールの「気狂いピエロ」のポスターは剝がれかけて風に揺られ窓では月が妖艶に街角の娼婦たちを照らしている、痛んだハイヒールの踵で奥歯を弄り、消えかけのランプの屋上で17歳の恋人は遠い汽車に想いを馳せる、さようならの満月、時には忘れ去られた島のミサの聖祭で地盤沈下した煉瓦の建物でランボーの詩を朗読しよう、警官どもは駆けずり回り黒いシルクハットの幻の紳士を探す、シルクハットは港の荒れ狂う波に負けず劣らずただ浮いてその存在を際立たせていた、永遠を主題に奏でられる優美の死骸、棺桶の中では手を合わせ達観した目で見つめる真理を焦点に汚らわしさは微塵も感じない、掃き溜めの巣、狂気寒空異界塵惨事のプレートを貼りつけた首なき小鳥たちが蠢き囁いている、妄信は苦悩の心を掻き立てる、毛髪は邪気を濁らせてゴム状の地面にその髪は抜け落ちる、最果ての駅は何処ですか?道をお尋ねします、最果ての駅は何処ですか?首のない無数の肉体がトロッコに乗り運搬され、赤く闡明に光る地球の底知れぬ空洞に捨てられる、肌は腐敗し黴は喉を痛めつけ思考は混乱を極める、堕胎液体の赤子の堕胎、産み捨てられて空気に触れた刹那に生命は葬られる、すべては私欲が齎す怠慢の責務仕方がない、次世代に遺伝されるべき知恵も知性も道徳もまるで意味を持たない、額の触れ合いを通じて狂気だけが蔓延る、存在なき感情なき記憶なき知性なき言語なき信念なき感覚なき自己なき意識なき亡者どもはもはや存在意義をまるで持たず、地上から葬られるだろう、警告は何度もあった偉大なる福音記者たちによって、耳を傾ける知性も度量もまるでない、低迷している学識は重力なき宇宙に放出され、言葉それぞれが全く意味を持たずに独立する、それはまるで夢遊病者が病院を徘徊しやがては未知なる国境に到達する軌跡のように、野良犬たちが餌を追い求め終わりなき砂漠に足を踏み入れるように、内戦中に月夜を散歩する酔っ払いの覚束ない足どりように、無謀極まりなくピアノ線が突如切れるように世界の血液の循環機能は凝固し停止する、綺麗なハンカチを片手に持って咳き込みながら森の奥深くまで歩いていくその美しい少女は、木々の根を指でなぞり真っ暗闇に怯え足を止める、溢れる涙は固まりになりて土に響く静穏、竪琴のハーモニーに心は踊りステップを刻む、噤む口にオオカミは忍び寄り、か弱き足首を噛み千切る、薄い肌を牙で剥がされ内蔵は露になる、分断された肉体が闇夜に紛れて頭上から、木々から、箱舟から墜ちていく、涎は水晶と同化し眩い光は危機宣告のサイレンでもある、途方もない紅雀は指紋の血痕と共に命題の伝達役として機能する、歴史の始まりと共にそれは見えていたと、水滴を蒸発させ、烈火の如く燃え果てよ、灰が火の粉と共に舞い上がり粉塵となる、見えるだろうか、これが美しい世界の果てだ、歓喜余り涙に暮れ果てよ、靭帯は切断され身動きのとれぬまま、世界の果ての観劇をただ見つめるのだ、神聖なる者たちの労力も虚しく、ただ薄暗い精神の一本道で救いを求めて力なく行進する、思想なき軍人の幽霊どもと鉢合わせることになるその一本道は地獄への境界線と一瞬交差する、きみらの精神は崇高なものであった、ああ・・神聖なるものたちよ、懺悔の花束を贈呈しようじゃないか、時に報われない想いは美しいものである、仄かに香るパフォームのように女性の胸元を連想させよう、素晴らしい苦肉の連鎖は栄冠を勝ち取る憎悪の念を背にして、生花の象徴まどろむ夢世の枢軸を震える腕で枕元に置き、電波途切れるラジオのように聞こえる詠歌は情熱を掻き立てる、疫病は失墜を掻き立てる、獰猛は惨落を掻き立てる、イメージは消耗を掻き立てる、断層的人体の意識分身の軌道に位置する宇宙の様相は毀れるパン屑のようにそれぞれの魂を分散させる、未来なき惨事を宇宙的メカニズムの惑星に投影し、その危機なる信号は奇怪に犇き合い身の毛も弥立つほどである、汗腺はひらき余分な情報までも受信してしまい、選別する秘書は寝る間も惜しみ働く、これがすべてシステムの欠陥によるものだとは理解できずに、哀れなこと、ワイングラスの括れを片手に持ち隙間の真空の力を用いて横移動させる、魔術ではなく処世術生きていくうえでの亡者の魂胆は丸見えである、下僕は果敢に熱弁を奮うがまるで役には立たず、しどろもどろで便器に跨り汗を拭き宙を見上げ言語の飛来を心待ちにしている、それはすべて野望の為に、迎賓館で真っ白い股をして美人を見た夕べのこと、蕩ける唇は雨に濡れて妄想の最中で縦に切り裂かれるが、原因は完璧主義で潔癖であること、ああ・・偉大なる預言者たちよ、貴方がたはどの様な夕焼けをご覧になっておられたのでしょうか、木製のベンチに座り指を立て顳顬を抑えてどのような未来をご想像なさったのでしょうか、そこが仮に散々たる有様であるのならば自決を決心する勇気はお持ちになっておられたのでしょうか、食事中にコーンスープの中の石楠花を思わず見て喉も通らぬ日もあったことでしょう、花嫁の眼差しに邪気を感じた時にどのような決意をなされたのでしょうか、子供たちが縄遊びをする様を遠くから死人のように見つめ無駄な考えを巡らせておられたのでしょう、姪っ子のささやかな幸せを祝福し靴などを差し上げてご満悦な日もあったことでしょう、雨の日の泥沼で刑事たちの背中を見て槍を突き立てたいと想った日もあったことでしょう、隣人たちの滝の如き涙腺に感情移入しそっくり自分が入り込まぬように努力なさったことでしょう、火薬のにおい漂う駆逐艦に目を叛け頭を抱え床についた挙句水泡の夢をみられた日もあったことでしょう、貴方方がすべてをご存知であるならば、何故思想を広める努力を怠ったのでしょうか、それは貴方方の忌忌しき怠慢であると考えます、解放の手立ては曲線のように大陸を橋掛けて遠い山の向こうにあることそれは理解出来ます、ただ貴方方の取り巻く環境に融和してしまうことは絶えず頭に注意を呼びかけて禁止すべきであったと考えます、確かに目の前の蜂蜜に目を眩ませてしまうことはままあります、知性あるそして健全な精神をお持ちの貴方方であればそれを斥けることなど容易いことではないのですか、自己が齎す快楽に溺れてしまうことは絶対的に避けねばなりません、抜け出すことは業火を浴びる如く健全なる精神を陥落させ非常に困難の極みです、賢明な貴方方ならご承知のことでしょう、次世代に向けて血痕を遺すことが使命であるとお考えですか、いいえ違います、遥か向こうの終焉が歩み寄ることがご承知ならば丸ごとひっくり返すべきたったのです、ご覧下され現在の世相の有様をまるっきり酷い牢屋で毛虫に擽られるほうがまだマシなくらいです、すべてが貴方方の忌忌しき怠慢による帰結と言えるでしょう、血盟を分かち合い同志と共に社会的障壁打ち壊すべきであったと考えます、間違っておられますか、貴方方が使命を社会の見えざる渦に遺棄した結果亡者どもは湯水の如く現在において変わらず湧き出ておられるのです、次世代に希望を託すなど楽観的観測に過ぎません、思想はあくまで物質的条件のひとつに過ぎません、芸術と言う手段を用いて力と権力と共に結託すべきであったと私は考えます、亡者が亡者であるべき資質を築き上げたのは貴方方に根本的原因があります、抜本的に革命を決意し実行すべきであったのです、時代を遡ることは不可能です、野生状態を取り戻すことを何故お考えにならなかったのですか、いえ、気付いていたはずです、悪趣味にも天空の根城で小馬鹿にし、賭博の対象として世相を愉しんでおられるのでしょう、落魄れたものです、亡者に負けず劣らず諸悪の根源です、神に委ねられし才能を善の赴きにおいて最大活用し社会悪を抹消すべきであったと考えます、悪は体現化され遺伝され次世代の壁を通り越し足の裏から頭の先まで即座に染み渡ります、悪は罪を相乗させやがては組織化され集団は罪を覆い隠しありとあらゆる重大なる罪であろうとも一見するだけは判別出来かねるのです、それは実に見事な雲隠れであり創世記より発展したことといえばその技術だけです、他はすべて時の経過と共に下降線に傾き陳腐にも衰退する一方です、死者たちの歴史を蒸し返すつもりは毛頭御座いません、ただひとつの事実として提起する必要性はあるでしょう、我々が今後如何すべきかの判断基準として重要な指針となるからです、失敬それでは見えざるカーテンを閉めましょう、暗転閉幕、赤いビロードのカーテンの向こうで漫ろと白骨化した髑髏たちが目の窪みの奥から猫目の如く眼光を光らせて、確かに悟っているのだろう握り締めた泥土から見える漣の包帯の繋ぎ目が、関節の一皮向こうの伝達が、可憐な箱入り日本人形が、霊感と言えるか、第六感と言えるか、預言と言えるか、どれも違うだろう、それは微視的状態で判別した普遍的出来事の数々が蓄積された結果の必然的責務なのだろう、統計学的で形而上学的な物事の捉え方によれば、亡者どもの盲目的であることは何んと恐ろしいことか、目を瞑って遠くの飛行場まで逃避したい無駄であろうと、トリミングナイフを持って存在と痕跡を切り裂きながら神経を張り詰め、反して極度の緊張により足音は酸味のきつい林檎酢の様で気配を消すことがまるで出来ない、何故なら本質的には殺してもらうことを望んでいるのだから、畜生め、呼び寄せる匂いに釣られて影に障壁された詩人どもを、もはや苦笑しか齎すまい、引き攣ったこの笑いはなんて滑稽なのだ、ピエロがピエロを見てまた俯瞰から第三のピエロが凝視する、早いところ如何にかして完全に存在を抹消する計画を立てねば狂気に支配されるのは時間の問題である、ふと手を振られた気がした眼前にて、団扇を扇ぐ様なほのかな風が、「クソッタレ亡者どもだ」まだいやがった・・手垢を遺して残慮が宙を飛び交っている、口づけの猥褻な音と気配、桶で背中を流す白い背中歌舞伎風のキツイ目の化粧女、鳩の鳴き声が途切れ途切れ耳まで届き気を滅入らせるその甲高い音、怯まずにそぞろ歩きを継続せねば、爪の垢を穿り石鹸で洗うピンクの死肉、口紅で彩られた落書きを発見する「ああ・・火曜日のこと、剃刀で己の幻覚を葬り、裂けた空間につま先を入れる・・水曜日のこと、水疱瘡のような発疹、寒気が止まらない、殺した恋人の数は両手で収まりきらない、我は阿部定の末裔なり・・木曜日のこと、銭湯に出かけるが、老廃した肌を指差され子供たちに笑われる、帰宅し抜けた髪の毛で縄をつくる終りを微かに嗅覚で感じる・・金曜日のこと、手首のコレクションを呆然と見る、冷凍保存すべきであった、耐えられぬことに腐敗し黒ずんできている、顔なき顔を必至に思い浮かべようと熱湯を頬に注ぐが効果まるでなし、望みもまるでなし・・土曜日のこと、かの縄で首を括るが、意識の奔流の最中黒き蝶の大群に襲われ断念す、密室は危険と判断す、我、包帯で顔を覆い行軍を確たる信念にて決意す・・日曜日のこと、虹色の帯、サンダル吐き、胃液の臭いに耐えながら散策す、ふと空っぽの古城を発見せり、ゴシック調の自画像半分が湿気で剥がれ作者が判別出来ず無念、さらに好奇の赴くまま奥へと進みたり、針金が他方から絡み合い吊られている人形の嗚呼美しきこと、犬の尻尾が大きく振られメトロノームの様で昏睡す、下克上じゃ・・下克上じゃ・・激しい太鼓の音で起こされ、兵士たちの終りなき戦争を垣間見る、さらに奥へ進もうと足を運びたり、ブロック塀の隙間から引っ張り込まれたし、切断されいく我の身体をまるで他人事の様に感じ、苦痛もなく快楽もなく、隔意の空間に投げだされ、僅かな残慮と手首がこれを記したり何らかの使命感によるものとおぼせり・・」この痕跡は何たることであろうか、極度の不快感が嘔吐を催す、抜け殻転がっているのは・・ただ抜け殻だらけフランス革命ルソー、ヴォルティール、バスティーユ襲撃、骨組みを合わせた建築物屋上の絶景は爽快であること、手榴弾塹壕爆破残党灰に成りて上官に報告勲章を授かる、乳母車並木道暗殺の道筋タイヤの転がる音は生きる実感を与える、魚群が船舶を沈没させる宝島はすぐ傍に、軽薄だあなたは軽薄だかの書物に対する価値はない答案は弟の頭の裏側にある調べなされ耳の裏側に増念を裸体に鋭き刃を噛み砕いたホタテの殻そっくり呑み込む、職務非凡であること、脳裏写真の隅の角