2014年3月1日土曜日

不完全存在のテキスト4

それは静けさの中のマリアの竪琴、目を瞠る融和に違いはなかった。四隅から白いベールが腐蝕され、小指ほどの小さい足は小筆で空を描いた。鬼のような形相で影が駆け寄り、足を圧し折り、涙が仄かに泉に溶けた。

「泣いているのでしょう?貴方がこれ以上、細工をしても何も宝飾はされず、磨かれぬままに貴方の指にその石は乗っかったままです。どのような処置を致すべきか考えておられますか?またの日の光景のことを語るべきなのでしょうか?」

道楽三昧、しゃぶってくんねえその小指をさ、子孫なんぞいらないね、兄弟?笑わせんなよ、あんた自身が赤ん坊じゃねえか。洞窟の手下どもがわんさかやってくるぜ、あんた自身を盗みにやってくるぜ・・・神の器官、それは幻にすぎなかった、空中で私が掴んだと実感したものは、取るに足らぬ子猫の小便に過ぎなかった、後ろ足で八重歯を罵り、阿呆鳥の曲芸の如きあさましさ・・・爺さんが背凭れに乗せていた猛獣は独りでに肉を食らって、歴史を終焉させ、違う種類のまた新たな歴史を構築した。「火の粉を見つけたのはお前か?」紀元前より存在する物質的価値のヒエラルキーは、実在性や哲学の形而上学的な壁をいとも簡単に跳ね除けて、綿と糸は高速で産業を発展させ、人の手から離れていった副産物の数々は、それぞれが別の意思を持ち、貨幣的価値を併用し、情報テクノロジーの発展はコミュニケーションのありかたを変容させ、どこにいても逃れられない呪縛である。ベランダの脇で片手で靴を遊ばせながら少女は吐露する。「雨はこんなに早かったのね・・・。」雨樋は壊れていたはずなのに、父親はどういうわけか帰還した。「妄想だって別にいいのよ、パパの胃袋が道路交通標識やルンペンのシーツ、小窓が覗く轆轤首、色んなものを消化して少しおかしくなってるみたいね、なんだって価値が一緒なのよ、怖いわ、レストランのショーケースみたく分かり易く値段をつけてくれれば迷うことなんかなかったの、でもどれでも一緒、どうせおわっちゃう。」

俺は語らなければならない、いくつかの出来事を、背中が寒ければ寒いほどそれは惑星の含み、アンニュイな鋒鋩があって、慰霊から掘り起こされた先祖の骨をゆっくりと咀嚼しながら呟くのさ。反芸術という最も美しい手段を用いた幾人かの自殺したダダイストと同様に、俺は「墓なんかいらない」と、ただの物質にまで墜ち果ててまで存在表明する愚かさを残慮を信じて構築する都会の下らない亡霊たちの王宮の夢なんて馬鹿げている、奴等は常に意味を追い続けている、それが最も意味のないことだと気付かずに目を瞑って意味を追い続けている、到底分かりやしない生の意味を、ましてや歯車であることの意味すらも、反吐がでる、蟻の目玉と同様にあることの無意味さを確かめて、どうにかその中でまた意味を求めようとする、奴等は穴を掘る、同じ道具で、同じ場所で、同じ土を掘り続ける、くたばれば同じ穴を埋める、そしてそれをまた掘るのさ、それが奴らのいう意味なんだ、もはや何も言うまい、呼吸をやめてやる、呼吸をやめて遺体とイタチごっこ、かといってアルチュール・クラヴァンのように小船に乗って煉獄に船出出来るわけでもないし、ジャック・リゴーのように枕の下に拳銃を忍ばせることも出来ない。彼等の真似なんか出来っこない。どういうわけかダラダラと生きてしまい、こんなところでしょうもない存在表明をしている。墓場は王宮の夢か?違うね、フンコロガシの行進・・・クソの臭いを漂わせながら、この社会そのものが白昼夢に過ぎない、全部が幻でないと誰が言い切れるだろうか?見たものをそのままの様相で受け止めることを誰に教えられたのか?少なくとも俺は全く記憶にない、首長をなくした頭無の共同体だと過激な雑誌であり秘密結社でもあった「アセファル」でバタイユは言及していた。

激情!波乱!等しき時の幕開け!0地点を奪還せよ!言語の発明を壊せ!組織を解体せよ!欲を墨汁で塗りつぶせ!性器を丸焦げにしろ!国境をなくし、地と共に鼓動しろ!いい加減に歴史を終わらせろ!

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