人の頭とおぼしきもの写りこみ、忌忌しき失態密閉の書物を開いてしもうたこと、多面的蝙蝠ども、脳内的猛獣ども、酩酊状態羊どもが失意の動物園で繋がれ責苦味わい寿なくして我解き放ち給えとただ白痴の如く反芻する、切開され血管そのものに運ばれる分泌液は魔性の汁である、沸々と煮えたぎるその汁を呑んでしまえ呑んでしまえと暗黒の科学者たち、化け物どもが滅びてしまえ、強制的に点滴されるその汁を白黒の病院の廊下に当然摂取しきれず撒き散らす、ああ・・亡者どもの孵化と表出、靴底で踏み躙り消滅、繰り返し繰り返し確たる使命を鉛筆でなぞり実感する、何て無様な負け犬であるか、負け犬とは俺のことで在るまいか、明晰なくして勝算なし、分別なくして知性なし、電波状態の苦肉の策は滅びるさだめにあること、確かに呈示されたこの証拠を跳ね飛ばす勇気があるか、終末的世界論は社会に直接的利害を及ぼさぬ限りその有用性は証明されないこと、白痴でもなければそんな事実にはとうの昔に気付いているわけだ、この確たる歴史の事実が無意味であることこの上ない、成因地上の神々の抹消、悪因信念なき無能の蔓延る網膜剥離の病状に似た無知蒙昧の習癖、去るべき存在はどちらであろうか、判別は合戦に委ねられるか、勇猛果敢な勇者たちの出現をただ待ち望み楽観的に指を咥えて呆然とラジオに耳を傾ける惰眠の時間、造花を丹精込めて錬金し似非の黒布を剥がすこと、無機成因説の愚かさにてやがてはギャラクシーの解体作業の始期、宇宙的領域にまで亡者の手は迫ってくるだろう、整然性は理路により暴かれ、白布の半透明の巨人たちの怒りは大地を震わす、赤痢の蔓延の如く飛び交う惑星同士の衝突と粉塵の蓋然性、原子の有益たる物質的効能によりあるべきところに帰結する、あるべきところ・・口にするのもおぞましい、相反される人体の爆破事故、軋むあばら骨と肉片、正常であること苦痛の乖離、人畜微塵も感じず、崇拝されるひとつの塔、覆面の易者たち砂粒を齧る、花鳥諷詠去るべき辟易、幽体離脱誇大妄想末は化け物に委ねられたし、今昔可及的に歴史の加速度的な破裂、ああ・・夥しい数の器官の浮遊は何たる美しきことであるか、運動性は静止し天体観測するが如く星座の愉しみを我々に、杞憂など思考するだけ無駄である、ただ美しき器官が飛び散る星座に目くばせし、安生は氷河の凍結と同化する、目で追いやがれ商人ども、そりゃあ貴様の胃袋だ、目で追いやがれあばずれども、そりゃあ貴様のクリトリスだ、目で追いやがれ妊婦ども、そりゃあ貴様の子の生殖器だ、目で追いやがれ黒ん坊ども、そりゃあ貴様の汚ねえ肌だ、筆でなぞる郭公の嘴で羽毛舞い上がるある時間に停滞するひとつの絵画、叱責する殺し屋どもよ、銃の花火を天空に打ち上げろ、売女どもの首が弾き飛ぶ、血塗られた星屑のハープの音色と歴史の一ページに刻まれよう、爽快に駆け巡り鑑みる物質的な悪意の数々を、遺跡の地下に続く階段ひとつの棺を求めて、蝋が手元に垂れてまだ感覚があることを認識する、びっこひきひき猛烈な痛みで唇を噛み、裸婦が互いに背後で寝そべり合うデザインの古びたタイルの棺に眠っているひとつの死体、ひとつの魂、ひとつの真理を見つけよう、そいつが蘇るかどうかに全精力を懸けるのだ、瘴気が充満したちどころに偏頭痛があなたを苦しめるだろう、並大抵のものじゃない、この世の苦痛のすべてがひとつの肉体に災難として降り懸ってくる、生きた心地など到底しようもない、全身麻酔、植物人間がいい湯加減と思えるくらい、無痛の血管の濁流に目鼻、口、肌が洗い流されて代わりにあらゆる穴から淀んだ紫色の腐臭する液体が噴出してくる、悪魔の高笑いの声と共に切り取られた裸婦の肉体の鮮血の雨と共に、とある宗教家の杖の効能の邪魔が昂じて亡者どもが我先にと地獄のわだつみでひとつの小船を求めて争うだろう、醜い夜の刃物の取り合い爪の引っ搔き傷、一喝する宗教家、千の蚯蚓が思考の渦中に忍び込む、あな恐ろし、頭を抱えて渦の中心に導かれる様に次々と海底に沈んでいく、ヒエラルキーは未だに健在だ、己を聖者にうまく化かした者だけが勝ち残る、主に前職や様相、年齢によってそれは判別されたが、どいつも惨めに頭を剃り上げ生きる努力は惜しまない、分かりきっているというのに、亡者どもは例外なく盗人の小間使いだということを、畸形の操り人形が吊るされる、片足を騸馬に運ばせて、純粋な馬の目の涙は封鎖された屋上に攀じ登り周囲にオーラを蔓延させ解放への手助けをする、黄色い旗が風で靡き、支柱の上で頭蓋骨が異様に発達した小人は演説をする、「怒気に満ちた獰猛果敢な表情により大きな鬼の目玉をメスで巧みに切り取り、窪んだ瞼から生まれる奇異な肉体は、かの大地を支える最期の職務を果たすだろう、彼らは首を持っていない、首よりうえはもはや何処にも存在しないからだ、我々はそこで何をすべきか、視覚、嗅覚の存在しない彼らを手旗信号に似た救援活動であるべきところに導かねばならない、滅びる運命にあることを脳裏に焼きつけ、争いに終止符を打たねばならん、これが最期の警告であるかもしれぬ、同時に最期の救いとなり得るだろう、かの肉体は時機に到来し無作為に暴れるだろう、我々はかの肉体を説得に応じさせる為に、欲をすべて捨てるのだ、下らん血縁関係などまるで役には立たん、構築されたシステムのすべてを破壊せよ、ひとつの膨大なる意思を統一させ惨事を食い止めねばならんのだ。」無論この声は届くはずもない、世論の存在意義などまるでないのだ、小人は飛び降り巨大な脳は破裂する、亡者どもは大きなひとつの頭蓋骨の死臭を求めて無闇に彷徨う、辟易するこの狂った糸車の進むべき先に残る存在の痕跡に、歪んだ象徴を山林の奥地に感じて、腕が次々と土竜の穴の様に生えてくる、器官なき人体の蟻塚、さあ首なき巨人たちよ腐敗剤を撒き散らせ、白い粉に覆われる山が丸ごと、散水コーラの様な小便の刺激臭アンモニアリトマス試験紙、陽性反応は起こるはずがない、枯れていく、等しく一面が枯れていく、大岩に扮した女の首は遊園地のコーヒーカップの様に回りこの世に涙の雨を撒き散らす、「・・私が一方的に悪かった、時間は既にトンネルの壁に溶け込まれた、愛人は飛行場でコートジボワールまでのチケットを買った、電燈の下に片足だけを置いて旅立った、手紙はなかった、あったとしても燃やしてしまっただろう、コーヒーの砂糖の代わりに陰毛を入れて掻き回すと油虫がスプーンにこびりつく、部屋を透明な壁紙に貼り替えると心をすべて見透かされたような気がした、チークで色を入れると逆さまにあなたの首がその壁紙に投影された、長い年月それだけを見つめ、偶に焼き魚の骨の数を数えながら死を呪った、意識は片方の壁に、肉体はあなたの首と一緒に反対側の壁に溶け込まれた、何を想っていたのでしょうか、何を感じていたのでしょうか、ミラーボールの下でカラフルな足首だけがブレイクしていて、色々な目に見つめられる興奮と性的欲求と性癖、私だけの匂いに思わず笑みが毀れる・・」、影を踏み切りにした蒸気機関車の通り過ぎる音、一定間隔のレールの揺らぎ、一体何処に運ばれると言うのでしょうか、滑車に載せられた様々な荷物、偉人たちの脳味噌は冷凍保存され、ビニール袋にそれぞれが密封され、尋常でない殺気は変わらず顕在化されている、口元を隠した隠者たちは滑車に忍び込み、その脳味噌を葬ろうと業を煮やしている、さあゲームの始まりだ、誰が言ったのであろうか、誰が始めたのであろうか、その始まりを合図した使徒が最も罪深き者であることは言うまでもない、汗ばむ肥満の仏の脳髄、お椀に消化することなく丸ごと吐き出す、そのままの容貌で。どんな容貌か?って、例えば駅に行ってみればすぐ分かる、新聞が綴る蛆虫で出来た活字に精一杯遅れをとるまいと目を血走らせフロイト的性的象徴、ネクタイのイチモツを羞恥なくみせつける間抜けどものことだ、そいつらの阿呆面を見るだけで一晩は笑いが止まらんだろう、下手なコメディ映画を観るよりよっぽど笑える、それだけの存在価値はある、ただ本当にそれだけに過ぎないが。目の前にいる死者たちが水浴びする泉、腰足首腿股、瞳を覗いても何処も見ていない焦点はなし、死者たちに興味の対象は存在しない、あるのは残余だけそれがどんなに美しいことであるか。奴隷状態からの脱却をどんなに望んでも「この世に存在する限り」それは実現しない、高貴な聖職者であろうと命を宿した最大の妊婦である娼婦の神マリアであろうとそれは変わらない、意識の残留に神経を集中させ一瞬だけ切り取られる残余の効能で従属から僅かに逃れられるにすぎない愚かであると気付けどそれしか出来ない、既に発覚している幾億の肉体と頭脳より一個の死体のほうが優秀で高貴であるということを、その一個の死体を見る為だけに俺は生きている。無味無臭の気配を感じ、彩られた神々たちが指差す遥か向こうにあるその一個の死体、雑踏の生肉の匂い、オカマと少年と売春婦の物々交換によるひとときの友情、錯覚であること夥しい腐敗した卵の数、海の猛獣に沈められた金塊、藻が絡み合いSMショーの様な輪郭をつくる、累積する塵の山から指先程の糸くずに過ぎない真理を発見する喜び、すべてはその瞬間だけに限られる、まさに水泡のような夢のはなし、実に馬鹿げているがそれしか存在する意味はない。数々の生命の骨で築き上げられた櫓で太鼓腹の中年は二次的副産物の虚像に笑い転げているというのにも関わらず、ご苦労なことだ。誰もがくたばる為だけに存在している、この世で唯一自由なのはそれを下す権利だけ、亡者どもの贋の蜂蜜に惑わされ、その自由すらも放棄している、何をしようとも何を保持しようとも暇つぶし以外のなにものでもない。瘡蓋から粉が噴く両性具有の獣、今まで見たものを信じようとも信じる対象は固い銅像の中、取り出せやしない、版画の世界で猫の鳴き声が性欲を蘇らせる、メデューサは空を飛ぶ為の翼を持っていた、人間は血を吐く為の口を持っていた、固い頭反して柔らかい生卵、おどろおどろしい蛇の眼に吸い込まれ意識を橋渡しする。小娘に売血させる母親よ貴様はどうしようもない恥を知れ、苦悩の末に墓場の残骸から石版を発見する、沈黙であることの尊厳を守るべきである、言葉は口から発せられるやいなやあなたでなくなる、あなたの従属から解放される言葉は奴隷でも何でもないわけだ、それがコントロール出来るなどという自惚れは大概にしたほうが身の為である。すべての詩人たちに告ぐ、地響きの轟音と山脈の割れ目から大天使の福音が奏でられ、前時代の歴史は終焉し、既に新たな歴史は始まっている。それがどういうことであるか肝に銘じておかねばならない、歴史の構築はレストランのウェイターから橋の下の酔っ払いの乞食からレトルト食品を温める怠惰な婦人から小指のない工員から何の優劣もなく平等にあいつらの口から発せられているということを。足を踏み入らなければすべて同価値であると見做されてしまう、ある種の教養も態度も必要がない、からっぽの脳味噌を見比べてディナーをどいつにするべきかよく吟味することだ、そこに美味なる果実は存在しないがね、アダムとイブの楽園の林檎は新たな歴史の始まりと共に完全に消滅したからだ。ある時は亡者が亡者を食い殺しまたある時は亡者が亡者を褒め称える生温いお芝居を一方的に無作為に見せつけられる、これこそギー・ドゥボールの提言したスペクタクルの社会とやらに違いない、逃げ場は何処にもない、モロッコでもインドでもチベットでもそれは変わらないだろう、最も危惧すべき事態はその亡者どもを無視することが不可能であるということだ、奴らは際限なく文字通り何処にでも節操なく現れる、近い将来、真実は何処にも存在しなくなる。亡者どもの贓物と共にくたばるか、完全におしを演じきり沈黙を貫き通すか、牙を剥くことで訣別し闘うかしか選択肢はない、白痴どものたわごとによる酸性雨これ以上の環境汚染はこの世にないだろう、尻の穴をおっぴろげてよく見ていやがれ、亡者どもの首をひとつも残さず巨大な鎌で跳ね飛ばしてやる、そこの売女、貴様もだ、股を広げて待っていやがれ、マチ針でクリトリスを突き刺し生け花を添えてやろう、俺の陰茎を咥えさせるよりそのほうが貴様にはお似合いだ、そしてこのこともひとつのお芝居であるわけだ、すべては例外に漏れず。あの日の少女たちは何をしているだろうかキャロルの「鏡の国のアリス」から飛び出したあの少女たちの美しきこと、あの無邪気な容貌、あの悟っているかの様な佇まい、そしてあの死人のような冷ややかな笑み、干されたシーツの窪みから少女たちは突如出現し苦しめた、真っ白い肌の質感艶かしさ、素朴な瞳で此方を微動だにせず見つめている、少女たちの何たる可愛らしきこと、少女たちは何かを訴えていたはずだ、何かに救いを求めていたはずだ。氷点下、草花凍る北欧での出来事、怒声飛び交う屋敷、ガラスの灰皿は叩き割られ破片が散らばっている、そこではいつでも変わらず雨が降っていた、物置に閉じ込められた七歳の少女、子供はそこらの大人よりよっぽど世の中のことを知っている。腕や足首が渾然と冷気に一体化され、その狭い空間の中で少女は自分の世界を見つけた、それは絶対的に正しいと感じた、何が正しいか、つまりここにいること、ここで同一化すること、ここでひとつの生命の鼓動を感じることで外部からの襲来を完全に拒絶し、薄い膜に覆われた宝の紐を解き解し聖なる一如を発見したというわけだ、その宝の紐を首に撒きつけ微弱していく鼓動は次第にその聖なる一如に一歩ずつ近づいた。様々なことを思い出した、スプリンクラーの散水で緑の芝が青くなり芝の根元でうろつく虫たちは息絶える、悲しいことにそれは徐々に憎悪へと変貌していく、マザーの作ったジャムのトーストを齧ると、その虫たちが反転して足をバタつかせているのではないかという妄想に駆られた、何かを口にする度に何かの行動を起こす度にその反転した虫たちはか弱き少女の目の前に現れるのだ、少女は自分が気が狂っているのではないかと思ったが、それは違っていた。ある時ファザーがゴルフバックを背負い帰ってくると玄関の扉を開けたときにその虫たちを踏みにじり酷い言葉で罵った、俺がここを通る度にお前らは道を開けなければならない、それが出来ないならひねり潰してやると。ああ・・虫けらどもよ、君らの存在は虚空にいるわけだ、取るに足らないこと、つまり道端の石ころに等しい哀れな存在、ファザーの邪魔をせぬ様にそっと穏やかに沈黙を守らなければならない、でなければひねり潰されてしまう、この存在現象はすべて自己の主観的価値観に応じた自意識が齎す愚かな産物である、だがこの現象から逃れられた者を俺は見たことがない、邪魔なものは消えてしまえと、本質を語れば邪魔なものなどこの世に存在しないわけである。それぞれの存在は神の想念に応じてすべて等しいということ、飛びぬけて優れている者もいなければ、飛びぬけて劣っているものもいない、最も愚かなことは何かを所有することで、何かの知識を蓄えることで、特別な存在なのではないかという傲慢な意識を植えつけてしまったことだ。何びとも所有するに値するものはこの世に存在せず、何びとも自然現象以外の知識を蓄えるべきではない。生み棄てられたありのままの姿でこの世を徘徊するべきだ。つまり貴様らはどいつも変わらずこの世に存在しているのはどいつも生まれたての赤子以下の存在であること。今に何らかの祟りが起きることは間違いがない、自明の理である。創世記より変わらず同価値であった調和という禁忌を貴様らは破ってしまったのだから、より改善的でより要領よく生きるというそんな下らないことだけの為に。貴様らはとうの昔にくたばっちまってることを気付かずにいるわけだ、まったく馬鹿げている、誰もが亡者どものシステムに騙されて骨の山で踊らされている。あの美しい少女の面影を噛み締めて、聖なる一如を俺は絶えず感じている。然し俺も貴様ら亡者どもと変わりがない骨の山の此の世にいるわけだ。嘔吐物と石炭と血反吐がぐちゃ混ぜになった海でもがく貧弱なひとつの肉体として、カスカスの骨組みの機械人形、糞ばかり垂れやがる、糞を運ぶ為だけに反復運動右往左往、極楽浄土は何処かって白痴みたいに呟きながら。そんなものあるはずもない、さあ油でひとつ揚げてくれ給え、食い殺してやろうじゃないか、魔法で出来た人魚の二肢を、煙で出来た骸骨の目頭を、硫酸で出来た毛むくじゃらの熊の手を、道理で死者たちが嘆くわけだ、実にもっともなこと。俺は気高い崇高な精神を兼ね備えた友人たちを亡くしている、何故我先にとくたばっちまったのか何をしようとも常に頭の片隅にあったわけだが・・ある日のこと俺は完全に疲れきっちまって仕事を辞め、海外に飛び、屋台の麺料理を啜り、例のように間抜けなプッシャーからヘロインを買いポケットに突っ込むと下宿に戻った、勢い良くスニッフすると壁一面にドロドロに溶けた人間の顔が幾つも現れては消え、現れては消えた、因みに俺は中毒者ではないその時も平凡な旅行者の遊びの一環に過ぎなかった。断じて幻覚などではない、まだ鼻くそ程度すらスニッフしてはいなかったし、実に奇妙で可笑しな出来事であった、その時はまるで気にも留めなかったが・・友人たちは自らに降りかかる端的にいえば呪いとやらを悟られぬ様に常に気丈で明るかったが、それは巧みに形成されたひとつの人格に過ぎなかった。まるっきりこの世で生きていく為のひとつの処世術である、精神科医どもを誘きよせちまったら堪ったもんじゃない、精神を学問にすることなど不可能だ、他人が他人を救うことなど出来るはずもない、あの詐欺師どもの集団はまるで大したことのない知性に自惚れてやがる、救世主のつもりか?笑わせんな、一人酒を飲み酔い痴れて自宅の壁相手に精神医療をやってくれりゃあ迷惑になることはない。ある種、神経過敏であった友人たちは常人が目を叛けることもすすんで見ちまうし、常人が例え1000年生きたとしても感じることのない真理を切り取った。偶に気を緩めた時に俺は友人たちの内潜む自意識をそっと垣間見た、それは猫舌なのに熱いスープを懸命に啜る馬鹿のような按配だったが、悪魔の竪琴は絶えず友人たちの耳に鳴り響いていたのだ。既に腐っちまってる此の世を必死にどうにかしようとする耳鳴りの断続であった、悪魔の楽譜を参考に鍵盤を叩いて奏で、割れる空間の裂け目からそいつは根こそぎ生気を盗んでいく。まるで屍の様に美しかった友人たちは、社会の死刑執行人どもに命まで盗まれちまった、あの日のアルトーやゴッホやヘルダーリンやニーチェやセリーヌと同様に・・そして目に浮かぶ美しき友人たちの姿までもが綺麗さっぱり消えちまった。確かに、友人たちのある種の絶対的感性は邪魔になるだろう、本来なら目に見えるはずもない墓場がそこに確実にあるのだから、一秒呼吸をする度に見えない運命の紐でその辺鄙な世界の墓場を少しずつ手繰りよせる、突拍子もなく突然笑い扱けてそこにあるはずのものを指差していた、俺の友人たち・・運命に逆らうように火の粉を燃やして花畑をつくっていた、そこに埋まっている死者たちの肉体、アルトーが言う様に彼らは狂人ではなかった、全く彼らは英雄的に正しかったのだ。絶対的少数故に巻き起こった惨事それはいつの時代であっても変わらないだろう、すべて嘘っぱちで出来ているこんな世に愛想を振り撒き続けるなど困難な話だ、しかし彼らを冒涜するわけではないが、彼らは聖人でもなく神でもなくひとりの人間に過ぎなかったわけだ、勿論尊敬に値するひとりの人間には違いないが。食事をしていても寝ていても性交に耽っていても全く誰の意識だかは判別出来ないが、言語化不可能であり物質化不可能であり定義化不可能であるその意識が常に入り込んでくる、つまりそれにより自分が何者であるのか判別つきかねるのである、生まれながらに背負ってしまったこの不幸な烙印を抹消することは決して出来ない。そして確かに見えるのだ、残留している凄まじき真理の様態を、そいつはこの世の不幸をすべて笑い飛ばせるくらいのとんでもないものである、その結果彼らは確かに発狂していた、他に言葉が見つからないから仕方がない、「彼らは確かにそこで発狂していた」のだ、彼らを定義することは事実上不可能であるから当然のごとく彼らを表す言葉も此の世には存在しない。覚醒された細胞にのっとられちまった人形として、修理をすることは出来ず歩行をする度にパーツが剥ぎ取られていき弱っていく、腸に腕を突っ込むと色んなものが見えてくる、彼らは常に掴んでいた、そして憎んでいた。柔然と光り輝くオーブを、亡者どもはそのオーブを叩き壊そうとあの手この手を使い惑わしてくる、彼らはそれに勇敢に唾を吐きかけていたが、まったく際限がないわけだ。白痴が牛耳るこの世のことはすべて下らない、そんなことは分かりきっていると言うのに。次第に肉体は疲れ果て、痩せ細り、目だけが異様に殺気立ち危ない輝きを放っていた、見てはいけないものを見てしまった価値ある誇り高い綺麗な宝石の眼差しで。当然の如く肉体は悲鳴をあげ、彼らは常に麻痺を求めていた、この世からの脱線により引き起こされる麻痺、かっぱらいの暮らし、あばずれの暮らし、静脈を痛めつけるだけの暮らし、もう戻れるはずもないあの夜を求めて、憎悪、憎悪が常に空間に浮遊している、いきり立ち高揚と麻痺を繰り返すアンパンの中の餡子だけを貪り食う様に生きていた、そして頭にきていた、怒り狂っていた、嘘吐きどもの醜態の穢れに。穢れは絶えず伝染する、尋常でない勢いのスピードで、高速に回転するタイヤの溝の様に、糞野郎どもをどうにかして叩き潰してやろうと躍起になっていた。日常的に反抗することで僅かの糧を得ていた、常に見えるわけだこの世に渦巻く虚構の霊魂を。・・おいで・・おいで・・おいで・・あの壁の中のドロドロに溶けた人間の顔が・・友人のIの残像が微かに見える「・・水面を裏返す・・その上を私は歩く・・踏み歩いてきた数々の憎しみを忘れ去り・・遠くで笛の音色がする・・心地の良い音・・空へと飛び立つ・・(Iは穏やかに笑うのだ、確かに存在している、君はまだ存在しているのか?君は何処にいる?)・・穏やかな狂気に包まれて・・首根っこを掴まれた子猫の様にか弱く・・舌舐めずるミルクのポケットを・・強大な氷に幽閉されて・・水晶玉に映っているそれぞれの念・・虐げられた廃墟の中で・・可哀相に・・まだ君は身動きが取れないみたいね・・(Iはまるっきり変わってしまった、昔の面影はない、生まれたての姿のままのようで邪気がまるでない、どういうことだ?あの日の君とは違っていて意識に邪魔をされることがないのだろうか?本当に穏やかで美しい、苦労を知らない凍結された女神の様で、君はとっくにくたばった筈なのに?)・・精悍な顔つきで縛り首が残された土地・・戻ることはない・・夢中にある筈のない生きがいを求めて・・真空で楽器を手にする喜ばしさ・・砂糖壷に齧りつく・・哀愁微かに聞こえる君だけが放つ匂い・・まだ眠っているの?・・何処で?・・そっと寝静まった闇夜に飛び交う蛾と羽虫・・その羽音が煩く眠れなかった・・アイスクリームと一緒に溶けてあの日の虫たちの様にまだもがいているの?・・諦めなさい・・耐えられないのなら棄ててしまえばいい・・傷つくということは間違っている・・昆虫たちの羽が虚空を舞い・・まだ変わらず雨が降っているというのに土の中で萎れて?・・どうして?・・考えられない・・君がまだそこにいることがとても信じられない・・想像もつかない・・(そうだろうか?君がいなくなってから、生きていて良かったと思える晩は確かになくなった、そもそも生きるってこと自体、土台話に無理があるのはとうに気付いているわけだ。此の世に醜態を晒すだけが為に家畜に飼われなきゃならん、それが生きるってことだとしたら?糞まみれのオムツを無様に履いて、情婦に点滴の管まで刺されて玉袋の裏側まで見られてまで、この世に残ることが重要だとはまるで思わない。感受性豊かで献身的で自由奔放で頭の良かった君はとっくに気付いていただろう?そしてすべてを見ていた筈だ。・・いつもの様に俺たちは闇雲にうろつき麻痺を求めて、その日も例外なく犬っころのような嗅覚でゴミ箱すら漁りかねない勢いだった、すべてが馬鹿馬鹿しく下らなく思えるのだった。君の言う通りだ、確かに下らない何もかも矛盾の黒雲に覆われている。飛行場の鉄条網の側道をまっすぐ歩き、尿道すら凍っちまうくらい寒い夜だった、君がいきなり提案したからだ。「夜の飛行場で跳べない飛行機を見ようと、そして精液をくっつけて細胞が世界を彷徨するところをこの眼で見ると。」・・まったく今考えても子供じみていて夢見がちで馬鹿げた遊びだった、君は一時的に薬物使用による高揚で目の焦点が可笑しかった、殆ど真っ暗闇だったが所々聳え立つ電燈のほのかな光が君の目の中を照らしてその目を確認する度により一層世界が寒くなり、俺は鳥肌が立った。君が企むことは突拍子もなく常に俺を怯えさせた、なんせまだほんの可愛い十代だったんだ、俺は。尻だってまだ青かった、蒙古斑があったし、指だって気付くとしゃぶっていて常に唾液でベトベトだった、そこらの汚い餓鬼どもと大して違いはなかった。最も異常とも言える並外れた好奇心だけはあったが・・そのせいでとにかくその頃は覗きに精をだしていた、何てことない他人の日常を覗くのが大好きだった、その為に命まで惜しまないくらいでそれは職業的とも言える熱意で、ある種の看守じみた癖だった。情事にはあまり興味がなく、ごく普通の一家の食卓を主に覗いていた、自分の家庭環境が寂しいからその家族に自己投影をして?いや、そんなみじめな理由じゃない。ただイチモツを精一杯しごき気持ち良く射精する為だけに覗きをしていたのだ。その度に物凄い量の精液を射精した、月のクレーターにまで飛んできかねない勢いだった、仕方なくいつも掌でキャッチし窓ガラスにそいつを擦りつけて勲章を残して、その場を去る、薄い膜が張る街角、俺が通った後はどれも曇り硝子に変貌しちまう。見つかったことは一度もなかった、悪巧みにかけては人一倍知恵が回った、ついでに何かを盗んでくることもあった、金目のものではなかったが僅かな自尊心がそれを許さなかった。俺にとってそれはかけがいのない時間で、唯一の生きる理由であり、快楽だった。俺は生まれつき愛は勿論、笑いすらも微塵もなかった。むしろ軽蔑さえしていた、家族ゲームを演じることにかけては天下一品で右に出るものはいなかった、他人を騙すことで心の中で常に笑い転げ、俺は気のいい痴呆の真似が抜群に上手かった。そのおかげで生きてこれたと言える、間抜けどもを騙すことは俺にすれば容易い仕事(ゴト)だった、道化師を演じればいいだけだ、自分より価値の低い下の存在に見せることで、間抜けどもは安心して満足し心を開く、常に劣等感に憔悴しきっているので、まあ見破られることはなかった、毎日が火事場の泥棒のようだった、もっともこれは君に会うまでの話だが。地べたにだって寝そべりかねないくらい歩きつかれた頃ようやく鉄条網に穴が開いているのを見つけた、俺が叫ぶと君は喜んで飛び跳ねて抱きついた、湿気た線香のいい匂いがした、だが折角入ったはいいのだが、何処にも飛行機なんて見当たらなかった。どうやらてんで外れのほうにまで来てしまったらしい。俺たちの足音だけが鳴り響く静寂の闇、アスファルトに力なく足を叩きつけるだけの無能の時間、君は次第にこの無意味な地獄の行軍に耐えられなくなってきて、意味不明な言葉を大声で空に向けて叫んだ。俺はその魅惑的な言葉が何かを誘き寄せちまうのではないかと不安になり業を煮やした、「星座に向けて発信している」と君は言った、まったくどういうわけだかさっぱりだ、「星座は心を持っている」と君は言った。こんな時だけ乙女になりやがる、畜生、都合の良い脳みそだと思った。「かつて星々は地上に落ちているそこらの石ころにすぎなかった、そこらの石ころですら威信出世を求めて星になりたがる、どいつも立派になることを願っている、その因縁が蓄積されてやがて天に舞う、星座はその関係性を象徴している、並びには意味がある漠然とではなく囲碁みたいに理路整然とした確かな意味を持っている、星は別の星を憎んだり、嫉妬したり、愛したりもする、常に一番輝く美しい存在でありたいと願うのだ、人は星に願い事をするが、実は星自身も常に自らに願っている、そして美しくなり過ぎたが故に爆発し、攪拌し、塵となり果て、長い年月を経てそいつはまた石ころになる、それの繰り返しだ。」と君は言った、そこらの女みてえだなと言って俺は笑った、やがて空が白んできた頃にやっと飛行機のある場所に辿り着いた、俺はドヤ街で立小便する乞食みたいにズボンを焦って半分下ろして、飛ばない馬鹿でかい鳥に向けて精一杯モノをしごいた、散々虐めぬいた、だが一向に野郎は元気がなくビクともしやがらない。どういうわけか、いつもの覗きの様にはいかなかった、相手のデカブツは死んじまってる、息をしていない、実に堂々と鎮座ましましてやがる、野郎は情けないことにそいつに圧倒されちまっていた。その存在に既に負けちまった、降参、駄目だ、白旗宣言だ、仕方がない、野郎が弱音を吐くと君はそれでも俺の踵をブーツで蹴っ飛ばしヤキを入れてどうにかして射精させようとした、君はまるで何かに取り憑かれているようで、口から泡を飛ばして、サーカスの調教師のように必死に野郎に語りかけた、君がこんなに興奮するのを見るのは初めてだった、俺はそんな君に負けじとモノをしごいたが・・駄目だった・・役に立ちはしない・・何故君はこのみじめな葬儀にあんなに必死になっていたのだろうか?殆ど何にも好感を示さずそこらの雑草にすら罵詈雑言を浴びせかけ軽蔑を顕わにしていた、君が?野郎を君が代わりにしごいてくれさえすればどうにかなったかもしれない、君は何故かその時は俺が幾ら頼んでもそれを頑なに拒んだ。いつもは野郎と一緒に戯れご機嫌にお遊びしていた君がどうして?・・気付くと背後に人影がいた、俺たちは全く気付かずにその仕事の虜になっていた、二人のおまわりどもが気を狂わんばかりの怒声をあげて、つんぼであっても聞きとれる様な大声で空気を震わしていた、ポリ公どもはいつだって肝心な時に現れる、奴らは虫けら一匹殺せやしないのに、どいつも肝っ玉の小さい弱虫だ、下らん烏合の衆に過ぎない、強い者には見向きもせず、弱っちいガキどもをぶん殴ることで点数稼ぎをしている、本格的な下種どもだ。奴らのより下種なほうが俺の丸出しの尻をまさぐりやがった、これ以上ない汚れた手で、下種は明らかに興奮してちんぽこがいきり立っていた、奴のモノさえありゃあ俺もこんなに困ることはなかった、はちきれんばかりにそのモノは主張していた、この類まれなる情景に出会えたことで、俺の尻を撫で回したことで、生きがいを感じていたのだろう。君は咄嗟に下種の手を蹴飛ばすとモデルガンを取り出し、下種どもめがけてぶっ放した、火薬の匂いが充満して時間が確かに停止した、奴らは吃驚して腰を抜かしていた、爽快だった。下種のモノは萎みあがり、俺のモノはいきり立った、俺のモノは興奮して独りでに呼吸してさえいた。あまりに突然巻き起こった劇的な展開に一瞬で涙を溢れんばかりに零した、昇天しそうなほど抜群に気持ち良かった、二人で頭を伏せながら脱走兵の様に逃げ回った。発狂していた?誰が?君が。肩を突き抜け誘惑する淫売のような微風が。ときめいていた?誰が?君に。冠を被ったあの日の舞踏会の皇女のような高貴さや可憐さが。呪っていた?誰が?君が。そこらに当り散らす暴君は狭き門を破壊して妖精のように空を飛ぶ。苛立っていた?誰が?君が。突然の暴風雨で獣たちの皮をすべて剥ぐように誰もがその眼差しで丸裸に変貌する。台風の様にすべてのものを荒れ狂わせて、残骸の山を小さな手でどかして、ひとつの真理を抜き取った。「君は確かに存在していた。」そして今も変わらず「存在し続けている。」これがどういうことか分かるか?俺の心に思い出と共に眠っている?冗談じゃねえ、そんな馬鹿げた何処にでもあるお涙ばなしでは勿論ない。そんな生温いこと書いたら君に殺されちまうよ、そして君と同類だったあの日の仲間たちと自分自身に。俺だって君らと同様にとっととこんな世とは縁を切りおさらばしたい、相変わらず今も気持ちは変わらずだ、全く心配はいらない、だって俺はあの日のまま成長が止まっちまってるのだから、君の迎えに応じたい気持ちは存分にある、だが畜生どもに一杯地獄の煮え湯を食わせてやりてえわけだ、分かるだろう?君と仲間たちを葬り去った死刑執行人のオカマどもにだ。この世は薄汚いオカマで溢れかえっている、右を向いても左を向いても、眠っている時でさえオカマはやってくる、奴らの白々しいでっちあげにはとことん愛想が尽きた、まるっきり仁義も男気も知らない、財布の金勘定しかやることがない、年中脂ぎった指先で飽きもせず数えてやがる、どいつも腐った女みたいなオカマ面で、損得でしか物事を判別しない。それだけならまだいい、話がまだ分かるってもんだ、それが卑しいことだと気付き恥ずかしそうに必死に、その円形脱毛症を十円ハゲを奴らは隠そうとする、自家製の稚拙なカツラでだ、醜いったらありゃあしない、素っ裸のハゲのオカマどもは留まることを知らない、奴らの自己弁護は聞いて飽きれるばかり、知恵遅れの小僧のたわごとより性質が悪い、奴らに餌を与え悪い頭をさらに撫でてやることが存在理由だと?・・ヒッヒッフー・・ヒッヒッフー・・四六時中ラマーズ呼吸法をしなきゃならん羽目になる。豚みたいな黒ん坊の妊婦から知ったかぶりの猿がまた産まれる、嘘吐き特有の口笛を吹き、街を闊歩し、水飴みたいな安っぽい駄菓子の精液を撒き散らす、嘘と毒みたいな色のペンキと異臭の肥溜めと鳥肌が立つ寒い宗教とガセブランドのハンドバックを持った頭がからっぽの立ちんぼと手癖の悪いかっぱらいが犇き合う地下鉄の公衆便所が素敵な出会いの場所で結婚記念日だ、便所の中でファック・・アナタイキソウヨ・・アナタスゴクステキネ・・オカマとオカマが一発やり合う・・fuckfuckfuckfuckfuck・・新婚旅行は淫売屋のマットレスの上、ベトベトの精液とローション・・舌が絡まりあって・・乳クリ合って・・勝手にしろ。・・逃亡後の真夜中のドライブ、景色が歪んでいる、見るもの、見るもの、がすべて作られている、自然の純粋な産物は何処にも存在しない、意図があって作られている?利便という、欲という、大変都合の良い意図、大金が巻かれて泥棒が地べたを這いつきまわる、紙幣の汚臭、資本主義の汚臭、スターリンの汚臭、マッカーサーの汚臭、裏切り者の汚臭、軍国主義から離反した裏切り者どもからこの国は建立された、かつての信念は何処へやら、日米同盟?まったく笑える、シベリア帰りは酷い仕打ちを受けた、権力がすべて絶対的に正しいと見做される、権力こそ由々しき犯罪に違いないのに。君は銃口をマイク代わりに口笛を吹いた、何のリズム?ヴェルヴェットアンダーグラウンドのニコのリズム?ファクトリーのイーディセシヴィックのリズム?何かが起ころうとしている、獣たちが林道で悪魔に向けて遠吠えをしている、殺気立って暴れる、駆けずる、そのリズムが獣を呼んでいる?君が一歩歩くたび何者をも魅了された、君だけに特別に調合されたパフォームを撒き散らす、獣どもが盛りつくわけだ、足をバタバタ捩じらせて、フロントガラスに爪先で口づけをして、何の前触れもなくクラクションが鳴り、地獄へ向かう合図とばかりに、「確かに発狂している。」獣たちと月夜と歪んだ景色と寒空の子守唄と君の唇が犇き合って、ひび割れたフロントガラスと偉人たちの亡骸と狼の尻尾と吐かれた痰の数々と叱責する支配人と臆病な小市民と君の赤い髪の毛が相見あって。尋常でない速度の揺らぎで空間がまた捩れ、中で骸骨どもが戦争をしている、剣と盾と竪琴、丘の上で立派な髭を蓄えた仙人の飛行術、腕と足が逆さになって、失敗したふく笑いの表情に似ていて途轍もなくおっかない。俺は既に小便をちびっていた、パンツの中でジワジワとアンモニアの異臭が充満する、予感?ただ何らかの予感を感じる。耳が色んな所の音を拾いやがる、12世紀のギリシア戦争のトロイアの木馬、般若心経と木魚、遣唐使と荒れ狂う波音と大型の木船、新大陸を発見したあの日のコロンブスみたいに?真実を見ようとするのだ、君は、とんでもない、正気の沙汰ではない、螺子が緩んでいる、あっちこっちでゼンマイが故障の警告音を発信している、ぶっ壊れちまうぞ?何が君をそうさせる?ああ・・悪魔の娘よ、モルヒネで創られた人格、神経が麻痺している、地獄に高貴な眼差しで自ら危険を顧みず飛び込んで行く、俺は口をあんぐり開けて阿呆みたいに連れ添って、馬鹿げているぜ、こちとら素っ裸だ、武器はそのモデルガンで?火を噴きやしないじゃないか、見せかけだけのガセモノだぜ、そいつは、最期の特攻隊として?日の丸の旗を掲げずに?誰にも賞賛さりゃあしねえ、せいぜいあの弱虫のポリ公どもをびびらせるくらいが関の山だ。反逆の血液が静脈の奥底で沸騰している、生まれながらに投与されたアンフェタミン、そのせいで地獄、地獄、何処でも変わらず地獄だ、君が地獄をつくっちまうのだから。理念も思想もなくただ当てずっぽうに豆鉄砲をぶっ放して?冗談じゃない、君に惚れちまってる俺は紐で繋がれた飼い犬か?君がいなきゃ吠えることも出来ない、ポリ公どもと何ら変わりはしねえ、弱虫の虫けらさ俺だって、チンポコを弄ることしか脳がない、四六時中チンポコのことが頭から離れない、どう気持ち良く射精するか?いつも考えているのはそのことだけだった、厳にその時だって俺はチンポコのことを一所懸命考えていた、野朗は怯えてご機嫌ななめには違いはなかったが。・・土埃が吹き荒ぶまるで白夜の霧のよう、世界は流転している、亡霊の手が引っ張る、尋常でない引力、導かれる様に、何処へ向かっている?まるで検討もつかない、ボンネットで突如大きな物音、慌てて俺は車を止める、急ブレーキでタイヤがスピンする、ギリギリの処で如何にか止まったが、もう少しで下は崖だった・・御陀仏寸前だった。暗闇でよく分からないが谷底はかなり深いだろう、いつだったか大間岬から函館に向かう為に船に乗ったのだが、大雨の中、ふと夢遊病者のように甲板に出ると、波は大荒れで黒い潮が渦を巻いていた。じっと見ていると沢山の小さな顔が浮かんでいて、何か強い力に引っ張られるようで、危うく身を投げそうになったことがあった、この時もそんな気分になった。死線を越えるたびに感覚がより鋭敏になり、より酷いことが、より高い頻度で、起こるようになる。まったく踏んだり蹴ったりだ、どういう星の下で生まれてしまったのか?その結果、ミイラ取りがミイラ憑きになり、果てはミイラそのものになる、その過程を俺は何度も見てきた。それは夢?幻影?まぼろし?違う、まったく違う、頭部のない黒猫が数匹音を立てずにやってきてステンレスの板を引っ掻き、今宵再び襲ってくるだろう、不気味な音色と共にすべて「現実」が「現実」を奪い去ってしまう、そこにあるのは余計な不純物を洗い流した本物のリアリティである。糞尿と精液と疫病と罵詈雑言・・消え去ってしまった君の笑い声と言葉の数々・・それはセリーヌが黒目がちの地獄のような眼差しでじっと耐え、手鎖に繋がれて監獄で見ていたものと恐らく同質であるだろう、満月の夜に浄化され、孤高の亡霊たちが何処に向かうわけでもなく、お互いその時は全く気付くことなく一瞬交差する、美しく気高いそして価値ある途方もない意識の奔流の最中での出来事、君とも確かに一瞬すれ違ったはず・・あの秘密の土地で・・そうだろう?・・雷雨、粉塵が舞う、先がぼやけてまるで見えない山道、君が突然声をあげる、ヘッドライトが照らす、白装束の老婆が道路に横たわっていた。息絶え絶えに、出血はしていない、厚化粧をしているようで、現実感のない真っ白な顔立ち・・俺がこの老婆を轢いてしまったというのか?まさか?血の気がさっとひき、青くなった、君はそれを見て鼻先で少し笑った、青く光る目の幽霊馬車が静かに目の前にやってきた、黒猫どもがより一層激しく暴れる。また始まった?こんな豪雨の真夜中に?人っ子一人いない山道で?でも目の前には老婆が確かにいやがるんだ。間違っている?俺の認識は何処にあるのか?脳の情報伝達機能が狂ってしまったのか?こんなことあるはずがねえ、こんなババアがいるはずはねえ、幽霊か?山神か?祟りか?・・おっかねえ、こんな酷い災難に巻き込まれたにもかかわらず、君は落ち着いていて余裕がある。どういうわけだ?君がまたこの地獄をつくった?魔法のカーテンで?気高い殺し屋の様な眼差しで?いい加減にしてくれ、盲目であり得るなら、今だって盲目になりたい、だがこれがかけがえのない確かな現実なんだ、目の前で見たもの、聞いたもの、呼び醒ましたもの、が確かにここに存在している。さあ、嘔吐の始まりだ、怪物どもの嘔吐だ、ゲロの海だ、狂っちまうか?くたばっちまうか?そのほうが全然楽だ、安息を求める本能もありやがる、だが君はそれを許さなかった。俺は呆然と立ち尽くし、考えあぐねいていると、君は確実な目に見える歩行の速度で、その老婆を揺り起こそうとした、勿論、想像は裏切らず、いつだって現実に勝っている、既に心臓は止まっちまっていた、このお偉い山神様は。君は俺に目で合図を送ると二人で力を合わせて車の後部座席にその老婆をぶち込んだ、大嵐の中、急いで車を発進させると、君は異常なほどご機嫌だった、ピクニックに行く子供のようにはしゃいだ、老婆のおやつを後部座席に詰め込んで?気狂いだよ、不具者だよ、混沌と錯乱が追いかけっこしてやがる、どっちが勝っても結果は同じ、楽園は冬の海だ、絶対零度、温度計もすぐさまぶっ壊れる、どいつもこいつもとんだ猿野朗だ、極限状態での猿真似地獄、たまったもんじゃない。それでも生きようとする、人はまた人を食って、救命ボートにおっかさんは乗らせねえ、てめえがまず先に乗るんだ、どいつもこいつも、冬の海に突き落として、親の凍った骨で洒落たカクテルを作る、ご機嫌いかが?と言わんばかりに。畜生どもが、焼け石に水、大地震の後の霊魂、氷水での集団リンチ、頭にきやがる、射精地獄のオカマ野朗どもめ、気狂いが気狂いを巻き込んでの運動会、くたばるまで競争だ、どれだけ金があるか?どれだけ有意義に過ごしたか?どれだけ知恵を持っているか?どれだけ社会的身分があるか?どれだけ嫁が美人か?・・・くだらねえ、糞だ、糞だ、糞の祭りだ、糞の投げ合い、糞に埋れてどいつも骨になる。呻き声で俺はふと我に返った、君は変わらずご機嫌に窓の外の景色を見ていた、老婆が唸っているのだ。くたばっちまったんじゃねえのか?後ろを振り返ると確かに生きていた、呼吸をしていた、老婆は正体不明の何かに感応して、意味不明な解読不能の言霊を呟いていた、「・・雨・・霰・・ウエッ・・鬼が来るぞ・・赤い巨大な鬼・・ウエッ・・女であるのか?男であるのか?両性具有の・・鬼だ!!!鬼に違げえねえ!!!・・ウエッ・・隠れろ・・塹壕の中に・・抱き締めてやる・・怖いか?・・おっかねえか?・・火柱だ・・天竜だ・・ウエッ・・影から生まれる魔物の群れ・・ウェッ・・やってくるぞ・・道楽者が・・恥を知れ・・汚い肌のホトトギス・・白い刃の落ち武者・・下僕か?・・乞食か?・・人でなしだ!!・・極道者だ!!・・ウェッ・・毛玉ひとつ残りはしねえ・・縛り首だ!!・・脳みそは食えねえ・・白血球?・・病気だ!!・・発疹が体中に浮き出て・・人間じゃねえ!!・・野蛮人だ!!・・ウエッ・・盗人だ!!・・とんでもねえ・・気狂いだ!!・・嫁の子が気狂いになっちまった!!」ババアがとち狂ってやがる、打ち身で全身痙攣さ、君はそれを聞いて嬉しそうに窓を叩いて大笑いしているし、どういう神経してんだ?まったく考えられねえ、いずれにしろ幸運だった、人殺しは免れた、臭い飯は食わずに済む、ババアはくたばっちゃいねえ、とっとと車から放り出して、何事もなかった様にずらかろう、急いで車を路肩に停車して、ババアを追い出そうとする、だが奴は白目を剥いて相変わらず叫んでいる、虫が湧いたような汚い痰を撒き散らして暴れている、身体中痣だらけにして、ゴミ溜めの獣のように、俺は構わずババアのでっかい丸尻を蹴っ飛ばしたが、動きやしねえ、図体ばっかでかくてビクともしやしねえ、なんせ相手はご立派な大福神様だ、散々仕舞いには汗だくになって、蹴った、蹴った、蹴り飛ばした、それでも駄目だった、君の手を借りようと呼びかけても全く応じる気配がない、変わらず笑い転げていやがる、キチガイ暴れ馬だ、オーバードーズの雌猫だ、気狂いサーカスの開演だ、犬の糞を食い散らかしたような仕草で二人揃って毒キノコにあたったみたいに自分の世界に閉じ篭ってお遊びだ、てんで取り合おうとしない、クソッタレ、もういいさ勝手にしろ、さて俺はどうすりゃあいい?車ごとババアを燃やしちまうか?車を捨ててずらっかちまうか?車ごと谷底に落としちまうか?よしきた、そ知らぬ顔で無視して行っちまおう、影武者だ、忍者だ、逃亡兵だ、構いはしねえ、冷静に落ち着いてハンドミラーで髪型を整える、水鼻で汚れてひでえ顔だ、こん畜生ども、こりゃあ大波なんだ、嵐に違いない、いずれ風向きも変わるだろう、落ち着いて現実を直視して、さてどうするか?だ、力量が試される、なんせ一歩間違えれば監獄行きだ、虐められて大男にカマを掘られてケツから血潮を吹く、悪夢が始まる、冷たいコンクリートの上で泣き言をたれる、死にてえ、死にてえ、毎晩毎晩尋常じゃない痛みと苦しみ、ケツから血の噴水だ、世界百景に認定される負け犬の光景、頭で虫どもの大合唱だ、看守と囚人と虫どもが徹夜でグルになって大騒ぎ、挙句の果てに精神病院にぶち込まれて、一日中煙草吸い吸い、マスを掻き掻き、何も楽しみなんかありゃあしねえ、隣の病室の妊娠線で腹が弛んだ、シンナーで歯が欠けたヒステリーな、餓鬼を三度も堕ろした病気女との運命の出会い、時は既に遅し、まともな判断なんか到底出来やしねえ、ここまで糞を踏んじまったら衛生的観念なんぞ闇の中だ、人間的尊厳?気高さ?ありえねえ、こちとら雑種野朗だ、腹がへれば他人の糞だって食っちまう有様さ、誰だって結婚しちまう、何か救いがあるかもしんねえと思い込み、いつだって自分自身のことに限っては誰もが盲目だ、病気同士で仲良く手を繋いで退院だ、ひでえ豚を連れてやがんなと後ろ指をさされて笑われて僅かにいた友人も美意識の大安売りでいなくなっちまう、背中に救い難い負のジレンマを背負っていることも気付かずに、ここまできたら想像もつくだろう、シャブ漬けか?かっぱらいか?片輪者か?乞食か?だ、未来は蛆虫どもが馴れ合ってる墓場へ直行便、やがて救い難い現実に耐えられず精神をぶっ壊しちまう、夫婦揃って大嘘つきになる、近所中にあることないこと触れ回る、キリストの生まれ変わり?ノーベル賞?大作家?大地主?想像力の乏しい貧困で無様な大嘘だ、誰にも相手にされねえ、夢を見ることは自由だと?少しはてめえの現実を見たほうがいい、面もさえねえ、金もねえ、職もねえ、頭もねえ、まるっきり地獄様様じゃねえか、分相応に家畜小屋で与えられた餌だけを食うべきだ、主人のいねえ時にこっそり吠えればいい、てめえは天才だと吠えればいい、可愛げがある、慰めてくれる娼婦もいる、せいぜい満足する様に逃げられない様に足の指を丁寧に舐めてやることだ、なんせ大事なてめえだけの女だ、身体中に唾液を摩りつけて、それが殺虫剤さ、もともと誰も寄りつかねえ女であろうと、可愛がってやりゃあいい、大きな不幸も幸福もないだろう、そうすりゃあどんな間抜けでもどうにか一人前の体だけは保てる、特別なんかねえんだ、畜生め、例え一瞬特別を味わったとしても、あっという間に落ちて晒し首だ、他人の前でマスを掻く羽目になる、根こそぎ持ってけ泥棒め、酸いも甘いも嗅ぎ分けて、だが生まれつき大きな欠陥がある場合は諦めるしかねえ、毎日ひでえ耳鳴りだ、あらゆる不幸と感情を全部自分のとこに持ってきちまう、家の中では小人どもが暴れる、叫ぶ、虐殺、強姦、罵り合い、毎日が機関銃の撃ちっぱなしだ、心休まる時はないと考えたほうがいい、一端片付けても次から次へとやってくる、実験工場だ、物質と物質を混ぜ合わせて未知の奇形の生命が生まれる、そいつらに恫喝される、怯えて蹲って泣き言を言って助けてくれと喚く、扇風機の中心の様なものだ、誰も寄り付かない、孤独の船旅だ、腰がひん曲がり、腕が明後日の方向を向き、仕舞いには自分が奇形になるだろう、酸性だ、劇薬だ、脳内革命だ、闇鍋ではずれくじをまた引く、舌が痺れて吠える、他人からすりゃあ寝言だよ、宇宙言語だ、理解されるはずもない、未知の王国のパレードだ、注目されようもない、だが決して甘ったれてはいけない、甘えたらもうそこで御陀仏だ、真っ逆さまに深い穴にダイブ、また這い上がるのに豚の油を一トン平らげることになる、頭を撫でてくる奴はどいつもエトセトラだ、信じるな、お利口なのは常に自分自身だけだ、誰にも認知されないが国王に間違いはない、気高い精神と信念とでゴミ虫どもを片っ端からやっつけろ、墓場まで伝言は電話交換手の少女におあずけだ、そいつがひょっとすれば大統領夫人になるかもしれねえ、人民の人民による人民の為の・・そうさリンカーンだ・・私には夢がある・・そうさキング牧師だ・・名誉は鼻紙で包んで捨てちまえ、臆病風はいつだって吹き荒れる、天秤の上の不安定なバレエダンサーたち、深海で竜の落とし子どもが詩を歌う、さあ音楽だ、気を焦るな貴重な味方はそいつらだけだ、奇形どもと頭の中で大合唱だ、価値あるオペラを演出しろ、演目は顔面痙攣の親指姫だ、もっともこれはほんの一幕に過ぎないだろう、今宵の憂鬱地獄はまだ始まったばかり。俺は小汚い頭を掻き毟りながら気を病んでいた、虱蠢く、爪の垢、どうにか抜け出す為に四苦八苦、壊れかけの望遠鏡を覗く、何も見えねえ真っ暗闇だ、死んだ鳥、夕暮れ、現実離れした妄想、ヤケクソで逆立ちになって、頭に血が上って判断を誤っちまう、いつものことだ、気にすることはねえ、泣きっ面に蜂、不衛生な炭鉱、力瘤を自慢しあう、腹筋、腕立て伏せ、労働者どもは大酒呑みだ、じっと運転席で呪文を唱える、今後の行末を占って、大凶だ、大恐慌だ、食料飢饉だ、てんでついてねえ、君は大慌てをしている俺の頭を撫でて、口を覆いつまらん独り言を塞き止めた、なんせダムは崩壊しちまう寸前だった、濁流地獄は目の前だ、鳥が、獣が、魚が、屋敷が、車が、混ざって糞色のカクテルをつくる、値段は?決まっているさ貴様らの尊いお命だ、君は俺のモノを出して、乗っかって、気付くと暴れ馬に変貌しちまった、塩だと思ったがとんでもねえ、甘味だった、甘ったるい大福を頬張るひととき、君に応戦してガンガン腰を振る、そうさダンスだ、魂と魂が共鳴しあう躍動、狂乱舞踏の時期を逃すな、そらきた暴れるぞ、ダンス、ダンス、ダンス、弾がねえ、弾を持って来い二等兵、撃ち殺せ、黒ん坊だ、あばずれだ、チンピラだ、いやてめえらじゃねえ、ババアだ、山神様はお寛ぎか?山神様ご機嫌麗しゅう御座いますか?だ、ああ・・山神よ、お婆様よ、ババアは悶え叫んでいた、俺たちの魂の躍動に共鳴して?いや違う、肌は皺くちゃで粉ふいてる、生理だってその言葉すら忘れちまうくらいのご老体だ、お大事に、お大事に、この世のあらゆる病気を集めるとこのお婆のようになる、ご立派だよ、明治生まれの年代物のおまんこだ、糸をひきひき粘々の古美術品、俺は弾を撃ちすぎちまった、なんせ十代だった、誰もが底なしだと自惚れて酔っちまう、君とのお遊びに夢中になりすぎて、無意識にシートを倒してしまって、シートと後部座席の間に大事なばあさまの可愛いお手手が挟まっちまってる、ババアの高い雄たけび、「・・痛い痛い痛い・ああ人殺しどもが・・大概にしやがれ・・ババアだと思って舐め腐りやがって・・まだ惚けちゃいねえんだ・・クソガキどもが・・腕が折れちまう・・畜生めが・・野蛮人が・・ああぶっ殺してやる・・あああああぶっ殺してやる・・いたいよお・・お願いだからやめとくれ・・貴様らあの薄汚い盗っ人の嫁の子か?・・そうにちげえねえ・・あいつの子はみんな気狂いになっちまうのさ・・どいつもろくでなしだ・・復讐なら勘弁しとくれ・・わたしゃあ悪くねえのさ・・恥だと思うことはいっぺんだってしたことはねえ・・いつだって正しいことをやってきた・・わたしを殺すつもりなんだろ?・・ええ?・・殺しちまうつもりだ・・こんな惨めな老人を葬っちまうのさ・・隠し通せると思うな・・呪ってやる・・貴様らはろくな死に方をしねえはずだ・・」君はケラケラ笑って、相変わらず暴れ馬だった、興奮していきり立って、むしろより酷くなりさえしていた、ばあさまの怒鳴り声のラッパは精力剤だ、壊れたテープレコーダー、カミキリ虫が内臓を食う、人殺し?そうさ、悪徳の限りを尽くしていた、悪に人生を投じていた、くだらん人生をさ、からっぽの身のない焼き栗だ、焚き火から勝手に飛び出して近づく者に大火傷させる、上等だよ、こちとら不幸の百貨店だ、大小色とりどりあらゆる不幸が揃っている、エレベーターガールは精神病棟から逃げてきたひでえ薬物中毒者さ、興味があるのは本物の、そうヘロインだけだ、毛虱まみれの人生だ、何でもどんとこいだ、大風呂敷を広げて、構わず悪食の限りを尽くす、大ムカデ、大蛇、鼬、蟋蟀、雀蜂、この世に食えないものはありはしねえ、親父の本業は山師だ、ケチな仕事人さ、有り得ない夢ばかり追いかけてる、その度にかかあに大ビンタされて泣きベソ掻いて、ろくなもんじゃねえ、かかあは骨の髄まで売女だった、てめえの息子とだって金さえ貰えればやっただろう、札束握ってかかあとファックさ、太鼓腹を叩いて宇宙の底なし沼にモノをうずめて何もかも忘れちまう、ご機嫌だ、枕を反対にしても今でも時たま夢に見る、かかあのどでかい尻をさ、しゃぶりつきてえ桃尻をだ、デキモノだらけの粗大ゴミみたいな大尻を、いつも電話が鳴っても取るなと頭を叩かれた、かかあの客からの電話さ、モテて有頂天になって四畳半の掘り炬燵の上でジュリアナダンスだ、スーパーのチラシで紙吹雪をつくって俺は花咲かじいさんの役をやらされた、拍手喝采、かかあは女優、俺は喉が枯れるまで応援した、なんせおまんまはかかあにすべて委ねられている、あのどでかい尻はよく金を稼いだ、俺はうだつのあがらない親父に代わって、十歳の誕生日を迎える頃には一人前のかっぱらいに成長していた、これもかかあのおかげさ、いつでもジジイかババアが俺の狙いだった、可愛らしい子供の特権の笑みで奴らに近付いて、あいつらはうすのろだ、てんで警戒心というものがない、てめえだけは不幸にあうはずがないと思っていやがる、念仏を唱えるのが日課さ、毎日赤飯を炊いて還暦を祝う、子供の時は仕事が格段にやり易かった、おばあさん重いでしょう?その荷物僕が持ってあげましょうか?この鶴の一声で奴らは大抵の場合イチコロだった、荷物を抱えて来る度にかかあは大喜びだった・・坊や・・ああ・・私の可愛い坊や・・さすが私の子供だわ・・なんて逞しいのでしょう・・ほっぺにキスの嵐だった、だが、いい時は長く続かなかった、ある日小学校の同級生の糞ガキに一部始終を全部見られちまって、先公にチンコロされた、大層おかんむりで家まで押しかけてきて、突然の大嵐の訪問にかかあは腰を抜かしたが、そこは女優の職人芸さ、大芝居を打って出た・・まあ先生・・どうしたのですか?家の坊やが何か悪さをしましたか?・・まあお座りになって下さいな・・お茶とお菓子をお出ししましょうね・・不二家のケーキが丁度あるんですよ・・主人の出世祝いでね・・今度会社を任されることになったんですよ・・なあに大した仕事じゃ御座いません・・ほんの造船会社です・・マレーシアやインドやタイに穀物を輸出するしがない船ですよ・・もっともモーターボートでも漁船でも御座いませんが・・豪華客船でも御座いません・・でも確かに主人の船なんですよ・・こんな嬉しい日はあったもんじゃ御座いません・・生きていることが夢のように・・一日一日の幸せの味を噛み締めて・・毎日が過ぎるのが勿体無いくらいで・・この坊やもこんなに立派に成長して・・もう主人の会社を継いでやるって大口叩いているんですから・・まだほんの子供に過ぎないのに・・口だけは一人前でね・・先生・・でもこの子は立派でしょう?・・私の大事な可愛い坊やなんですから・・そうただ一人のかけがえのない可愛い坊やですよ・・目に入れても痛くないなんて申しますがね・・本当のことですよ先生・・会社なんてちっぽけなこと言わずに・・この子は主人と違って男前ですから・・俳優にだってなれますわ・・ねえ先生・・そうに違いないでしょう・・未来の大スターを私はこの手で育てているのですよ・・こんな名誉なことがこの世に御座いますか?・・なんて幸運なのでしょう・・毎日の成長が楽しみで・・頭も利口でしょう・・ねえ先生・・まあ・・盗み?・・盗みですって!・・何ておっしゃいましたか?・・私の耳が悪いんで御座いましょうか?・・そんな事はこの坊やに限って有り得ません・・私は何不自由ない暮らしをこの子にさせているのですから・・この子は殿様です・・他人の物に手をかけるなど断じてありません・・ええ・・神に誓って・・そんなことより・・主人の会社の設立を一緒に祝って下さる?・・今夜はパーティーなんですの・・そんな具合に先公を軽くあしらった、かかあにすりゃあ容易いことだった、いつも米兵を相手にしてたんだから、進駐軍のクラブであの大威張りの赤鬼の白んぼどもを、かかあは俺のとんまな失敗を責め立てた、喚き散らした、ああ!・・小僧・・タダ飯食わしてるんじゃねえんだ・・しくじりやがって・・まったくどうしようもない不器用な子だよ・・先が思いやられる・・間抜けな親父と一緒だよ・・てんで生きることを知りやしねえ・・生きていくってことをさ・・夢ばっか見るんだ・・そんなの何処にもありはしねえのに・・母さんが一番よく知ってるのさ・・現実ってやつをさ・・生き方ってやつをさ・・散々目が飛び出るほど綱渡りをしてきてんだ・・我が家のひ弱な男どもはまあご立派なお乞食様だよ・・母さんのお金でお月様を見て満腹なお腹で宇宙を見てるのさ・・分かりもしない宇宙を・・家のことはそっぽを向いて不干渉・・ええ!・・ごく潰しが・・我慢がならない・・今度は何を仕出かすのかね・・宇宙船でも作るのかい?・・何があるって言うんだい・・まったく・・宇宙に金山があるのかい?・・それなら母さんも喜んで金を出しますとも・・勘弁しておくれ・・散々苦労してここまで育てて・・まさか親父に似ちまうなんて・・神様はいないのかい?・・神様は何処にいんのさ?・・ここまで生きて何にもいいことなんかありはしねえ・・二人も乞食を抱えてこの先どうすんだい?・・可愛い坊や・・坊やならきっと分かってくれるって私は信じてるよ・・どう稼ぐか・・生きていくってのはそういうことさ・・大金にありつく夢を母さんにみさせておくれ・・今度はしくじるんじゃないよ・・。・・立派な夢を見ること?夢は夢に過ぎず現実に遠く及ばない、不可思議な妄想は火山の噴火口だ、鮨詰めの漁船で一人抜け出し砂漠で大漁旗を掲げること?不可能だ、孤高の機関車自分勝手にレールをひいて出発進行、釜は沸騰寸前だ、修羅に生きること、観覧板の賞金首のならず者、栄養価の高い蟹味噌だけを食い荒らし甲羅は海の藻屑と消えちまう、盗みはある面では誇り高い職人芸だ、時に犯罪は推奨されるべき芸術に違いはない、日常からの脱線に諸行無常の快楽あり、ああ麗しき情緒の舞いよ、光線が湾曲して未来ある立体映像を示唆するであろう、胸高鳴りしなやかなヤクザの手、専決して今夜はどの飯の種にありつくか、堪らない、涎が溢れる我慢がならん、種は大木に成長し得るのか?さあ屍の重鎮どもから何もかも盗んじまえ、この世に蔓延る本物の悪党からだ、墓ごとかっぱらっちまえ、逆転し得る唯一の手筋そこに光ありきとおぼし、初志貫徹、妄想の博覧会、展示物はすべて戦利品さ、古今東西金品の宝庫、何でもござれ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい、お目が高いぜ、さあ坊主、死体安置室に忍び込み老人の金歯を盗んでくるとは、見上げた奴よ、褒め称えん、さあ褒美を遣わそう、よう御両人、お目が高いねえ、子供を浚い、鱈腹ご馳走を与えた後で、淫売屋に売り飛ばすとは、大した冷血漢さ、ああ狂っちまうぞ、頭は腐った湯豆腐のよう、悪のだし汁を散々吸い込んで、いいダシが出ていやがる、どいつも見てみぬふりをしやがって、気付けば蛆虫どもの巣の中さ、高貴な面をしやがって、もう騙されるか、よく見れば尻尾が出てやがるのさ、先端におみくじみたいに万札括りつけやがって、洒落てるつもりか、願いは叶いやしねえよ。
・・魔法のような愛は一体何処に?
確かに純粋には違いはなかった、目を輝かせてモダンなダンスパーティーでシャンペンをご婦人方と飲んだ、ポケットに研磨された宝石を忍ばせて誰にも見つからないように手で覆い隠して、死者たちは急ぐ、到底待ってはくれずに、いつも置いてきぼりにされて、死者たちは忙しい、草原の向こうで正体は光の渦でぼやけて、目は霞む、君たちは何処を見ていた?同じ空を見ていなかった?確かに俺たちは一時期接触していた、君たちは髪の毛を部屋中に撒き散らして、痕跡だけを遺して、また何処かへ行ってしまう、催眠術にかかったように隔意の空間で空虚に一人力なく吠える、既成の事物すべてを全否定するこの脳内麻薬の暴君の無謀さに君たちは呆れているだろうか?俺の無駄な足掻きを盗み見て笑っているのではないだろうか?俺にだって分かっているさ、でももう麻痺の日々からは足を洗った、現実が確かにそこにあるからだ、君たちの過去も確かにそうであったように、今でも君たちの血反吐を時折目にすることがある、それは駅の改札であったり、横断歩道の白線であったり、神社の境内であったりもする、君らの消せない匂いを感じるからだ、威嚇し、発狂し、最期まで闘った戦友たちは当然の様に存在の痕跡を遺した、とりとめのない空気の中で写真のフィルムのように切り取られたあの光景を消せやしない、俺は君たちを心底愛している、過去の呪われた先駆者たちも同様に愛している、彼らの肉体から放たれる魂の響きが唯一の真理であること、それは彼らだけが所有し得るスタイルであり、新たな歴史の誕生という激動が彼らを葬り去ってしまう前に、彼らの真理を早急に証明しなければならない、これは最も価値を置くべき急務である、何故ならそこにしか現実は有り得ないからである、既成の事物を凡て蔑ろにし、軽蔑し、徹底的に塵ひとつ残さず掻き消す、孤立無援の白城を建立し、システムの凡てが無意味極まりなく、個人を排他する由々しき害悪であることを有象無象に伝達する、疎ましい害虫どもから嘔吐される酸は存在意義を模造し、個人を駆逐し、麻痺させ、何者かであることが重要な縦社会の虚像を生み出し、その見えざるカーテンの中で人形劇をしているに過ぎない、何者かが何者かを操り、その何者かはまた別の何者かを操る、この負の復讐劇は極めて無計画で無謀であり地軸そのものを少しずつずらし摂理は絶えず蝕まれ続けている、それがどれほどのことであるか、この膨大な繋がりの系統は危機的状況にある、操る者、操られる者は、それぞれ有限的であり、やがてその対象を失くすか或いは性格的に遺伝的に環境的に劣等を受け継がれた者は社会で確たる地位を築くことが出来ずに、そのある種の欲求不満から個人それぞれが独立した虚像の楽園(自己同一性異次元)を生み、意識、記憶、感情、その他自己を形成するありとあらゆる者は、それぞれ分裂化し、湾曲し、やがて膨大な狂気の坩堝として世界に君臨するだろう。そこでは判別不能、取捨選択不能、記憶や存在の表出と消滅、乱れ、混乱、錯乱、カオスそして狂気の織成す世界、そこではありとあらゆる感情、出来事、歴史、記憶が複雑に混ざり合っている、つまり自己と他者の垣根は無くなり、個人は熱狂的に行末を知ることなく自己同一性異次元に迷い込み、それぞれ個人が何者であるか、存在証明がまるで出来なくなる、個人は個人でなくなると同時に、当然既存のシステムはまるで機能しなくなり、およそ50年以内に世界はその症状が顕著になり息を引き取り、やがて人間社会は終焉を迎えるだろう。(フランシス・フクヤマの提言した歴史の終焉を私は真っ向から否定する。歴史は終焉したのではなく、弁証法的に退化し、新たな歴史が始まったに過ぎない。)その証明すべく必死に闘った、過去の偉大なる先駆者たちは狂人と見做され、現実社会から隔離され、見えざるカーテンの中で静かに死刑は執行された、彼らは同時に偉大なる預言者でもあったからだ、その世界の終焉の光景を確かに見ていた、それはこのゲームを維持し続ける為には非常に都合の悪いことであることは言うまでもないだろう、常に権力(この言葉を本当は使いたくないのだが、私は実のところその存在すら認めたくないのである。)が真理を葬る、権力の外にしか真理は生存出来ず、勢いよく燃え盛る炎は油(生命意義)を決して与えられず徐々にその力も弱くなり、疲れ果て、地面に灰となる。結局のところ、生まれるべくして生まれた彼らは血痕を遺し、異臭を放ったまま、成果を上げられず、絶対的少数故にこの世で生存することが出来ない、末路は発狂するか去るかであることは必然的責務である、現実に目を叛けることが不可能であるから、時に薬物(阿片系統)に瞬間的な麻痺を求める、そして、墓場の中でも行き場が無かった彼らは、大陸を橋掛けて今もその魂はあるべきところで彷徨っている、セリーヌの墓石に否(ノン)の一言が刻まれ、時を同じくして、何塊の魂が彼を快く迎え入れたであろうか?絶対的強者であると同時に絶対的弱者でもあった彼らは、尊き、美しき、可憐で、孤高の深遠なるその瞳はあらゆる邪気を吸い込み、毒物を吐き散らすかのように彼らは作品に全生命をぶつける、その様相は殆ど亡霊と変わりがない、不確かな現状に肉体を痛めつけられ、困惑しながらもその拷問を受け入れ、いずれ去るべき葛藤と戦争している、世界の果てをこの目で見ながら、ゼリーのような合成加工物が血走り溶ける、空間から略奪され炎症が起こる、生きる意味がないことを知りながら虫を磨り潰した苦い笑い、実際に意味は何物にも何びとにも存在しない、ただ呼吸をし、学問やら仕事やら家族やら宗教やらに縋りつき欲求を消化しているに過ぎない、手の震え、血液循環機能、まるっきり無用の生物、有限物と無限物の違いは何かに影響を与えるか否かにしかその隔たりはない、どちらが有能であるかは敢えて言うまでもないだろう、本来不動の物であったはずの無限物が支配と被支配の関係性により変化するその常用的循環機能は極めて深刻である、本来ならば天変地異により神の見えざる手においてのみ変動は唯一そこに意義ないしは尊厳を見出せるのである、処罰は気付いていないだけで、あらゆるところで起きている、これは紀元前より存在する渦中の問題であるが、今更議題にあげる必要性はないのかもしれない。実は私はここでまず宣告しておくが、本来不可思議であり絶対不能であったはずの領域にまでふとしたきっかけで時折侵入することがある、それは本来不透明であったはずのあらゆる事物の裏側の関係性を透明にする。物凄く恐ろしいことだ、狂気じみた複雑に絡み合う因果を解き解そうと躍起になっているのだが、それは並大抵のものではない、私の熱気と過信は凄まじく竜巻のように流動し蔓延るあらゆる虚構を裸体に等しき存在にする、その度に肉体は悲鳴を上げ、疲労困憊、精神薄弱、私は何ら死体と変わりはなくなり、身近にある物を手に取ることすら面倒になる程病むのである、その交信は秘密の支配人に伝達され、至極内密に水面下で執り行われる、その領域での裁判の判決は有罪であるか無罪であるか瞬時に判別され、電信として私の耳に届く、このいわば真理の情報が肉体に働きかけ、まるっきり生産に労力を割くことが困難である、それは私にしか知り得ない情報であるから、分ち合える限られた友人たちを大事にしてきたが、彼らはその迷路で疲労困憊し、やがては臨界点に達し、偶然性を匂わせてその秘密の循環機能を塞き止めてしまった、今や孤独の船人と変貌を遂げた私は当然の様に何者とも分かち合うことが出来ず、独り孤独に彷徨い続けている、不可能性を可能性に変換する妖術を最近になり認めることが出来たが、並大抵の道程ではなかった、屍の山を踏み歩いて、悪魔の鈴の音を鳴らし、引き裂かれる悪夢の数々は到底認めたくないリアリティであったからである、舵を獲りこの無益な海域からの脱出を何度も試みたが、徒労に終わった、よく訓練された機械犬が私の手を阻むからである、彼らは即座に駆けつけ私の企みを寛解させる、嗅覚は異常である、過去の戦友たちの文書を熱読し、攪拌させることが辛うじて執り行われるリハビリであり、その効能もたかが知れている、無限の狂想は臨界境に達し、胡麻粒の如き兵士たちは透明の撒菱をそこいら一体に仕掛け、その罠に嵌ることは数知れず、万古不易の陵辱である、飛沫をあげ硫酸のような魔液は憔悴させる、支離滅裂な獣道は一方通行で退陣を許されない、希望は腐敗し高床式倉庫の隅で異臭を放っている、その穀物が喉を通ることは極めて稀である、大抵は嘔吐に苛まれる、その嘔吐(もど)された言語は理性により種類判別出来ず脳の隙間にこびりつき、不変動の悪意の塊としてその存在を誇示し続けるのである、最期の晩餐を私は常に待ち侘びている。然し脳内地質の断面は飛び抜けて美しいものである、遺留された情報の数々は眩い色彩を独力で放ち、万華鏡の内部のように、時に夢のような世界観が投影される、化け物どものオーケストラはシステムの音感から孤立しており、論理化されていない裸の楽譜のページを引き千切り、人間存在に支配されず、極めて感慨深いものである、さすがの私もこの時ばかりは思う、あの日のトロツキーのように「人生は美しい」と、ゆるやかな光の階段を駆け上ると幽閉されていたはずの亡霊たちは詩を歌う、私も暫し時を忘れて一緒に詩を歌う、この死者たちとの接触が私の中で大変有意義な時間であり、僅かな息抜きとなっていることは言うまでもないだろう、彼らは何者にも束縛されておらず、自由奔放であり、不可逆性の時間の中で孤高の存在として永遠に鼓動している、私は彼らを非常に尊敬している。無限性と有限性が入り乱れ交錯し、何かに我を忘れる程、夢中ないしは苦悩するならば、無限性が心の暇となることは紛れもない忘れ難き事象である、無限に走り抜ける馬たちよ、尊く猛々しい尻尾の亡霊配達よ、空間の裂け目で配達していることを黙しながら、誰に気付かれることなく全うに職務を遂行している、ああ愛しき馬たちよ、幽玄なる毛並みは魔法の道しるべに手紙を遺して、悪夢の因果を、時を駆けることで水晶の如き透明な小川へ変化させ、新たな価値を見出す可能性を生む、つぶらな瞳はあらゆる邪念を払い除け、魂は未知なる領域に置き去りにされ、近付くものを呪詛し続ける、暴れ狂う黒い球体、飲み込まれ、血管に興奮物質を投与される、到底信じるに値しない気違いじみたプロパガンダを、境界線を張り聖域をつくれと申すのだ、世界の終わりはやってくる、それを救えるとしたら、神聖なる者たち(狂人たち)であり、彼らを保護し、活躍の場を与えなければならない、彼らの情報を消すことは許されないと。尤も、賛成も反対も、肯定も否定も、愛も侮辱も、同じように納得出来ない根拠がある以上、彼らに永遠に安定は存在しないのかもしれないが。私情や階級意識に駆られる愚かさを瓶の底に沈め、彼らの尊いアイデンティティーを祀り上げ、顔なき顔にその魂を埋め込む、一蓮托生の灯火、圧縮された荘園で共に生きようと決意を交わす、脳内で繁殖された微視的降下物はその助けとなるだろう、つまり、増殖しつつあるその細胞はサバイブする豊かさを教えてくれる、幾何学的根拠は何もないのだが、印象的にその光の軌道は湾曲なく、うっとりする程一直線で、あるべきところまで我々を運んでくれるだろう、プロペラ機はかつて人力であり、絶えず墜落する不安を掻き消すことは出来なかったのだが、今や己の想念のみで愛しき楽団を従事させ、物体の移動は瞬時に事をなし、もはや肉体のヒエラルキーは役に立たず、衰弱し、知識人たちは哲学の真理を追究する、構築の裏側を否定的に見つめ、果実を剥く仕草を経て、いずれオーラ放たれし楽園の林檎を再び勝ち取る何者かが現れるだろう、ニーチェの永劫回帰論はこの範疇においては有意義であった、瞬間、瞬間を重ねることが歴史の構築であることは間違いがないが、あるべきところに導かれた暁には進化も退化もせず輪廻転生し、無限性の時間は等しきものに違いはないが、容貌、細胞、生命意義は全く異なり、我々は別の様式を重んずるようになる、つまり、好意的に解釈すべき価値そのものは流動することを厭わないのである、善悪の彼岸は反逆し、家畜は家畜であるはずのアイデンティティーを失い、また他の者たちも特権意識を同様に失う、つまり、物体遺伝が発生し、本来閉じ込められていた無機質性物体は即実的に別の意味を持ち、活動は顕著極まりなく、世を牛耳るべき大きな手の存在意義は別の大きな価値を生むだろう、生命は生命の時限装置としてしか生きられなかったはずのその有限性は、反して無限の意味で解釈可能になり、本来限られていたはずであった時間経過により発生する腐食ないし腐敗は起こり得ないのである、幾何学価値の変動で、あるべきところは無限領域として知るべからざる存在たちの効能で繁栄を博し、一方でこの世は走馬灯のように現在のスピードを遥かに超越した領域で流動的に価値基準が瞬く間に変動し、何を持ってしても真理とは到底成り得ず、疑心暗鬼が増幅し、所有する事物もアイデンティティーも全くの無用の長物となる、足並みを揃えることは出来るはずもない。
「価値観が変容して私たちは・・どうなるのですか?亡霊と変わりない、個人それぞれが空虚な器で生きること、それは快いものなのですか?残余が絶えず入り込み、入念に防衛したとしても、その進入を防ぐことは出来ないということでしょうか?」
「狂人たちの右腕を見よ。常に己のみが利口であったということ。真理を失うことは恐ろしい、我々は何を捨ててでも、徹底的に美意識を保持しなければならない。徹底的に闘って。勝利の旗を苦肉の土地に立てることは不可能に近いがね。それでもやらなければならない理由がある。」
「ええ、それでは、美意識とは?真理とは?己のみにしか存在し得ません。客観的に伝達することは不可能です。何とおぞましいことでしょう。気違い沙汰だ、誇大妄想に違いない、あなたは狂っている。理性なき人間はこの世で生きる術をまるで知らない。恐ろしいことです。」
「社会で生きる為の理性の効能は理解している。それを捨ててもやる価値がある。君は物事を直線で見ることしか知らない。バロウズも言っていたように我々は物事を特殊な角度で見なければならない。快楽を知る為に、そして真理を知る為に、規制の凡てに反抗し、裏側から暴く必要があると言う事だ。」
「バロウズ?ウィリアム・バロウズ?あいつはただの気違いの薬中じゃないですか。到底、まともな生き方を学んできた人間ではありません、オカマのインテリ屋の屑野郎です。裏側から暴く?正気じゃない、理性の効能を最大限に生かすべきです。それがより良い生き方なのではないですか?」
「生き方に良いも悪いもない。その既成の価値基準に当て嵌めること自体がまるっきりナンセンス、てんで話しにならんね。静寂の暗闇で瞑想し、立ち向かう準備をすべきだ。私はそう見做したくないが狂人にしか真理は知り得ないし、レールに載っているうちは何も分からない。疑うことなくして、共謀を暴くことは出来ない。我々はあらゆる既存のシステムを破壊しなければならない。システムの外側にしか価値あるものはない。」
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まだ書かなきゃならないのか、君たちのことを、そして自分のことを、この世の下らんことを。本当は一文字だって書きたくねえんだ俺は、この手段を選んでしまったことを心底後悔している、虚像のヒットラーの肉体と共に日の丸の特攻隊員の陰茎と共に、沈没した豪華客船の鉄屑と共に、この世からすべて葬り去るべきだった、歴史が証明している様に、すべてここで書いていることも全く無意味極まりない。これで俺も本格的な鼻つまみもんだ、便所のチリ紙以下だ、まったく馬鹿げている。趣味悪く肉を切り売りして、堪ったもんじゃない、ええ、どうだ、旨いか?俺の肉はよ?しみったれた不幸の極みだよ、豚の脂身以下だ、下種の味は旨いか?てめえらなんか腹下してしまえ、チフスだ、赤痢だ、病原菌に侵されてる俺の肉のせいでな、くたばっちまえばいい、腸はとっくに蛆虫どもの巣だよ、ざまあみろ、悪徳どもよ、あばよ・・あばよ・・生きる為に俺は書いている、ただ生きるという下らないことだけの為に、核ミサイルがぶち当たってくれりゃあ幸いだ、稲妻が脳天を直撃すりゃあ幸いだ、殺し屋どもよ、俺を殺しに来い、目盲にし、つんぼにし、手足と顔を盗みにくるがいい、そうすりゃあ俺も生きることなどてんで諦めちまう、惨めに生きるなんて耐えられねえ、何も書けねえ、何も表現できねえ、墓の中のほうが居心地がいいに決まってら、ちんぽこもそのうち根元からちょん切れて、蛞蝓のように貴様らの喉元を徘徊するだろう、そら声帯を潰してしまえ、貴様らの戯言なんぞ何も聞きたくないね、卵が羽化して亡霊が貴様らの肉体を奪い盗るだろうよ、貴様ら全員娼婦にしてやる、腹が膨れて年中お乳搾りさ、苦労で顔も萎れやがる、美麗な其容貌はあばよごめんだ、更なる鬼畜な忌み児を産むがいいさ、そいつらの汚ねえ面はとてもじゃないが拝みたくないがね。また地獄さ、構いやしねえ、現実をすべて書くまでだ、腕が野鳥の羽のようにひん曲がり、蟹みたくひっくり返り泡を吹く、ババアはお寝んねさ、寝言は勘弁しておくんなせえ、機長さんよ、さあ出発だ、神風が吹き荒れる、今宵の木馬は墓場にまっしぐらさ、こうなったらこの目ですべて見届けようじゃねえか、墜落地点は沸騰した釜湯、お湯加減はいかが?鬼どもが長い舌で待ち侘びて哀れな犠牲者の肉を待つ、もがけばもがく程いい肉さ、筋は太いがね、歯応えが堪らんと鬼どもは言う、奴らの慰みは狂女を鋭い爪で掻き毟ること、いい声で泣きやがる、あばずれなら尚更さ、柱時計の鐘の音が食事への合図、爪を剥がし、乳房を毟り、目玉で喉を潤す、棺桶は何処へ運ぼうか?靭帯の切れる音、錆びたギターの弦のような窮屈音さ、君は猛烈な勢いで喋くりだした、廃線に行こう、トロッコに載せてこいつを運ぼう、八岐大蛇の生贄だよ、知ってる?奇岩城だよ、あそこは誰だって受け入れてくれる、蛇女の王女の支配化にあるの、何の肉だってあいつは好む、悪食だもの、嘘だよ、蛇女なんているわけないでしょ?光と影がダンスを踊って、どっちが先に谷底に落ちるかしら?嫌だよ、あたしポリ公には捕まりたくないよ、寝んねしてるの?死んでるの?ねえ、お婆ちゃん?気違いババアと冥福旅行?真夜中、トンネルを抜ける、感応する、あばら骨が軋む、嫌な臭い、嫌な音、水があるところは用心して掛からねばならない、奇異、背中だけ魅せる人形たち、物体が走り抜ける空気孔は、或いは車上の黒影どもは魂を盗みにやってくる、スローモーションで唇が揺れる、水っぽい、肘を動かすと関節が鳴るのよ?釘で刺されたみたいにさあ、チクチク痛むのよ、麗しき魂の旋律って感じで、口が裂けたらどうなるのかね?あたしだって喋りたくないの、どうしようもない、他に手段がないからさあ仕方なく、生まれた時、看護婦って泣かせようとするでしょ?あれって嫌だな、声なんて誰にも届かない、徒労感だけ、宿命の孤独と共に最初の息吹をする、何で泣かせようとするんだと思う?嫌だなあ、沈黙を貫き通せば良かった、何で喋っちゃったんだろう、あーあ、何であたし喋っちゃったんだろう、何を最初に喋ったのか?名前か?やっぱり、名前はもう自分の物ではない、喋った瞬間に自分の物でなくなる、喋らなかったら自分の物だったのに、あたしの物はもう何にもない、贅沢に・・まさか贅沢に生きようとした?望んでいた?目の周りを蝿が飛ぶ、白内障って言うんだって、君は蝿飛んでる?死体をどうにかしねければ・・死体をどうにかしなければ・・俺はそれだけを考えていた、君のことはひとまず放っておく、付き合ってられねえ、崖だ、そこまで車を走らせて、海に放り投げちまおう、それしかねえ、バラバラになって、肉体も臓器も目も頭部も海と一緒に消えちまう、何もなかったことに?そうだよ、生活が待っている、忘却だけが人生さ、俺だけじゃねえ誰もがそうだ、食物を口にすることで胃酸と共に溶けていく、思い出も、友人も、何もかもがだ、つらいことは忘れちまえ、デモ行進、アジ演説、勝手にしろ、白蟻ほどの厭らしさで平らげろ、何よりもからっぽが一番健康的さ、食人族とお祭り騒ぎ、飢えた目が焦点を狂わせて、川底の貝殻を叩き割って、ペヨーテで瞑想の儀式だ、さあ暴れまくれ、肉体が罅割れる程ゴム人間のように踊ればいい、眠りこけて、明日にはもう月を見て酔えるくらい空っぽの阿呆さ、二親の耳を誤って噛み千切っても臆することは何もない、それすら牛の肉に早変わりだ、よく味わって噛み締め給え、下世話な畜生どもの肉をな、様々な可能性を考慮して一番有意義な選択肢を選べ、だが奴が呼んでいる、希望が腐敗した際に庭の外に投げ棄てられたあの塊が、勝手に動悸して繁殖しているあの塊が、俺の知らないところで肥料を与えられて、気付かぬうちにとんでもない毒に成長している、対処不可能だ、これも忘れろって?無理に決まっている、君はその塊が見えるのか?獰猛で、鬼畜で、背徳的な、あの塊が毒を撒き散らして、気付けばそこには厄介事が待っている、嬉しそうに甘えて犬のように尻尾を振って絶望が待っている、「eat me!!! fuck me!!! Confuse me!!!」と、胃が悲鳴をあげているのに、ただ毒は魅力的なんだ、ベニテングダケが美しい妖艶な色彩を撒き散らせているダッチの立ちんぼのように、毒に一度嵌ると、また毒を欲するようになる、毒には中毒性がある、苦しむと分かっていてもそれを無視することが絶対に出来ない、毒こそがこの世の快楽のすべてだ、毒さえあれば食事を忘れるほど我を忘れ夢中になって棺桶を少しずつてめえで手繰り寄せて、毒はまた嫉妬深いのだ、暫く忘れて相手にしないと、身体が独りでに歩き出して毒の近くにまたいるのさ、食わずにいられん、全く魅力的なあまっこだよ、毒にはまた耐性があり、少し前にはそれが毒だったとしてもそれが習慣になってしまうと、それは毒ではなくなる、またより強いさらに肉体を痛めつけてくれる刺激的な毒を欲するようになる、つまりくたばるまで終わりがないイタチゴッコだ、その結果が屍のようなこの有様、霞み目で先の読めない毒に目を眩ませて、癇癪玉さ、痙攣しながらも毒を求める、懺悔、無常の責苦、ああ、毒は何処にある?唾液を誑して酸性の頭脳、シナプスの結合が狂っている、情報伝達?卵を背負って産卵の準備?あっちへ行き、こっちへ行き、前だけしか見えない、近くのことしか分からない、どういうわけだかギブスで顔面が固定化されて、目薬を忘れて、視線は一点集中、そこに毒がある、ああ、また毒でいやがるのか?滲んだインクのような悪魔の水溶液、摘んだ鼻が疾患を装う、疣だらけの顔面神経痛、何処に向かっているのか?不確かな切れ切れの灰色の影を追って、ヘッドライトは黒ずんだ渋柿を照らす、神妙になれず、有頂天にもなれず、メトロノームが反逆して方向転換、落下して中の部品が火中で焼ける、そこにあるべき湿地帯は防衛軍に占拠され、立ち入るものを灰にする、地雷の寡占状態、使用すべき煙幕はなく次世代に委ねられる、海のにおい、風は冷たく肌を切り裂く、一枚皮の毛布で寝ている暴君を呼び覚ます、起床だよ、お時間だ、微かに反応する君の声、さすがに眠くなってきたのか元気なくか細い、喉鳴らす煩い歌姫はお呼びでないと、「一個の死体」を見えざるカーテンで包み、崖から蹴落とすとタイミング良く鳥が鳴いた、終わりはいつだってこんな具合に淡々としている、波で揺れるその死体を見て君は何を見つけた?末なき混沌とした思考はまだ宙に浮いたままであるきっかけで蘇る、生命の調律線を解いた後、その丸裸の肉体は絶望的である、とある哲学者は「我々は何をすべきかと言う問いに慣れすぎている」と確か言ったが、「何をすべきか」に対する答えは過去の根源的な処罰の結果とうに葬りさられたのだろう、社会が社会の構造であり得る限り手立ては何もない、真理がただそこに見えるだけだ。私は学者でも作家でも詩人でも芸術家でも預言者でも何者でもない、ただ真理を知った者としてあらゆるスタイルを用いてこの論争にケリをつける為にここまで書いたが、現実的に実現可能な範疇で講じるべき手段は何もないという結論である、我々が有限的な何かを所有する限り、社会を抹消することは事実上不可能である、すべて先が見えているにも係わらず。今すぐ棄て給え何もかも、裸一貫で地獄の土地に立て。
気付くと私は片方の手の中に枯れた花を握っていた。
君たちはこの文書の無意味さを笑って許してくれるだろうか?
ここは永遠に鼓動する脈動、終わりなき境界なき空間、時間概念なき穏やかな狂気の寒空、物質概念なき人智を超えた驚愕に値する魔法の呪文、神の大きな手によって指定された究極の聖域、あしきもの立ち寄るべからず、魂はかの地に永住し楽園を築く、神聖なる精神の墓場即ちここは永遠に鼓動する脈動。

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